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スワンプの森ダンジョン
第481話 スワンプの森 その7
しおりを挟むボス戦を終えた私たちは十一階に下りた。
「わぁ、カラッとしてる」
「ホントだな。上がずっとジメジメしてたから、気持ちいいくらいだ」
十一階は林と高原、よくある豊作ダンジョンと同じような雰囲気だった。
「ここからは果物も良く採れるが、多分あれだ、草も生えてるから素材もあるはずだ」
アリオールさんの言葉に、今までは探していなかったという事がよく分かった。
「お米もあるかもしれないわよね。私とルイスは先に探してくるわ」
「あ、タニアさんちょっと待ってください。アリオールさん達は米の群生地を知らないので、一緒に行った方が良いかもです」
「あ、そうね。じゃあ二人は私達と一緒に行きましょう。もう一人はこっちの素材も知っておいた方が良いでしょう?」
「おお、そうだな。では私とリズがついて行こう。カンは他の素材を確認しておいてくれるか?」
「わかった。こちらは任せておいてくれ」
タニアさんが米だけ先に回収してくると言ったけど、翼人族の人達は米の群生地とか知らないもんね。今後彼らだけで潜った時に採集できるように教えておいてもらった方が良いだろう。
飛ぶ速度はドラゴンの方が早いので、雀のリザンドロさんはルイスさんの指の上に乗っていくことにしたらしい。マムさんの肩の上にいることも多かったし、横着するのが得意らしい。
七人だけなので、二手に分かれることはせず、一緒に散策することにした。
「あれ? あれって村で飼ってるカプラじゃないか?」
草むらでもしゃもしゃと食事中だったのは見慣れた山羊で、確かにエルフの村で家畜として飼っている山羊だった。見つけたベル君は駆け寄って行ってしまったけど、ダンジョンにいるのは野生の魔獣ではなかろうか。
「うわぁぁぁぁ、何で攻撃してくるんだよ~」
「ベル、ここはダンジョンじゃぞ? 里におるのは家畜化されて人に慣らされている奴らじゃ。普通の魔獣はヒトを見れば攻撃してくるぞ」
「わぁぁぁん! ヴィオ、助けて~」
「はいはい、【シャドーバインド】」
食事中の山羊集団に近付いたベル君は、彼らのパーソナルスペースに入った時点で敵と認定され、お約束のように山羊集団に追い立てられている。
タニアさん達がいれば、近づく前に止めたんだろうけど、残っている大人たちはシビアなので、死なないと分かっている事態では止めない。
村で可愛がっている相手だからか、ベル君から攻撃もし難いらしく、半泣き状態で逃げるに徹している。
半泣き状態で救援依頼をされたので、山羊たちを拘束してとりあえずベル君を救出した。
ベル君を叱るのは白雪さんとイブさんの役割なので、何が駄目だったのか、家畜との違いなどを懇々と教え込まれている。まだフーフーと興奮しているカプラは魔獣ですからね、首チョンパしてドロップアイテムを頂きます。
ドロップアイテムはカプラの毛(山盛り)と、山羊の皮、乳袋に入ったミルク、お肉、魔石だった。
数から考えて、魔石はマスト、毛と皮は半々、乳袋とお肉も半々でどちらかが落ちるという感じだろう。
家畜のカプラからは、ミルクと毛だけをもらっているので、お肉は食べたことが無い。今日は山羊肉のシチューにしようと思います。
高原には、カプラだけでなく、カウカウとヘレも仲良く行動していました。
林にはヒュージボアもいるし、おかげさまで肉とミルクが大量に集まりました。
「このダンジョン良いですね。前半は魚が取り放題だし、後半はお肉とミルクですよ。野菜類が少ないと思ってたけど後半はちゃんと生えてるし、まさに豊作ダンジョンですね!」
「これだけ魔獣に襲われてその感想が出るのは、ちょっと尊敬するよ」
イブさんに呆れた視線を寄越されるけど、お肉もケーキも好きなんだから、その材料が貰えるのは嬉しくないですか?
「おっ! ヴィオ見つけたぞ。あれがエルダートレントだ」
少し木々が鬱蒼と茂っているゾーンに入り、結構奥まで入ってきたところでチアキさんが教えてくれた。忘れかけていたけれど、このダンジョンに入った目的のひとつは、魔封箱を作るためにエルダートレントの素材探しでした。
ビシッ ビュン ビュン ビシッ
林の奥、ゴブリンと戦っていたのは大きな木でした。
木の足元に生えている何かを狙っているゴブリンを木の枝でぶん殴り、遠くから弓矢で攻撃しているゴブリンアーチャーには上の方の枝から風魔法を飛ばしている。頭というか、考えるのは幹だろうから、器用なものだと思います。
魔獣対魔木の戦い
中々面白く見ていたんだけど、興味津々で近づきすぎたようです。
私達の接近に気付いた彼らは、今まで争っていたのが嘘のように、共闘しながらこちらに攻撃をしてきました。
「ベル君は手前のゴブリンをお願い」
「おう」
「【エアショット】【エアカッター】」
私は遠距離から攻撃しているアーチャーと、メイジを魔法で攻撃。先にゴブリンから片付けましょう。
「チアキさん、トレントの素材は枝を切ればいいんですか?」
「ああ、魔道具の為に使うの? ダンジョンだったら普通に燃やしてもドロップするから倒しちゃっていいよ。外だったら枝だけ落として確保してから倒さないと素材が残らないけどね」
「了解です。【ファイアボール】」
「GYOAAAAA」
トレント素材の確認をすれば、イブさんから助言を頂いた。
ついつい忘れがちだけど、ダンジョンだったらドロップアイテムとして確保できるんでしたね。
青い火の玉をトレントの洞にぶち込めば、忽ち燃え上がる大きな木。
木々が集まっているから火事になりそうだと思うけど、エフェクトで魔木が消えれば火も消えるので延焼の心配はない。
コロリと落ちたのは杖のような枝。
長さもあるし、先端はクルンと丸まっているし、魔法使いの杖って感じはする。だけど魔封箱を作るには板状にする必要があり、この杖を板にするには心許ない。
「あれ? 違った?」
「いえ、違いはしないんですけど、魔封箱を作りたくって。板に加工するにはちょっと細いなって」
「ああ、このトレントは若いしな。トレントのドロップは杖が多いけど、丸太の時もあるし、板の時もあるぞ。太い個体の場合は板や丸太の時が多い。
そうだな、美味い飯を食わせてもらってばかりなのも申し訳ない。この階で良いのがいるか探して来てやろう」
少しションボリしていたら、カエリアンさんがトレントによって素材が違うと教えてくれた。そして魔獣に対しての戦闘力に不安がないことで、自分が離れても大丈夫だと判断したのだろう。
良い感じのトレントを探してきてくれるそうです。ローリングをしているとはいえ、森の奥までのローリングではないからね。非常に助かります。
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