317 / 584
村でのひととき
第281話 久々のギルド
しおりを挟む昼食を食べてから 午後はギルドに納品をしに行く。
昨日の時点で 私たちが帰ってきたことは周知されていたのか、訓練場でハチ君たちが 待ってると言われた。
「そしたら納品は儂がしておくから ヴィオは訓練しに行くか?」
時間があればと思って 運動しやすい格好に着替えてはいる。
ハチ君たちと再会するのも久しぶりだし、会議室で材料だけマジックバッグから取り出したら訓練場に行くことにした。
「じゃあ カードとタグは預かっておくね、ハチもヴィオちゃんに会うのを楽しみにしてたから喜ぶよ」
「ふふっ、私も楽しみ、お父さんお任せしてごめんね。行ってきま~す」
二人に見送られて地階へ。
この階段を一人では下りれなかった時が懐かしい。身長も伸びたから上るのもそんなに大変じゃなくなった。
「こんにちは~」
「あ~、ヴィオだ」
「え?あ、ほんとだ、ヴィオ お帰り」
「え?ああ、あの子」
訓練場の扉を開ければ ハチ君だけじゃなく 結構数人が好き好きに訓練をしている。アスレチックも健在で そこで学び舎年齢ではなさそうなちびっ子もヨジヨジしている。
レン君とハチ君が 尻尾ブンブンで駆け寄ってくれたんだけど、ハチ君が『びお』じゃなくて『ヴィオ』と呼べるようになっていることに成長を感じて感動してしまう。
「昨日帰ってきたって聞いて、今日ギルドに納品しに来るって聞いたから 訓練しに来ると思って待ってたんだ」
「うん、ぼくもね、ヴィオが帰ってきたら いっぱい練習して強くなったのを見てもらおって思ってたの」
ヤベエ可愛い。
身長が伸びて 舌っ足らずだった喋りも流暢になってきてるけど、相変わらず可愛いが爆発してます。
ちなみにアスレチックコーナーは 水溜りや高すぎる壁はないもので ちびっ子たちが遊べるプレイゾーンとして平日の午後だけ解放されているようです。
週末は 銀ランク以下の冒険者たちが訓練しに来ることもあって危険だからね。
「あ~~~、びおだ!!!」
ハチ君たちとくじ引きをして手合わせの順番を決めていたら 入口付近から大きな声が聞こえた。
振り返ったら 凄い勢いで走ってくる小虎が。
ダッダッダッダ ピョ~~~~ン!!!
勢いよく走る為に獣化した小虎は そのままハイジャンプで飛び込んできた。
強化しといてよかった~。
両手を広げて 受け止めれば そのままスリスリして ペロペロ舐められる。
待って待って、ザラザラの舌だから痛いんす。
両腕の下に手を入れて持ち上げれば 尻尾ブンブンで喜びを最大限に表してくれる。
「ヴィオちゃん ごめんね~、ココア ここじゃ人化してないと遊べないって言ったでしょ?」
甚兵衛片手に追いかけてきたのは ココアちゃんのお母さんのノアさんです。
尻尾がヘンニョリしたココアちゃんを下ろせば ノアさんが大人しくなった小虎に甚兵衛を着せていく。
ああ、ヒトから獣になるところはよく見るけど、逆は初めてだね。
小虎の甚兵衛姿も中々キュートですよ。
しばらく見つめていたら 小虎の体毛が薄くなっていき 大きさも少し小さくというか 細くなっていくように見える。手足の体毛は減っていくけど 髪の毛にそれが集約されるのか 虎の時より長いフワフワした髪になった。
蹲った状態だったので、叱られて泣いている子にも見える。
キラキラ光るとか、ボフンと白い煙が包み込むとかを想像してたけど意外と静かに変身するようです。
「人化する方は 集中しないと難しいからな。チビの時はああして他を見ないようにしてやるんだぞ」
隣でレン君が解説してくれました。
おお、蹲りスタイルは叱られたからとかじゃないんですね。
完全に変態が終わったようで ムクリと起き上がった小虎、じゃなくてココアちゃんが両手をあげて抱っこのおねだり。可愛いが過ぎる。
「ココアちゃん久しぶりだね」
「うん、びお 会いたかった」
グリグリされるのがたまらん。
しばらくイチャイチャした後 アスレチックコースで遊ぶというココアちゃんと別れて レン君との組手を行う為 広い場所に移動した。
「俺 すっげぇ頑張ってるから、前みたいにすぐやられね~からな」
「うん、私も凄く頑張ってきたから 負けないよ」
「お~し、やるぞ。無理な時は降参しろよ。 はじめ」
訓練場に大人以外の使用者が居る時は 先生たちの誰かが監督役でいてくれる。
これも当り前のことじゃないけど有難いよね。
レン君はネコ科の素早さを活かして 駆け寄ってくるけど、私も力がない分 素早さ特化で訓練してるからね。
私の背後を取ろうとして 腕を振りかぶってくるけど 左腕を盾にして弾き飛ばし 右足で蹴り上げる。
当たりはしたけど 蹴りに合わせて後ろに飛んだから 大したダメージにはなってない筈。
着地したところですぐに屈伸するような動きで こちらに飛び込んでくるレン君は真直ぐなので避けやすい。避けながらレン君の背中に掌底を打ち込めば そのまま地面に滑り込む。
「ぐえぇぇ、痛ってぇ」
「降参?」
「まだまだ!」
泥だらけのお腹を手で払いながら立ち上がる。
今度は足を狙って飛び込んでくるけど、身長差があまりない私たちだと 低い場所からの攻撃という利点は活かせない。
飛び込んで来ては打ち落とし、殴りに来ては 打ち払い、蹴りに来れば避けて反対側から蹴り飛ばす。
何度土まみれになろうとも向かってくるし、その度にキラキラした目になっていくレン君。
ドエム開花してません?なんで嬉しそうなの?
降参が無い場合でも時間制限があるので(獣人たち体力があるからやめないのでね)終了となった。
「たは~~、前より強くなったはずなのに、全然当たらね~。
ヴィオ、すっげえな」
「ダンジョンで 色んな敵と戦って鍛えてきたからね」
あとは ドゥーア先生のところで騎士さん達との訓練が出来たのも大きいかな。対人戦はやっぱり人相手にしないと上達しないもんね。
「おお、本当に強くなってるぞ。前は避けることをメインでやってたが、今回は避けながら攻撃を入れてたな。ちゃんと相手をよく見てるし成長してる」
エデル先生からも 頭を撫でながら褒められる。
本当に?それは非常に嬉しいですよ。
周りが強すぎる人が多いと自分の成長がよく分からないんだよね。
お父さんは私のレベルに上げて 少しずつ調整してくれているから いつまでたっても攻撃が当たらないし。
だけど久しぶりに会う先生たちにそう言ってもらえると 自信につながります。
この後少しの休憩を挟み ハチ君とも対戦、その後 見ていた別の子供達からもお誘いを頂いたんだけど ココアちゃんが遊びたいと ハチ君との対戦前から待っていたので そちらを優先させてもらった。
まだしばらくは 村に滞在する予定だし、また一緒にやりましょう。
491
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる