ブラックローズはかれおちる

竜胆

文字の大きさ
2 / 8
実り始めたくろいつぼみ

第一話 家庭教師

しおりを挟む
まじでありえない。かぁさんは何を考えてるんだ。確かに家庭教師が欲しいと頼んだのは俺だ。でも他に選択肢があっただろ?




「ぶつぶつぶつぶつぶつ………」

「……く……かづ…………くん……かづくん……かづくん!!聞いてる!?」

「っ!あっあぁ、ねぇさんごめん聞いてなかった。」

「もう!かづくんったらそんなに何考えてたの?」

「かづくんはきっと自分だけ恋人が出来たことがないのを気にしてるんだよ~!しづちゃん」

「およ?そんなこと気にしてるの?かづくんはかっこいいから大丈夫!」

「いや、ねぇさんもいずみもかって決め付けないでくれよ?」

「じゃあ何で悩んでたの~?」

「そうだよ、かづくん?おねぇちゃんは心配です。」

「そんなに心配しなくても俺もねぇさんたちと同じく中学三年生なんだけど……」

「そこは関係ないのよ?だって私たちは兄弟なんだもの。おねぇちゃんは心配するものよ?」

「しづちゃんはいいおねぇちゃんだよ。かづくん!」




そんなことわかってる




「わかってるよ。でもほんとに心配するようなことじゃないんだ。今日から家庭教師が来るんだけど……それがいずみの従兄妹なんだよ。」

「きょうくん?」

「きょうにぃ?そういえばかづくん私が泣いたあの日からきょうにぃのこと嫌いなんだっけ?」




いやいやもっと前から嫌いだよ。ねぇさんとあいつが結婚の約束したあの日からあいつがだいっきらいだ。あいつと幸せそうなねぇさんを見ると胸が苦しくなって吐きそうになる。でもねぇさんを心配させたくないしいずみにも悪いしな




「そういうわけじゃないよ?ただ苦手ってだけ……」

「そうなんだ!きょうくんは怖い人ってわけでも酷い人でもない、やさしい人だから話せばきっと苦手じゃなくなるよ!」

「そうねぇ、きょうにぃはやさしいおにいさんよ。昔、私が泣いたことを気にしてるならあれは知らなかった私が悪いのだし……」

「それもあるけど……いや、たいしたことじゃないから大丈夫だよ。そうだ!ねぇさんたちは学校終わったらどうするの?俺はきょう兄さんが家庭教師としてくるからまっすぐ家に帰るけど」

「私たちは新しい彼氏探し!ねぇしづちゃん?」

「そうなの。でも新しい彼氏の件についてはいずちゃんに話したいことがあるから今日は一緒にカフェでお茶しましょ?」

「そうなの?二人でお茶もいいね!楽しみ~」




よし、無事に話を逸らせたかな




「二人は放課後、カフェ行くの?だったらおススメのとこがあるんだけど」

「え?どこどこ~」

「カフェステッラ、イタリア語で星って意味らしい。そこのマスターの紅茶美味しかったから二人に教えようと思ってたんだよね。良かったらぜひ行って欲しいな。あっ流行のタピオカのみに行く予定だったりした?」

「ううん、かづくんが美味しいって言う店ならきっと美味しいと思うから今日はそこにするわ」

「紅茶大好き人間のかづくんがいうならね~」

「別に紅茶大好き人間じゃないよ。」

「そういえばきょうくんもコーヒーよりは紅茶派だったよ~」




そんな情報要らないし、でもそれなら俺の好みのやつ淹れても大丈夫かな?




「へ~そうなんだ。きょう兄さん紅茶好きなんだぁ」

「そうなの?私知らなかったわ。知ってたらかづくんの教えてくれたカフェとかの情報教えたのに」

「まぁまぁそれは今日からかづくんが自主的に教えてくれるよ!きょうくんに!」




キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン




「あっ予鈴だ。ねぇさんたち早くお弁当箱片付けて、授業始まっちゃうよ?」

「あら?もうそんな時間?」

「やば~、放課後楽しみ~」

「楽しみにするのはいいけどこれから始まるのは午後の授業だよ?」

「も~!かづくんそんな意地悪いわないでよ~」

「ごめんごめん。でも授業しっかりやらないと遊ぶのも楽しくなくなっちゃうよ?テストとかで悪い点取ったりするかもだし。」

「それは困っちゃうね。がんばる~しづちゃんもがんばろうね!」

「当たり前だよ!かづくんも頑張ってね居眠りしちゃだめだよ?」

「わかってるよ。放課後楽しんでね。じゃあ」

「またね~」

「家でね」

「うん……はぁ、行かなきゃな」




キーンコーンカーンコンキーンコーンカーンコーン




……授業に身が入らなかった、これもあいつのせいだな。第一なんで俺がおススメのカフェとか教えなきゃいけないんだよ。あっでも成績良かったときのご褒美として奢らせるのはありか。それにねぇさんやかぁさんは仲良くして欲しいみたいだし、面倒だしいやだけど仕方ないか……




「はぁ……憂鬱」

「何が憂鬱なんだ?かづくん?」

「げっなんでこっちにいるんですか?」

「げっとはなんだよ、げっとは。今日からかづくんの家庭教師だから張り切って早く着いちゃったんだよね。だから迎えに来てみた。」

「はぁ、遠足を待てない子供ですか?」

「なぁ!ちっちがうぞ!これは緊張からであって楽しみだからとかじゃ!第一!かづくんが俺と仲良くしてくれないから緊張してるんだからな?」

「別に緊張しなくていいですよ、きょう兄さん?いや今日からはきょう先生って言った方がいいですかね?」

「きょう先生?かづくんが呼びたいならそれでもかまわないけどもう昔みたいにきょうにぃって言ってくれないのか?」

「いつの話をしてるんですか?小学校より前の話をされても困ります。」

「かづくんは素直じゃないなぁ」

「早く帰りますよ。せっかく早く来たならさっさと授業してください。さぞ教えるのがうまいんでしょうねぇ、きょう先生?」

「言ったな?たっぷり勉強を教えてやろう!」




これが俺と俺の家庭教師であるきょう兄さんの放課後時間の始まりだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

虐げられた令息の第二の人生はスローライフ

りまり
BL
 僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。  僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。  だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。  救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。  お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。        

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

処理中です...