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第2章 新パーティー結成編

42.『気』と『魔』の融合

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「『アイテムボックス』!!」


俺はアイテムボックスから取り出したマナポーションで魔力を回復した。

しかし、


「あと何十発大技をぶつけても倒せる気がしない…」


ヒュドラは丈夫すぎる。

魔素で作った危険度Sランクの魔物と実際の危険度Sランクの魔物がここまで違うとは…。


「やっとラーニング3つ同時発動できるようになったのに…」


これまでのグリーンドラゴンやオークロードではブーストしていたとはいえラーニング3つ同時発動で倒してきた。

そして、今回は『マナドレイン』で吸収するリザードもいない。
魔力を分けてくれる大勢の冒険者もいない。

いったいどうしたものか。

ラーニング3つ同時発動でさえも決め手にかける。


「シャアアアアアアアア!!!!!!!!」


大暴れするだけのヒュドラだったが
俺たちを完全に敵対して狙ってくる。


負傷しているとはいえ
まだまだバリバリ動く8つの首。

厄介だ。


ズガン!!


「ぐ!?」


テンちゃんがヒュドラのシッポが勢いよく食らってしまう。

そして、そのまま飛ばされて木に激突した。


「テンちゃん!!!」


俺は大声をあげて名前を呼んだ。


「く…油断したネ。
大丈夫アル!  『気』で防御したネ!」


『気』ってそんなこともできるのか!

とにかく無事でよかった。


ヒュドラのやつめ!


「ラーニング3つ同時発動!
『発勁』『剛剣』『鬼豪腕』
合成!『剛勁鬼剣』!!!!!!!!」


『剛勁鬼剣』。
力強い剣技にオークロードの怪力。
そこへ『八極気功拳法』の『発勁』を乗せた超パワー斬撃だ。


ズガーン!!!!!!!!!!!!


「シャアアアアアアアア!?!?!?」


ぶしゅうううううう!!!


一度攻撃して切り傷をつけた部分にもう一度大技を当ててみた。
そしたらついにヒュドラが多くの出血をした。


「よし!…くっ!?」


しかし、ラーニングの3つ同時発動でさっき回復にマナポーションを飲んだのだがもうすぐに回復した分の半分以上使ってしまい膝を地面についてしまう。


「くそ…ここまで消費するとは…」


ラーニング3つ同時発動もそうだが『気』を同時に発動しているのも大量の魔力を消費する。

『気』も剣技もラーニングをベースにして発動しているのでどちらも魔力が消費される。

しかし、『気』のコントロールが難しく、ラーニングで『気』を発動すると大量の魔力が消費される。
そこへ更にラーニングの追加発動だ。

ラーニングの3つ同時発動すら制御するのに大量の魔力を使っているのだから。


「ウェル! もうアレしかないのじゃ!」


アレとは…まさか…。


「ワタシもそう考えていたアル!」


テンちゃんも思いついたか…。


「『気』と『魔力』の融合ですね…」



数日前。


『気』と『魔力』の融合。
俺はラーニングの練習で何度も試した。

その結果、1回だけできたのだった。


「わわわわわわ!!!
凄い力を感じる!!!」


これまでに感じたことのないすごい力が湧き上がる。

しかし、

パシュー!!!


「うわ!?!?」


何かが破裂して身体が吹っ飛んだ。
2メートルぐらい飛んだかな?


「いてて…」


もう少しで何か掴めそうだったのに暴発したようだ。


「まだまだ実戦は無理そうじゃな」


「でも、あと少しで奇跡の融合が完成するアル!」


その光景を見ていたエリスお嬢様とテンちゃん。

いつかできると2人は期待してくれている。


そして…現在。

確かにヒュドラを倒すには『気』と『魔力』の融合を試すしかないだろう。

しかし、ほとんど成功したことはない。


「…俺にできるのか…?」


失敗するかもしれない。
しかし、


「いや、やるしかない!!!!」


俺は腹をくくった。


「エリスお嬢様!!  テンちゃん!!
時間稼ぎお願いします!!!!」


「任せるアル!!!!」


「ペットの願いも叶えられんなら主人失格じゃからな!!!」


エリスお嬢様とテンちゃんがそれぞれ動いた。


「シャアアアアアアアア!!!!」


ヒュドラがそれに気づいたのか8つの頭を使って
毒ガスを一斉に吐き出す。


「毒ガスがなんだアルか!!」


そこへテンちゃんが突っ込む。

「癒しの光、魔を取り除く精霊の加護を、汝に与える輝きの星、その全てを解除せよ!
光魔法 『リリース』」


そして、エリスお嬢様が解毒のために光魔法 『リリース』を発動。


ヒュドラは自らの毒ガスでテンちゃんを見失ったようだ。


「ここアル!!」

そして、テンちゃんがヒュドラの懐に潜り込む。
毒はエリスお嬢様の魔法で解毒されたようだ。
なんて無茶を…。


「八極気功拳『砲滅覇山』!!」


『気』を集中した拳をヒュドラの腹に直撃させる。

ズガーン!!!!!!!!


「シャアアアアアアアア!?」


よろめくヒュドラ。
しかし、これでもさほどダメージは受けていない。

そして、俺は。


「ラーニング2つ同時発動!」


『気』と『魔力』の融合を試みる。


「ぐぬぬぬぬぬ!!」


全身が光出して力が増していくのがわかる。
しかし、そのあまりにも強いエネルギーを制御するのは難しい。


「少しでいい!  ヒュドラを倒す力を!!」


俺は集中する。
そして、その力を剣に集めた。


「よし !  このまま斬りつけてやる!」


俺は走ってヒュドラに向かう。


「うぉぉおおおおお!!!!!!!!」


「行くのじゃ!!」


「やっつけるアル!!」


俺は2人の想いを剣に込めて最大の一撃をヒュドラに向ける。


しかし、


「シャアアアアアアアア!!!!!!!!」


ヒュドラがものすごい叫び声を上げてきた。


「く、なんだ!?」


俺は少し怯んでしまった。

だがそれが集中力の欠落に繋がり。


ピカッ!


「え!?」


光が暴発して爆発を起こした。


ズドーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「ウェル!!!!」


そして、爆煙が晴れるころ

ウェルはボロボロになり倒れていた。


「ウェルーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」



エリスとテンテンがウェルの名を叫ぶ。

果たしてウェルは無事なのか…!?
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