異世界で猫に転生した俺は、理想の飼い猫生活を目指す

にゃんこ先生

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第二章 野望のはじまり

職人を求めて

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「キャベツとレタスの収穫は終わったし、玉葱とジャガイモの収穫はまだ先なので、今のうちにエルフの国に行ってお米を買ってこようと思います!」
 朝食中に澪が言った。
 なんかめっちゃ気合入ってるなぁ。
 そんなにお米に飢えてたんだろうか。
「で、私はドワーフの国に行って、良い職人さんを見つけてボール作りをお願いしに行こうと思いま~す!」
 雫はドワーフの国に行くのか。
 サッカー関連の事は俺が言い出したことだし、雫について行こうかな。
「アレッサドラは私と一緒にエルフの国に行くからね!
 これは決定事項です!」
「それは全然構わないんじゃが、随分気合が入っとるのぉ」
「アレッサンドラと一緒に買いに行けば、良いお米を売ってくれそうじゃない?
 テンションも上がるでしょ!」
「そ、そうか。
 お主がそこまで米が好きとは知らんかったのじゃ」
「俺は雫と一緒に行くよ」
「じゃあボクもジズーと一緒にドワーフの国に行くのだ!
 薫子も一緒に行こうなのだ!」
「そうだねー、一緒に行こうかー!」
「バハムルちゃんはほんとにジズーちゃんのこと大好きなんだね~」
「うん!」
 やばい、バハムルめんこい!
「あはは、ありがと!
 一緒にいろいろ見ようなー!」
「ねえフラン、悪いんだけど私たちと一緒に来てくれない?
 アレッサンドラは一応王女だから、護衛が欲しいのよ。
 エルフは天使に好意的みたいだしさ」
「え、あっしはジズーの監視の仕事があるし」
「何が監視よ、ただジズーと一緒にいたいだけでしょ?
 今回は我慢してよ、お願い!」
「一緒にいたいとか、そんなんじゃないし!」
「フランちゃんもジズーちゃんのこと大好きなんだね~」
「はあ!?
 だからそんなんじゃないし!
 ああ、もうわかったし!
 澪たちの護衛してやるし!」
「ありがと、たすかるよー!」
「じゃあ、クリスとレオとロナは家のこと任せてもいいかな?
 あと、畑の世話とパレオの世話もお願いしていい?」
「わたくしを畑と同列にしないでよ!」
「「りょうかいっす!」」
「かしこまりました」

 翌朝、澪たちはエルフの国に出かけていった。
 桜が、百段と椿の二頭と別行動になってちょっと寂しそうだった。
 今まで百段が桜と椿の二頭と別行動っていうのはあったけど、桜が他の二頭と別行動っていうのは初めてだ。
 ごめんな桜、今回は我慢して下さい!
 俺たちもすぐにドワーフの国へ向かった。
 行き先はドワーフの国の王都。
 やはり王都には優秀な職人が集まるらしい。
 ドワーフの国の国土の中心より少し南側に大陸で一番大きな鉱山があり、その近くに王都があるようだ。
 その日のうちに王都に到着し、宿をとった。
 もう夜なので、職人探しは明日から始めることにして、今日は早めに休んだ。

 翌日、朝食をとらずに職人探しを始める。
 薫子さんは帽子とマスクの変装スタイルだ。
「どうしてご飯を食べないのだ?」
 バハムルがちょっと不満そう。
「今日は屋台の食べ歩きをしよ~!
 で、ついでに腕の良い職人さんの情報とか聞いちゃおう!」
「あー、なるほどね!」
「「食べ歩き!」」
 薫子さんとバハムルの目が輝く。
 というわけで、屋台を食べ歩きながら情報収集。
 今回俺は雫の従魔という設定だ。
 人間の国で逃避行をしていた時によくこの設定で街に入っていた。
 なんだか懐かしいなぁ。
 俺は猫だけど、ガイアではモンスター扱いだ。
 だけど従魔だと言えば、人はみんな警戒を解いて普通に接してくれる。
 従魔システム超便利だ。
 何件かの店の店主やお客さんにボールの実物を見せながら「こういう革で作った丸い物を作りたいんだけど、誰かオススメの職人さん知りませんか?」と聞いて回ったところ、みんな口を揃えて同じ名前を口にした。
「すごいね~。
 普通こういう質問をするとそれなりの数の名前がでてくるものだけど。
 相当腕が良いのかな~」
「みんながアルフレートさんがオススメって言ってたね。
 サッカー脳に響く名前なんだけど」
「え?
 誰だろう、思い浮かばないな~」
「マドリーのレジェンド、アルフレッド・ディ・ステファノですよ!」
「おお~!
 ディ・ステファノ!
 アルフレッドってファーストネームだったんだ~」
「職人としての腕はともかく、良い人だったらいいなぁ」
「そうだね~、ぜひサッカーをしてほしいね~!」
「ま、とりあえず教えてもらった工房に行ってみようか」
「ジズージズー!
 最後にあの屋台行きたいのだ!」
「はいはい。
 じゃあ、あの屋台行ったら工房に行くからね」
 俺たちは屋台でお腹を満たして、そのまま工房へ向かった。
 教えられた場所に着くと工房らしき建物があった。
 早速中に入ろうと雫が扉に手を近づけた瞬間、勢いよくドアが開いて中から若いドワーフが飛び出してきた。
 目の前には雫がいる。
 ぶつか――らない!
 お互いギリギリのところでよけた。
「す、すみません!」
 ガバッと頭を下げて勢いよく走っていった。
 涙?
「今の人、泣いてなかった?」
「泣いてたと思うよ~。
 涙が見えたもん」
 気にはなったけど、もう見えなくなったし、俺たちは中に入ってアルフレートさんに会うことにした。
「すいませ~ん!」
「らっしゃっせー」
 雫が声を掛けるとコンビニの店員みたいな声が返ってきた。
 感じ悪いな。
「ちょっと作りたいものがあるんですけど、アルフレートさんはいますか~?」
「あの無能ならさっきクビにしたからもういねーよ。
 依頼なら俺が聞くぜ」
 なんなのこいつ。
 言葉遣いはなってないし、人のことを無能とか平然と言い放つし……。
 こいつがどんなに腕が良くても、絶対頼みたくないわ。
 雫にそう伝えようとしたが、それより早く雫が応えた。
「じゃあいいです~」
 そしてそのまま工房を出た。
「超感じ悪いねあいつ~!
 聖魔法で浄化してやろうかと思ったよ~!」
「ははは!
 もしそうなってても、俺は止めてないや」
「だめだよー。
 さすがにやりすぎだよー」
「でも父ちゃんなら消し炭にしてるのだ!」
「あー、バハムートさんならやりかねない……」
「ていうか男佐藤ズを消し炭にしてたしね~……。
 すでに実績があるもんね~」
「「「「……」」」」
「とりあえず!」
 あえて大きな声を出した。
「とりあえずアルフレートさんを探そうか?」
「そうだね~。
 でもどこ行っちゃったんだろ~」
「さすがに街の人たちも、どこの誰だかわからない私たちにアルフレートさんの家の場所までは教えないだろうし、適当に探し回るしかないねぇ」
「あ、さっきの人の居場所ならわかるよ?」
 薫子さんが当然のことのように言う。
「え、そうなの?
 なんで?」
「なんか泣いてたから気になっちゃって。
 とっさにだけどマーキングしちゃった」
 テヘッ☆みたいな感じで言う。
 うむ、可愛い!
 じゃなくって!
「マーキングってなに?」
「私の神気をつける?って言えばいいのかな?
 まぁそんな感じでマーキングしたの。
 あとは自分の神気を感じ取るだけ。
 ジズーにもわかるでしょ?」
「え?
 どうだろう……」
 薫子さんと同じ神気……、ここじゃない所にある神気……。
 あっ、わかったかも?
「なんかそれっぽいのを感じるかも?
 これが神気なのかわからないけど。
 あっちの方角で合ってる?
「合ってる合ってる!
 ジズーなら私の神気を感じ取れるからね。
 もし私が攫われたら助けにきてよ?」
「どこぞの桃の姫ですか薫子さんは……」
 まぁ、なにはともあれ、俺たちはアルフレートさんがいる方に向かった。
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