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パーティー

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 それから数日で完全に体の感覚を取り戻したパトリシアは、シャルルと共に隊と合流し、大穴の攻略に挑んだ。
 複雑な造りの割には内部はそう広くなく、ひと月後には完全攻略を成し遂げた。
 他のモンスターの巣にもなりうる大穴は魔法により塞がれ、大きな被害がでることもなく任務は終了となった。

 今回の大型蜘蛛の討伐と大穴の封鎖は周辺地域の安全に大きく貢献したとされ、討伐と探索に関わった騎士や魔道士の功績を讃えるパーティーが王宮で催されることになった。

 主役の1人であるパトリシアも勿論出席するようにと言われ、礼装用の隊服の状態を確認しなければと思っていた。

 ……のだが。

 パーティー当日、パトリシアは鏡に映る自分の姿をみて、なんとも微妙な表情を浮かべていた。

「よくお似合いですよ、パトリシア様」

 魔道士宮での専属侍女が支度を終えたパトリシアのドレス姿をみて心からの笑みを浮かべた。
 パトリシアが着ているのは裾に向かって紫から白のグラデーションが綺麗な肩と鎖骨を露出した光沢のあるドレスだ。

 一見するとシンプルなデザインだが、胸元を中心に裾まで散りばめられた小さな無数の宝石は全てダイヤモンドで、腰から床まである濃淡のあるリボンは動くたびに尾ひれのように揺れ華やかさを演出している。

 そして贅を凝らした煌びやかなネックレスとイヤリングがパトリシアの白い肌を彩っている。
 髪型はその装飾が映えるよう頭の後ろで緩く結われ、妖艶で美しい仕上がりとなった。

 夜会に相応しい装いだが、このドレスや装飾を用意したのはパトリシアではない。

「プレゼントなさったロシュディ殿下もきっとお喜びになりますわね」

 そう。ロシュディだ。

 また性懲りも無くこんな高価な贈り物を寄越すだなんて……!

 外堀を埋められている気がしていい気分ではないが、久しぶりに纏ったドレスは素直に素敵だと思う。無駄にセンスがいいところがなんだか悔しい。

 鏡越しに引き攣った笑みを返し、パトリシアは侍女に聞かれないように小さくため息をついた。
 ドレスと一緒に届いた手紙には『是非これを着てパーティーに出席してほしい』と書いてあった。

 貴方王族から贈られた物を着ないわけにはいかないでしょ!

 胸の内で文句を言いながらも、パトリシアは仕方ないと肩を落としてパーティー会場へと向かった。

 相変わらず人でごった返している賑やかな場所には慣れないが、オージェ国王の乾杯の音頭で始まったパーティーでパトリシアは見知った魔道士仲間達と話に花を咲かせ、そこそこ楽しむことができた。
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