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村でのひととき
第284話 商業ギルドに登録
しおりを挟むギルドで商標登録の相談をした夜、折角だからと お家のお風呂場でハンモック風呂を試してみました。
これはね、売れます!
もうね、覚えてないけど お母さんのおなかの中にいる時って こんな感じだったんかな?って思う感じの気持ちよさですよ。
お父さんも結構 長風呂になったレベルで気持ちよかった。
「裏の森で 木に引っ掛けてお風呂入るのも良さそうじゃない?」
「おぉ、それは気持ち良さそうじゃな。明日やってみるか」
思わず二人でノリノリになる程度にはテンションが上がりましたよ。
で、翌日のお昼前にギルドに到着です。
受付で声を掛けたら 会議室で待っているように言われたので 指定されたお部屋で待ってます。
ちょっと早く来過ぎたようだったので お父さんと二人で向かい合わせになってトランプをして時間を潰していたら 到着したみたい。
コンコンコン
「ああ、お待たせしました」
「ほお、こちらのお嬢さんが?」
サブマスと一緒に入ってきたのは とんがり眼鏡が良く似合う シャープな顔立ちのおじさま。耳と尻尾から見るとキツネ獣人かな?
イメージだけど キツネは金勘定が上手そうだから 商業ギルドが良く似合う。
ギルマスも入ってきたところで 扉が閉められた。
「それで マニーさん、昨日連絡した通り カルタの商標登録もこちらのヴィオさんに変更をお願いします。今は父親のアルクが代理で登録していますから」
「ほうほう、カルタもこのお嬢さんが?
ケストネル公爵令嬢以来の才女到来というわけですね、ふむふむ、お嬢さん、今回の折り畳み式の風呂ですが 非常に面白い発想でしたよ。
ハンモック自体は これまでも存在しておりましたが、まさかそれを素材を変えて風呂にしようなど 誰も考えなかったでしょう。素晴らしいですね。
他に何かお考え中のものはありますか?
思い付いた時には直ぐ 私に直接連絡いただけましたら 直ぐにでも駆けつけましょう。
他のギルドではお時間がかかったり 面倒な質問が沢山来るでしょうが、私なら大丈夫です。即決断!これをモットーにしておりますからね」
眼鏡をクイクイしながら にじり寄ってくるのはやめてください。
しかも名前がマニーさん?
お父さんも 将来を見据えて名付けをされたのでしょうか?
いや、この世界では共通通貨がラリ、ナイル、ダリルだから違うのか。
「はいはい、まずは商業ギルドの登録だろ?
うちのギルド員を無駄にビビらせないで貰えるか?」
「おや、これは失礼しました。
才能のある若い方が大好きでしてね、ですが 本心ですから」
ギルマスが手を叩いて止めてくれたことで マニーさんがスッと元の位置に戻ってくれた。
ふぅ~、キャラが濃い人が多いねぇ。
ニコッと微笑むマニーさんなんだけど、どうしてだろう、眼鏡にドルマークが輝いて見えるよ。
出された書類は3枚。
1枚目は商業ギルドのギルド登録用紙
2枚目は ハンモック風呂の商標登録用紙
3枚目は カルタの商標登録者変更用紙だった。
名前と年齢だけだった冒険者ギルドの登録用紙は適当過ぎたんじゃない?と今更思う。
商業ギルドの登録用紙には名前と年齢の他に 職種、事業内容、所在地を記載する欄がある。
名前と年齢のところに横線があるので これは不記載で良いという事だろう。
「この職種とかは何を書けばいいですか?」
「ええ、こちらはお店を持つ人たちが基本は設定しますので 冒険者であるお嬢さんの場合は『行商』でよいでしょう。今後もし回復薬などを旅の途中で作った時も、薬局や 商業ギルドに買い取りをしてもらう時 この行商があれば 面倒な手続きが不要になります。
もしお店を将来持つときは この行商から 薬局や魔道具屋などに変更して頂きます」
へぇ、売り歩く人じゃなくても行商なんだね。
大きな町にあったような屋台も、町に住居があって屋台を店としてやりくりしている人は販売だけど、町から町に移動しながらの屋台は行商なんだって。
「この事業内容に関しては 『共有』にしておきましょう」
「共有?」
「ええ、今回のお嬢さんのように 新しい商品の知識や 技術の登録をするだけの人や、薬などを作るけど自分の店を持たずに ギルドや専門店に販売する人の事ですね。
知的財産の共有という意味だそうですよ」
これもまた勇者が決めたことのひとつらしい。
勇者はきっと成人した人だったんだね、色々勇者が考えたことを聞いていると社会人経験が長かった人なんだろうと思う。
もしかしたら召喚されたとかじゃなくて、お爺ちゃんで大往生して 記憶持ちのまま転生してきたのかもしれないね。うん、その方が納得できる。
召喚された時に 社会人ベテランの30代後半だったら ちょっと体力的にしんどいだろうし、若かったらここまでの知識はないはずだもんね。
所在地はお店を持つならその場所だけど、そうじゃない場合は 住んでいる村か町で良いとの事なのでサマニア村と記載する。
全てに漏れが無いかを確認して 冒険者カードを渡せば、最初に登録した時と同じような機械を取り出し 用紙とカードをセットした。
「ああ、銅ランクという事でしたらタグもありますよね?そちらもお願いします」
言われてタグも渡したら、紐から外して 機械の中に一緒にセットして蓋を閉じた。
その間に商標登録の用紙に記載していく。
こちらは既に 作り方などの詳細はアランさんが記載しており、作り手のところに店とアランさんの名前が入っていた。
右下には サブマスの名前が書いてあり、その下に名前を書くように言われる。
「ああ、私の名前は この商品を考えた人と作った人に間違いはないという保証人のようなものですね。実は違う人が考えたものを勝手に登録されないようになっているのですよ」
前の代理人登録の時も思ったけど、思っていた以上に 発案者の権利を護ってくれる態勢になってることに驚く。
これは勇者の手柄ではなく、例の公爵令嬢が登録した時のひと悶着が原因で新たに作られた約束事らしい。良い時代に産まれたと感謝しますよ。
お父さんから変更の用紙も 私が名義人の空欄だったところにサインするだけだった。
小さい文字で詐欺みたいなよく分からない文言が書いてある なんてこともなく、無事に全ての登録が終了した。
「ありがとうございました。これで今後更に 素晴らしいお取引が出来そうです。
そろそろサマニア村にも商業ギルドを設置いたしますか?」
「いや、要らねえだろ。商業の奴らでうちの周辺にいる魔獣を簡単に倒せる奴らがいるなら良いけど、いねえなら守れねえぞ。
うちは自衛できる奴らしか定住できねえからな」
「そ、そうでしたね。ええ、流石にちょっと戦いは遠慮しておこうかな。
ですが、カルタはよく売れておりますよ。簡単な作りですから他でも作られ始めていますが こちらの魔獣カルタは他国のギルドからも問い合わせがございますからね。是非今後もお願いいたしますよ。
ハンモック風呂は ある程度数が出来たら取りに参りますね」
商業ギルドを作らない理由はそういう理由だったんだね。
まあ マニーさんは非戦闘員っぽいもんね。 うちもギルドの受付さん達は非戦闘員だけど、ホーンラビットとウルフくらいなら狩れるらしいもんね。
あ、あの森のウルフとホーンラビットだからね。弱くはないって事ですよ、はい。
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