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ホトヘルの祠ダンジョン
第554話 ホトヘルの祠 その2
罠は無いようなので敵にだけ注意しながら進むけど、洞窟とはいえ天井も高いし幅も広い。初心者ダンジョンの洞窟とは全く違う。
相変わらずダンゴムシにしては大きすぎるウッドラース。黒というか茶色いからブラウンウッドラースかと思って見ていたのが駄目だったのかもしれない。
ルーチェが放ったレーザービーム、それがウッドラースの足元に逸れた途端、ウッドラースがこっちに向かって飛んできた。
「は?」
ウッドラースはその形状から転がることはあるけれど、空を飛ぶことは出来なかった筈なのに、今目の前のやつは羽を出して飛んでいる。
『【ウインドウォール】』
ヴェントが風の盾を張ってくれたことでバチンとぶつかってその場に落ちたウッドラース。背中から落ちたことで足がウゴウゴしているけど、相変わらず気持ちが悪い。
「あれ? 足の数が少ない?」
確かウッドラースは多足でワチャワチャしていた筈だけど、目の前でウゴウゴしていたやつは足が六本しかなかった気がする。即座にルーチェがレーザービームで消したから微妙だけど。
「大丈夫?」
「あ、飛ぶと思ってなくてびっくりしただけです。大丈夫です」
「ん? コックローチは飛ぶだろう? ああ、ウッドラースだと思ったか?」
コックローチ……?
ドロップアイテムの甲殻に見えるものを鑑定すれば、それは羽だと書いてあった。そしてコックローチと言えばあれですよ。黒い彗星。
一匹見れば五十匹はいるといわれる家で見たくない害虫ナンバーワンの座を不動のものとしている奴です。
え? あのウッドラースと変わらないデカイあれがGですか?
大きくなりすぎると逆に嫌悪感というのは無くなるんだと初めて知りました
そんな訳で、巨大Gなどの的が小さい敵は私が砂の鞭で倒し、大きな相手をルーチェとヴェントが競うように倒し、広い一階層を進みました。
「虫も出てきますが、圧倒的にゴブリンとオークが多いですね」
「そうでしょ? 肉が大量に欲しい時はこのダンジョンが良いのよね」
「ヴィオ様はそろそろ疲れていませんか?」
「そうだな、そろそろ休憩にするか」
「じゃあ、僕が聖盾をつくるよ」
ルイスさんが心配してくれるけど、殆ど戦っているのは精霊ふたりなのだ。見つけたもん勝ちという感じで倒しているので、私の出番はない。
安全地帯ではないけれど、行き止まりになる場所でイブさんが【ホーリーシールド】を作ってくれたことで、簡易安全地帯が出来上がる。
今日のお昼ご飯はミケさんが作ってくれたお弁当だからね。
皆でゆっくり食べている間もヴェントたちは盾の外でウロウロしている魔獣を倒しては肉を持って帰ってきてくれる。
「オークはあれですけど、ゴブリンもお揃いのトラ柄の腰巻なんですね」
「このダンジョンの衣装なのかもしれんな。もしかしたらコボルトもお揃いかもしれんぞ?」
「あんまり敵の見た目とか気にした事なかったけど、ヴィオって変な事に気付くよね」
いや、あんなに分かりやすい衣装ですよ? 気付いてあげないとダンジョン様が可哀想じゃないですか。
「肉以外に気にした事は無かったけど、このダンジョンにいるオーク達が服を着ていた覚えはないわね」
ということは、この下に出てくる相手もトラ柄腰巻って事なんだね。まあマグマが出るような場所では洋服を着ている方が暑そうだもんね。
昼食休憩を挟んだ後は、探索の再開です。
肉好きメンバーしかいないので、満遍なく全ての通路を丁寧に通って行きます。
初級ダンジョンでもそうだったけど、洞窟タイプのダンジョンにおける安全地帯は小部屋だった。それは只の小部屋である事もあれば、パニックルームの事もあった。
だけどこの階に小部屋は無く、夜の仮眠もお昼と同じように行き止まりの通路を使っての休憩となった。
「まあこれだけ魔獣を満遍なく倒してるから結界が必要かって思うけどね」
「普段の野営と変わらないというか、普段よりも静かですね」
昼と違うのは結界が魔道具になったくらい。それとて聖結界の魔道具だから非常に安全だ。とはいえ【索敵】に引っ掛かる魔獣がゼロのこの場所で何が危険か分からないけど、一応結界を作っている。
それもこれも途中で暇になったチアキさんが小さいのも含めて誰が一番魔獣を多く狩れたか勝負をしようと言い始めたからだ。
参加者はタニアさん、ルイスさん、チアキさん、イブさん、ヴェントとルーチェだ。
私と白雪さんは男共のしょうもない提案を冷めた目で見ていただけ。
すでにこの洞窟内くらいなら私から離れても大丈夫なルーチェたちは小さくなって飛び出した。それを見て細身のドラ化した二人も飛び出して行ったから、言い出しっぺのチアキさんが「飛翔禁止にしとけばよかった~~~」と地団太を踏んでいます。
「ほんに、男というのはしょうもない事をしたがるなぁ」
「チアキさんって少年心を忘れてないんですねぇ」
貴方の旦那ですよ。という言葉と、タニアさんは女性ですという言葉は飲み込んでおきますね。
まあそんな少年たち(平均年齢200歳)がどこに飛び回っているのかは【索敵】で見えているので、私と白雪さんは二階へ続く一番近い通路に向かい、野営地を設営していたという訳です。
ヴェントたちはマジックバッグを持っていないので、倒すたびに私のところへ肉や魔石、羽や甲殻などの素材を持って帰ってくる。それでもかなりのスピードで飛び回っているのでいい勝負だった。
今回の勝負、一番はタニアさんで二番がルーチェ、三番がヴェントとルイスさんの同点。四番がチアキさんとイブさんで二匹ずつという悲しい結果でした。
次回以降は飛翔禁止というルールが追加されたのはしょうがないかもしれないけれど、またやる気かと思ったのは悪くないと思います。
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