【本編完結】16才、子供を産みました〜僕がママでごめんね〜

赤井たまご

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生後8日目

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✽✽✽

-レストラン-

「金はいくらでも払う」
「こちらで引き取ろう」

大河に言われた言葉が脳裏に焼き付き、上手く言葉が発せられない絃。

すると

バァァンッ!

「ふっざけんなぁぁ!!」

隣に座っていた大晴が額に青筋を浮かべながら、大河に食ってかかる。 

始めて聞く大晴の怒号に絃は肩を竦める。

「大晴は何を怒っている」
「これが一番、効率が良く最善の方法だ」

大河は眉一つ動かさず、淡々と大晴に言い聞かせるも火に油。
怒りが頂点に達した大晴は、大河の胸倉を掴もうと手を伸ばした。

絃は慌てて止めに入ろうとするも

「もう!!いい加減にしなさい!!」

光莉が声を荒げながら、スパンッスパンッ!と勢いよく大河と大晴の頭を叩いた。

「痛っ!」

「っ…!」

親子二人は同時に頭を抱え悶えるも、殴った本人は大きなため息を付く。

「はぁー…どうして「あなた達」はいつもそうなの?」

「…っ…!今のは、どう考えても親父が悪いだろう!俺は悪くない!」

「…何故、私が悪いんだ?」

「親父!!」

再び食ってかかろうとする大晴を、光莉が制し

「あなた!!」

「!!」

大河にビシッと指を差して、苦言する。

「どうして、いつもいつもそんなに口下手なの?」
「それじゃあ、大晴にあなたの気持ちは伝わらないわよ!」

「普通に「男αアルファを育てるのは大変だろう」「ウチで一緒に育てればいい」「お金の援助はする」って、言えばいいだけでしょうが!」

「「…え?!」」

「………?そう言ってるだろう」

「言ってない!」
「言ってないわ」
「……言ってないです…」

「……?」

キョトンとする大河に光莉は眉間を押さえ、大晴と絃は呆然とするのだった…。

✽✽✽

「で、親父の発言には全て「誤解」がある…と」

「そうよ」

大晴の顔には「俄に信じられない」という思いが、ありありと現れていた。

「…子供の時、勝手にピアノを習わせただろう…俺はバスケがしたかったのに」

「…そうなのか?…光莉と一緒に楽しそうに弾いてたから…」

「…じゃあ、学校は!?…勝手に国立に入れただろ!」

「…国立のパンフレットを真剣に見ていただろう?やりたい事でもあるのかと…」

「…!?…じ、じゃあ、婚約は…!?勝手に婚約させただろう!?」

「…お前は王女のことが好きだっただろう?」

「……え?」
「はぁぁぁぁっ!?」

大河の思いも寄らない発言に、大晴だけではなく絃まで反応してしまう。

「…っ…違う!違うから…!」
「俺が人生で好きになったのは絃だけ!本当だ…!」

絃に変な誤解をされたくない大晴は、ギッと大河を睨みつける。
必死に弁明する大晴を横目に、光莉は何度目かのため息を付いた。

「はぁー…この人はね…大晴が5才の時に「王女が可愛かった」って、言ったことを「好意がある」と解釈して「婚約」させたのよ!」

「はぁぁぁぁぁっ!?」

「…好意がない相手に「可愛い」とは言わないだろう」

「5才児の言葉を真に受ける方がどうかしてるわ」

光莉の「全てを知っていた」かのような物言いに、大晴は眉を顰めた。

「…母さん…全部、知ってたのか?」

「えぇ」

光莉の「当然でしょう」と、言わんばりの態度に

「なんだよ、それ…!?…何で教えてくれなかったんだ!」
「…教えてくれてれば、こんなに拗れることなかったのに…!」

大晴は不満不平を口にするも

「なんで私が言わないと行けないのよ、自分の気持ちは自分で伝えなさいよ」

「…っ……」

光莉の「正論」に、大晴はぐうの音も出なかった。

「…昔から「そこ」が大晴の短所よね…」

カランッ…と氷のぶつかる高い音が辺りに響き渡る。

「大晴は一度でも、パパに自分の気持ちを伝えたことがある?」

「!!」

光莉は、氷が溶けた始めたアイスコーヒーをゆっくりと混ぜた。

「本人には言わない癖に、いつまでも影で愚痴愚痴と…」
「言わなくても分かるだろう、言わなくても察してくれ…なんて…」

「まるで「めんどくさい女子」ね」

ガーン…

「…フフッ…確かに」

ガガーン…

絃と光莉の「ストレート過ぎる」意見に、大晴はその場に崩れ落ち項垂れる。

「絃くんは息子を理解してくれていて嬉しいわ」

崩れ落ちた大晴に目もくれず、二人はニコニコと花を咲かせてながら会話を続けた。

「私はね、大晴には「諦めない」人になって欲しかったの」
「自分の気持ちに蓋をするのではなく、自分の気持ちを伝えられる人間になって欲しかった」

「息子には、幸せになって欲しかったから…それはパパも同じ」
「まぁ、パパは「かなり」斜め上をいった「愛情表情」だったけど…」

「………」

両親の「息子に対する思い」を知り、大晴は照れくさそうに頭をかいた。

「でも…」
「その結果、絃くんと「孫」を危険に晒してしまったわ」
「本当にごめんなさい…」

目の前に座る絃に、光莉は深々と頭を下げて謝罪する。

「そんな…光莉さんのせいではないです!…僕も…逃げてしまったから…」

「優しい子ね…絃くんが「お嫁さん」で良かったわ~」
「私のことは「お義母おかあさん」って呼んでね!」

「二人共、無事で良かった…退院したら孫を抱っこさせてね」

「はい!お義母おかあさん」

手を取り合って微笑み合う二人のやり取りに、微かにソワソワし始める大河。

「勿論…お義父おとうさんも」

「!!…あぁ…」

何処となく嬉しそうな大河の姿に、大晴は驚愕する。

「…っ…俺…」

大晴は拳を握りしめ

「…本当は、会社を継ぎたくない…」

始めて「自分の気持ち」を大河に伝えたのだった…。

✽✽✽

「タイトル」漢字修正しました。

「✖」16才、子供を生みました~僕がママでごめんね~ 
「◎」16才、子供を産みました~僕がママでごめんね~ 

引き続き応援よろしくお願いいたしますm(_ _)m
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