上 下
82 / 112
第5章 幽霊屋敷編

81.悪霊退散

しおりを挟む
俺たちはAランククエストを達成するため、悪霊の住む屋敷にたどり着いた。
しかし、屋敷の扉が開いて危険度Cランクの魔物。
『スケルトン』が大量に現れた。


「屋敷を傷つけるとリフォームが大変になるから
派手な技なしで行くぞ!」


俺の指示の元動くパーティー。


「あ、待ってくださいませウェル!
霊力は扱いが難しいから加減しすぎると
そんないっぺんに倒せませんわ!」


リーズの言葉が聞こえず俺は迷わず突っ込む。


「新技!!ラーニング2つ同時発動!!
『霊力』『迅剣』!
合成!!  『霊迅剣』!!!」


『霊迅剣』。

霊力の込めた高速でしなやかな剣技。
威力よりも速さと正確性のある技法で
スケルトンたちを切りまくる。

スバババババーーーーン!!!!!!!

カタカタカタカタカタ!!


俺は20体ほどいたスケルトンをあっという間に倒した。


「終わりましたー!」


あっという間にスケルトンを倒すほど、霊力を使いこなすウェルを見て、ポカーンとするリーズ。


「……驚きですわ…」


本来、霊力は扱いが難しいので、余計な力を使ったり弱すぎたりするもの。

しかし、俺は初の実践で余裕でコントロールするのであった。


「気持ちはわかるアル…リーズ」


長年の研鑽を重ねてやっと習得した『気』を
俺にあっさりマスターされたので、リーズの気持ちを察することができるテンちゃんは、ポンとリーズの肩を叩いた。


「元々は『ラーニング』という1つの固有魔法を
使っておるだけじゃからな。
一度習得すれば使いこなすのは容易じゃ。
それどころか『魔力』と『気』の融合も
できるほど器用になったしのう」


俺は霊力を使っているというより、固有魔法『ラーニング』を媒体として、『霊力』や『気』を使っているのだ。

なので、単体で扱うなど容易。

さらに、最もかけ離れている『魔力』と『気』を融合した『魔導気』を扱えるようになったので、このくらい朝飯前と解説するエリスお嬢様。


「で、では参りましょう!
ウェルが先に行ってしまいますわ!」


俺の魔法に驚きつつも、先に行こうと提案するリーズ。


「そうアルな。
いちいち驚いていていたらキリがないアル」


そして、ウェルパーティーはスケルトンが出てきた扉の中に入っていく。


「やはり屋敷の中は真っ暗ですわね。
それに不気味なくらい静かですわ」


外は昼だが屋敷の周辺だけ霧がたちこもって夜であった。

なので、屋敷に明かりがないと真っ暗で何も見えない。


「それなら俺に任せて!」


俺はそういうと手のひらを天井にかざした。


「光魔法『ライト』!」


光魔法『ライト』。
懐中電灯代わりになる程度のただ光るだけの魔法。
自分中心に光らせたり先まで照らしたりできる。

エリスお嬢様が人形に魂を移す時に使ってから一度も
使っていないので久しぶりの使用である。


「明るくなりましたわ!」


「ウェルってチートな便利屋アルな!」


チートな便利屋って何!?


「呑気なことは言っておれんぞ!
囲まれておる!!」


光を照らすと魔物の姿が見えた。


「ヒーッヒッヒッヒッヒ!」


危険度Cランクの魔物『ゴースト』。
フードを深く覆いかぶさり足のない魔物だ。

死んだ人間が何らかの理由で、魔素を取り入れすぎて魔物となった。

ゴーストは霊体であるため通常の物理攻撃は無効化する。

そのかわり魔力や気などに弱く、特に光魔法や霊力が弱点で小さな力や回復魔法でも、多大なダメージを受ける。

つまり、


「新技!!ラーニング2つ同時発動!!
『霊力』『剛剣』!
合成!!  『霊剛剣』!!!」


ズバーン!!


「八極気功拳『川掌(せんしょう』!!」


ズドーン!!


「召喚!ディア!『ライトニングアロー』!!」


ビシュ!


「光魔法『ヒール』!!」


パァーッ



「ギャアアアアア!!!!!!!」



ウェルパーティーの一斉攻撃により、ゴーストたちは瞬殺された。


「まったく相手にならんのう」


「『気』も有効で良かったアル!」


ちなみにエリスは初級魔法『ヒール』なら
無詠唱で使えるようになった。


リーズとのAランククエストの勝負で『ヒール』上位互換の『エクストラヒール』を、使いまくったおかげでレベルアップしたのだろう。


「油断はまだできませんわ!
邪な霊力がさっきよりも、強くなってきておりますわ!」


霊力を持つリーズだからこそわかるのだろう。
そして、俺も気づいている。


「俺もわかる…あそこだ!」


大広間から中央の階段を登ったところに邪な霊力が集まってきている。

邪な霊力の塊がどんどん人の形を作っていった。

そこに現れたのは長い青髪で、どこか寂しそうな赤い瞳の全身青いドレスの美少女が現れた。


「…ケテ…」


少女は何か言っている。


「何アル?」


「…タスケテ…」



助けて。
少女は確かにそういった。
一体何がどうなっているのか。


「これは死後しばらく経ってから
悪霊に呑まれたみたいですわ!」


悪霊に呑み込まれた。
それは一体どういうことなのか。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

神の末裔は褥に微睡む。

BL / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:2,361

勇者は発情中

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:241pt お気に入り:57

愛され美少年で悪役令嬢の弟の僕、前世はヒロインやってました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:64

【R18】渾沌の七竅

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:183

サフォネリアの咲く頃

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:5

悪役王女の跡継ぎはバッドエンドですか?

BL / 連載中 24h.ポイント:248pt お気に入り:78

異世界の剣聖女子

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:153

処理中です...