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村でのひととき
第280話 お土産を渡しに
しおりを挟む帰宅して 荷物整理を終えたら 裏の森の確認。
今回は5か月も離れてたしね、だけど ちゃんと見てくれていたのか 荒れてはいなかった。
旅に出る前に間引きしたのも良かったのだろう。
木の枝の剪定も お父さんに言われた木を二人で手分けして行ったのですぐに終わる。
これは余分な枝葉を落として カルタ系の素材として使うのだ。
学び舎でも加工前の枝は使うから 幾らあってもいいからね。
翌日は お土産を渡すのとギルドに納品をするために村中を回ったよ。
リリウムさんとミリーナさんには 皮と糸を、リリウムさんはボタン素材で牙も使うと言ってたのでそれも少々。
ギレンさんには鉱石を、非常に呆れられましたが 使用分は支払いをするという事で受け取ってくれました。
「ミスリル、他の鉱石に混ぜて入れといたらバレなかったかもだね」
「ははっ、その場合は 気付いた時に余計ビックリされて 後から怒られるじゃろうなぁ」
確かに。
それなら先に納得してもらった方がいいね。
最後のお店は防具のお店、リスマッチョのアランさんの店だ。
「こんにちは~」
「おぉ、帰って来たか。相変わらずちっこいな、新調するわけじゃなさそうだし、マントが破れたか?」
お店に入れば 奥からアランさんが出てくる。相変わらずデカすぎてリスの尻尾は正面から見えない。
マントは他に比べれば 多少の汚れがつくものの 全く問題ない。
「ううん、今日はね 作ってもらいたいものがあって相談に来たの」
そう、前回の豊作ダンジョンで覚えた ダンジョンで入るお風呂の気持ちよさ。
あれを楽にするためのハンモック型浴槽を作りに来たのだ。
「相談って事は 今あるものじゃないって事か?なんだ?」
「まあ珍しいものではあるが 多分作れると思う。まずは図解した物を見てもらった方がええな」
お父さんの言葉に頷いたアランさんは 椅子を2つ用意してくれた。
学び舎で使ってたのと同じ小さな黒板を渡されたので それに絵を描いていく。
「こんな風にね、ココと ココに穴があるの。そしたらココにロープを通せば ハンモック状態になるでしょう?お父さんが入れる深さだと私が溺れちゃうから、ここにもロープを通せるようにしてもらえると嬉しいんだ。
水を弾く素材の布で作れば お湯を溜めたらお風呂になるの」
一応ハンカチでも試作品を作ってきたので 4本の支柱を立てて そこにハンカチハンモックを吊り下げる。
「ね?」
作りとしては難しいものではないと思う。ただ 丈夫な布とハトメだっけ。穴が広がらないようにするやつ、ああいう加工が必要なだけだと思うんだけど……。アランさんめっちゃ口開いてるよ?
「アルク?」
ギギギと音がしそうな感じで お父さんを見つめるアランさん。
「まあ 今までになかったとは思うがな、実際グーダンでは木で作った浴槽を持ち歩いてな、毎日風呂に入ったら 気持ちよかったんじゃ。
人が多いところでは流石に出来んじゃろうが、丁度 水生成魔法の練習で冒険者が減っとったからな 空を見ながらの風呂は良かったぞ」
苦笑しつつも お父さんがダンジョン露天風呂のアピールをしてくれた。
お兄ちゃんたちも ハンモック風呂が完成したら購入したいって言ってたし、多分 テーアさん達も知れば買うと思う。
アチャーと言いながら頭を抱えてしまったアランさん。
「作れない?」
「作れる作れないで言ったら 作れる。
けどな、普通は、ダンジョンで、風呂には、入らない!
お前がついてながら なんでこんなに非常識冒険者に育ててんだよ」
あうぅ。
アランさんの太い指で デコピンされるのは痛いです。
非常識冒険者とは 失敬な。誰にも迷惑はかけてませんよ。
「人前でセクシーポーズもしてないし、休憩所の近くでアンアンしてないし、知らない人に抱き着きに行かないもん。
お風呂だってちゃんと人がいない時にしかしてないよ?」
「お前どんな冒険者に会ってきたんだよ。
って、そいつらはただの低俗で常識知らずな非常識冒険者なの!
お前のは 常識外れの非常識冒険者なの!」
あうぅ。
またデコピンされた。
非常識にも種類があったんですね。
でも一般冒険者の常識がよく分からないので 多分お父さんとお兄ちゃんも大概そっちの非常識冒険者だったんだろう。というか、多分他所の人からしたら サマニア村がそうだと思うから、まあいいことにしよう。
「はぁぁぁぁぁぁ。
んで? このハンモック風呂 作るのか?」
「うんっ!」
盛大な溜息を吐かれましたけど 気にしませんよ、お風呂作れますか?
使う時は 人がいないところで、出来れば 専用のテントがあった方がいいだろうなんてアドバイスをくれたうえで作ってくれるようです。
必要な素材があれば 鞄にあるか探すと言ったんだけど、十分にあるからいらないと言われた。
「ビッグ、じゃねえか、ヒュージボアの皮を鞣したら丁度いい。お前の吊り下げ処理っつーの?
あれのお陰で丸ごと一枚のデカい皮がよく入るようになったんだわ。
そうだな、お前らしばらくは村にいるんだろ?
流石に初めて作るからな、試作何回かして納得できねーのは売れねえからな。出来上がったら連絡すっから待ってろ」
流石アランさん、出来上がりを楽しみにしていますね。
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