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腹黒VS腹黒&腹黒

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 「お兄様、シルヴィア姉様が体調崩したらしいのですが、お聞きになりました?」

 「聞いたよ。」

 「お見舞いには行かれないのですか?
 どんなに忙しくてもいつものお兄様なら公爵家へ向かいそうなのに。」

 「行かない。本当に体調崩したのならば行くけどね。」

 「あら。偽りということですか?」

 「立て続けに驚かせちゃったから、おそらく僕が原因。しかも公爵夫人・・経由で休みの連絡がきたから、僕も少し大人しく・・・・しないと。」

 「公爵夫人経由ですか。お兄様が顔をみせたら説教コースになりそうですね。」

 「あの腹黒が説教だけで済ますとは思わないよ。裏を読むと、シルヴィアが僕の事を拒否しても知らないよという注意喚起をしてくれてるのだから。」

 「嫌だわ。この腹黒達の暗号のようなやり取り。でも、公爵夫人はお姉様が将来お兄様に嫁ぐのは認めてなかったのではありませんでしたか?何故わかりにくい注意喚起を?」

 「いくつかあった条件の中で一番強い条件は、シルヴィアがどう思うのかというもの。追い詰めて、本心から僕を異性として拒否すれば終わり。娘に自由な考えを与えたいというもの。
 彼女は立場的にみても、何もしなくても、王家が指名する可能性は高くなるからね。」

 「なるほど。でも、大元の原因はお兄様が赤ん坊の頃からのシルヴィア姉様にご執心だったと両親から聞いてますよ?流石に妹の私でさえ、何か怖いものをお兄様に覚えましたわ。」

 「そればかりは僕だってどうしようも出来ないよ?愛の女神にでも聞いて。シルヴィアじゃないと僕は駄目だから。」

 「いや、そうではなくて幼い頃からご自分の気持ちに素直すぎてあからさまだったのもと思いますけど?しかも子供にしては執着心が・・。」

 「だから異性を感じさせないよう控えていたでしょうが。」

 どうすれば腹黒兄妹があの両陛下から生まれてくることになるのか、側近の者たちは首を傾けるとともに、将来何があっても2人に対しての忠誠を蔑ろにしてはならないと別の意味で怖さを覚えているのであった。

 だが、その腹黒王子が恐れているのは腹黒公爵夫人。

 公爵家で過ごした数日で十分怖さを刷り込まれているのであった。
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