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第6章 ギルドバトル編

95.王国一の冒険者

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冒険者武道会ギルドバトルも大詰め。
『ルミネスゲート』VS『ブレイブハート』の
最終対決を迎えた。

激闘の末、ついに大将同士の戦いが始まる。

ブルガンリルム王国最強の冒険者。
レオン・スティーブ。


ルミネスゲートの飛び級で、いきなりA級冒険者となり短期間でA+2(エープラスツー)のランクとなった期待の新人ウェル・ベルク。

その正体は無能なおっさんとして惨めな思いをしてきた異世界転生者。

転生からたった3年でこんな景色を見ることになるとは思いもしなかった。

王国一の冒険者と剣を交える。

それだけでも光栄なことだ。


しかし



「勝つ!!!!!!!!」


勝利一択だ。



歓声とともに会場に上がるレオンと俺。

言葉は交わさない。

お互い全力を尽くすのみ。

顔を見合っただけでそれが伝わった。



「始め!!!!!!!!」


はじまりの合図とともにレオンと俺は
一気に間合いを詰めて剣をぶつけ合う。


ズガガガガガガガガガ!!!!!!!!


いきなりの激しい戦闘だ。


「うぉおおおぉぉおおおおおお!!!!!!!!」


これには観客も大盛り上がり。


レオンに比べて身長の低い俺は
二刀流で小回りを効かせて隙をつく。

しかし、それすらも全て受け流し反撃するレオン。

お互いどちらも引けを取らない素晴らしい戦いだ。

と思えたのだが。


「……ウォーミングアップはこのくらいでいいかな?」


「はい、探り合いはもう十分です」



「ええええええええええええ!?!?!?!?」


先程までの俺とレオンの剣術は、まだまだお遊びで本番はここからだ。
観客全員がこれに驚く。


「なんということだーーー!!!
今の攻防がウォーミングアップだとーーーー!?
スゴすぎるぞ!  この2人!!!」


そして、実況者のロムも興奮を抑えられない。

そして、俺は剣を一本納める。


「氷属性を使うなら炎属性で攻めてやる。
ラーニング3つ同時発動!!!
『ファイヤブレス』『剛剣』『獣豪腕(じゅうごうわん)』
合成!『火炎獣剛剣』!!!!」


『火炎獣剛剣』。
グリーンドラゴンの『ファイヤブレス』。
ギルドマスター ゲルドの『剛剣』。
オークロードの怪力を組み合わせた炎の斬撃だ。


「なんという巨大な火柱!!
ウェルは魔法剣士なのか!?」

会場の天井にある結界を貫く勢いで登る火柱に驚くロム。

ロムによると魔法を行使しながら剣術を扱うのは、魔法剣士らしい。


ズドーン!!!!!!!!


『火炎獣剛剣』がレオンに直撃した。


「おーーーーっと!!!!
巨大な火柱がレオンに直撃してしまった!!
大丈夫なのか!?!?」


氷の魔法剣士なら弱点である炎で狙うという作戦。
しかし、


ピキピキ


危険度Aランクの魔物なら一撃で倒せる俺の技『火炎獣剛剣』をレオンは片手で受け止めて、その炎を凍らせたのだ。


「素手で炎を凍らせたーーー!!!
しかも無傷のようです!!!」



レオンはメガネをクイッと上げて説明する。


「氷には炎。
確かに弱点をつくのは定番の戦略だ。
だが私の魔力がはるか上ならば通用しない」


魔法には属性というのがあり全部で10種類ある。
その属性には氷には炎、水には雷といったそれぞれ弱点がある。

そして、例え弱点をつかれたとしても、魔力に差があれば凌駕できるのだ。

つまり、俺の魔力はレオンの魔力の足元にも及びない。


「くっ!!  それなら!!
『魔導気』制限時間10秒!!」


俺は『魔導気』を使って大幅身体強化をする。

すぐさまレオンに斬り掛かる。


「ラーニング発動!
二刀流『迅剣」!!」


俺は剣を二本持ち、しなやかで素早い剣術で数を撃つ。

先程のウォーミングアップの剣術バトルとは、比べ物にならない速度と手数だ。


「は!!!」


ズガガガガ!!!!

それなのにも関わらずレオンは
剣1本で俺の速度にギリギリついていく。


そして10秒が経過した。


「…な…魔導気について来れるなんて…」


俺は今まで『魔導気』を使用すると
ヒュドラ、ジェネラルベヒーモス、闇ギルド『ナハト』の構成員にも圧倒するほどの戦闘モードになれる。

危険度Sランクの魔物を圧倒するレオンは、やはりS級冒険者を凌駕している。


「…いや…もう少し長く続けられると危なかったよ。
しかも、ジェネラルベヒーモス討伐の時に見せてもらったから見切ることができた。
初見だとここまで張り合えなかったよ」


俺の魔導気による強化はレオンを凌ぐかもしれない。

しかし、たった1回の魔導気を見ただけで見切ったという。

とんでもない天才だ。

しかし、それだけではない。


ピキーン


ウェルの剣が2本とも凍っていた。


「え!?!?」


俺は剣を凍らせられたことにまったく気づかなかった。


「氷剣『グロスブレイド』。
冷気を纏った氷の剣で斬る魔法剣だ。
この状態の剣で打ち合ったら剣は凍りつき砕け散る」


パチン


バリーーン!


レオンが指を鳴らすと俺の2本の剣は砕かれた。


「まだやるかい?」


圧倒的。
いや、実力はそこまで差はない。
戦闘経験、戦略の差だ。

俺はA級冒険者を始めてならまだ数ヶ月。

対するレオンはG級冒険者の頃からずっと剣を握ってS級冒険者まで上り詰めたのだ。


「……まだ…奥の手があります!!!」
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