【完結】俺の身体の半分は糖分で出来ている!? スイーツ男子の異世界紀行

海野ことり

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㊸神様の代理人−1

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 まぁね、バレてるかなと思ったことは何度もあった。
 俺は結構ぺらぺらと迂闊な事を口走っていたし、こっちには純血の人間はいない筈なのにどう見たって俺に獣の血は入っていない。
 それでも正面から言われると、『あぁぁぁ……バレちゃった』って気にはなる。 

「恐らく、異世界人には異世界の神の加護があります」
 う~ん、残念ながらそれを聞いても嬉しいどころか困惑しか感じなかった。だって俺は何の神様も信じていなかったし、こっちみたいに姿かたちを見れるなら兎も角として、向こうの世界では神の気配すら感じたことはなかった。

「俺のいた所には、色んな神様がいたけど想像っていうか妄想っていうか、人間が考え出したものでこっちみたいに本当にいると信じられていなかった」
 いやそれは俺がそう思ってるだけで他の国ではちゃんと信じられていたのかもしれないけど、でもやはりこちらとは違う。

「あり方が違っても、神はいます。本来は人に不干渉な筈の異世界の神がそなたに加護を与えたのは、自分の庇護下から出たからでしょう。そなたを引き止めることは出来ませんが、加護を与えることで他の神を牽制することは出来ます」
「んん? 縄張り争いみたいなもの?」
「厳密には違いますが、そなたにわかりやすく言うならそうです」
 そっか。よその神のお手つきだから遠慮してたってことか。
 これは安全保障が一つ増えたと思っても良いのかな?

「お師匠様は俺を利用したい、でも異世界の神様の手前、自分の手下には出来ない。だから俺が自分の希望で、自主的に大神に会いたがったのはお師匠様にとって都合が良かった。そこまではいいです、わかりました。でも、俺を使い終わったら――或いは役に立たなかったら、どうしようと思っていますか?」
 俺はにっこりと笑いながらそう聞いた。
 バカ正直に訊ねたって答えてくれないかもしれないけど、俺としては是非とも聞いておきたいところだ。

「どう、とは?」
 お師匠様が、らしくもなく空っ惚けた。
 ちょっと止めてくれよ。そういうのはお師匠様らしくないよ。
 今まで散々したり顔って奴を披露していた癖に、今さら駆け引きか? 興醒めなんだけど。
 俺は唇を尖らせて言う。

「そのくらい、教えてくれたって良いじゃん。加護があったって、俺が完全に守られてるって訳じゃないんだから」
 大体、加護を与えられているのだって、きっと俺の為とかじゃなくて神様側の都合なんだ。取られると不都合だとか体面が悪いとかそういう理由で、取られないように加護を与えた。
 俺も少しは神の考え方ってのを理解できるようになってきたんだからな。
 フンス、と鼻息も荒い俺にお師匠様が呆れたように言う。

「役に立たなかったからと言って、そなたに何かしようとは思っていません。ただ、大神も獣神も絡むこの状況では、私ごときでは何も確かなことは言えないだけです」
「むぅ……」
 ある意味、正直といえば正直なんだろう。
 だってお師匠様は状況次第では俺を利用しようとするだろうし、見捨てる事だってあるだろう。
 でも自分の邪魔にならない限りは手助けだってしてくれそうだし、これまでと方針は変わらないっちゃ変わらない。

「わかりました。一応まだ、利害は一致していますしね。互いに協力する方向で頑張りたいと思います」
「ええ。ですから大神の気を引く策を練りましょう」
「だからそれで俺が犠牲になるのは嫌なんですってば!」
 もうっ、ちっともわかってないじゃん!
 これじゃあ、一周回って堂々巡りだよ。

「チヤ、落ち着け」
 ロクに落ち着いた低い声でそう言われ、ぷりぷりと怒っていた俺の頭が冷えた。

「ごめん、どうせなら二人揃っての身の振り方を考えなくちゃだよね」
 だって俺たちは、このまま普通に戻る事だって出来なさそうだからね。
 この先、何処でどうやって、何をして生きていくのかを真剣に考えなくちゃいけない。

「いっそ二人揃って死んだことにして、冒険者になるのも良いと思うが、いやか?」
「冒険者かぁ……。イヤって言うか、異世界にはない職種だから想像が付かないんだよね。俺に荒事は向かないし、やるなら後方支援だね」
 どっか奥の方に隠れて薬を作ってるだけなら俺にも出来そうだ。

「薬を売るなら、貴族のままの方が安全だな」
「う~ん、今のロクに貴族は無理じゃない? きっと王様に妬まれるよ」
 国で一番猛々しくて高貴な筈の王家の獣人より、ロクはずっと立派で見た目がいいもの。間違いなく、国が割れるね。

「しかし天界に留まるつもりはないのだろう?」
「うん。正直に言って、天界はつまらない」
 ここにいれば外敵もなくゆったりと暮らせる事はわかっているけど、やっぱり俺は人がいる所で暮らしたい。

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