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第9話
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「ただいま」
「おかえり、カイル」
お互いの身体をぎゅっと抱き締めて体温を噛み締めると、少し背伸びをしてダリオンの唇に口付ける。俺たちの挨拶代わりのキスが頬から唇に変わった。
大好きなダリオンと唇を重ねられるのがたまらなく幸せだが、その一方で挨拶としてのキスしかできないことがもどかしく感じる。
恋人同士のような距離感なのに、実際には想いを告げられていない。もっと、ダリオンへ愛を込めたキスがしたい。何より、大きく膨らんだダリオンへの好きという気持ちがもう隠せなくなっていった。
「今日、帰ったらダリオンに伝えたいことがある」
いってきますのキスを終えると、そうダリオンに告げる。一瞬驚いた表情を浮かべたダリオンの顔にまたすぐ柔らかい微笑みが戻った。
「わかった。僕もカイルに伝えたいことがあるんだ」
その言葉を反芻しながら人間界での任務をこなす。ダリオンの身体の傷はかなり良くなったようで、休職から少しずつ復帰することも検討していると言う。
もしかしたらこの家を出ていくことを打ち明けたいのかな。でもだったら尚更、俺の気持ちを言わないと。そう思いながら決意を新たにした。
普段より口数の少ない夕食を終え、2人並んでソファに座る。話をする時は自然とここの場所と決まっていた。
「あのさ、俺からいいか?」
こくりと頷いたダリオンを見て、大きく呼吸をする。胸の中から自分の想いを掬い上げるようにゆっくりと言葉を紡いでいった。
「……ダリオンが家に来てくれてから、俺の毎日は幸せでいっぱいになった。正直最初は面倒くさいことに首突っ込んじまったって思ったし、ピアノが聴けるからそれでいっかとも思ってたけど、今はそうじゃない。悪魔だとか、ピアノの上手さとか、そういうの全部どうでもよくて、ダリオンが側に居てくれることがたまらなく嬉しい」
黙って話を聞いてくれるダリオンと視線を合わせる。
「俺は、これから先もダリオンと一緒に生活を共にしたい。ダリオンの笑顔をたくさん見たい」
一度言葉を区切ると、覚悟を決めて小さく息を吸う。
「その……ダリオンが、大好きだから。誰よりも愛しているから。それを、俺は伝えたかった」
服の裾をぎゅっと掴む。言った。言えた。後はどう受け止めてくれるかはダリオン次第だ。言葉を待つようにダリオンの臙脂色の瞳をじっと見つめていると、柔らかい微笑みに包まれる。
「……ありがとう。すごく嬉しい。僕も、カイルが大好き。心から愛してるよ」
「ほんとか!?」
思わず前のめりになった俺をなだめるように、ダリオンの手が肩を押さえる。
「でもね、カイルに僕の過去をちゃんと話しておきたいって思ったんだ。今日話そうと考えていたのはこれだよ。……楽しい話ではないんだけど、僕の話を聞いてもらえるかな」
なんとなく訳ありだと思って、これまでダリオンの過去には触れないようにしていた。でもそれを勇気を出して話そうとしてくれている。ダリオンの気持ちに応えるように、その手をぎゅっと握った。
「わかった。ゆっくりでいいし、話せる範囲で構わない。俺はずっと側に居る」
ありがとう、と呟いたダリオンが深呼吸をする。
「カイルに初めて会った時、僕がなんであんなに傷だらけだったのかと言うとね……悪魔の恋人に性的暴行を受けたからなんだ」
嘘だろ、という言葉が喉につっかえる。あまりにも衝撃的な事実に、なんと言葉を返したらいいかわからない。
あんなにもボロボロだったダリオンの怪我の原因は、恋人? 嫉妬の気持ちすら湧かず、喉がひとりでに音を立てる。
「あの日は性行為の最中に暴力を振るわれたんだ。このままだと僕はもう限界を迎えてしまうと思って、2人で暮らしてた家を飛び出した。でも体力はもう底を突きそうで、そんな僕を助けてくれたのがカイルだったんだ」
初めてダリオンと出会った日の真相が静かに語られる。
「カイルは行き場所のない僕をこうして家に置いてくれた。本当に、心の底から感謝してる」
出会った頃のカイルのこの世の全てを恐れ、失望したかのような眼差し。側に居ることを極端に嫌がっていたかのような素振り。今までのことがパズルのピースがハマったかように思ったが、それと同時に心の奥底から怒りが湧いてくる。
「……待ってくれよ。ダリオンを傷付けた奴がいるかと思うと、そいつを今すぐ殴りたくて仕方がない。そんな最低な奴はどこにいるんだ」
思わず立ち上がった俺の手を引いてダリオンがソファに座らせる。
「カイル、大丈夫。ちゃんと裁かれたから」
「裁かれた?」
「……元恋人は魔界の裁きを受けて、罪人の証として角を折られ、1500年間の懲役が課されたよ」
想像よりもはるかに重い罪の内容に思わず言葉が詰まる。
「僕もね、こんな罪は重すぎるって思った。でも悪魔長のレヴァン様が直々に僕と話す時間を作ってくださったんだ。罪を決めるのは僕ではなく法で、それに愛は誰かを傷付けるものじゃない、って」
「レヴァン様が?」
こくりとダリオンが頷く。
「レヴァン様は僕をカウンセリングの医療機関にも繋げてくれたんだ。お忙しい悪魔長なのに、こんなにも真摯に僕1人に寄り添ってくれるなんてびっくりしたよ。自分の統べる魔界で悲しい事件を起こしてしまったことが本当に申し訳ないって何度も謝ってくれた。……レヴァン様は何も悪くないのにね」
セレモニーのあの日、諸悪の根源だと睨み付けていた悪魔長の姿を思い出す。レヴァン様は諸悪の根源どころか、俺の愛するダリオンを守ろうとしていた。自分の中での常識が大きくひっくり返ったかのように感じる。
「カウンセリングに通って、少しずつ心は回復していった。ここの家にピアノがあって、大好きな音楽に触れられたのもすごく大きい。だからこそ、こうして再び誰かを愛す力を取り戻せた。でも……たとえカイルとでも、身体を繋げるのは怖いんだ」
握ったダリオンの手にぎゅっと力がこもる。
「カイルのことが大好きだよ。ずっと一緒に居たい。君と出会えた奇跡は僕にとって宝物だよ。でも……君と性行為をすることはきっとできないと思う。こんな僕でも、カイルは恋人になってくれる?」
悩むこともなく答えは決まっていた。性行為ができるかどうかなんて、些細な問題でしかない。ダリオンが側に居てくれることが俺の全てだ。そう想いを込めて、はっきりと告げる。
「あぁ、もちろんだ。その過去も今も未来も、ダリオンを丸ごと愛してる。俺たちだけの愛の形を探そう」
言葉じゃ伝えきれない愛を届けるように、腕を回してその身体をぎゅっと抱き締める。ありがとう、大好き、愛してる――溢れる想いを紡ぎながら、俺たちは想いが通じ合った喜びをいつまでも分かち合っていた。
「おかえり、カイル」
お互いの身体をぎゅっと抱き締めて体温を噛み締めると、少し背伸びをしてダリオンの唇に口付ける。俺たちの挨拶代わりのキスが頬から唇に変わった。
大好きなダリオンと唇を重ねられるのがたまらなく幸せだが、その一方で挨拶としてのキスしかできないことがもどかしく感じる。
恋人同士のような距離感なのに、実際には想いを告げられていない。もっと、ダリオンへ愛を込めたキスがしたい。何より、大きく膨らんだダリオンへの好きという気持ちがもう隠せなくなっていった。
「今日、帰ったらダリオンに伝えたいことがある」
いってきますのキスを終えると、そうダリオンに告げる。一瞬驚いた表情を浮かべたダリオンの顔にまたすぐ柔らかい微笑みが戻った。
「わかった。僕もカイルに伝えたいことがあるんだ」
その言葉を反芻しながら人間界での任務をこなす。ダリオンの身体の傷はかなり良くなったようで、休職から少しずつ復帰することも検討していると言う。
もしかしたらこの家を出ていくことを打ち明けたいのかな。でもだったら尚更、俺の気持ちを言わないと。そう思いながら決意を新たにした。
普段より口数の少ない夕食を終え、2人並んでソファに座る。話をする時は自然とここの場所と決まっていた。
「あのさ、俺からいいか?」
こくりと頷いたダリオンを見て、大きく呼吸をする。胸の中から自分の想いを掬い上げるようにゆっくりと言葉を紡いでいった。
「……ダリオンが家に来てくれてから、俺の毎日は幸せでいっぱいになった。正直最初は面倒くさいことに首突っ込んじまったって思ったし、ピアノが聴けるからそれでいっかとも思ってたけど、今はそうじゃない。悪魔だとか、ピアノの上手さとか、そういうの全部どうでもよくて、ダリオンが側に居てくれることがたまらなく嬉しい」
黙って話を聞いてくれるダリオンと視線を合わせる。
「俺は、これから先もダリオンと一緒に生活を共にしたい。ダリオンの笑顔をたくさん見たい」
一度言葉を区切ると、覚悟を決めて小さく息を吸う。
「その……ダリオンが、大好きだから。誰よりも愛しているから。それを、俺は伝えたかった」
服の裾をぎゅっと掴む。言った。言えた。後はどう受け止めてくれるかはダリオン次第だ。言葉を待つようにダリオンの臙脂色の瞳をじっと見つめていると、柔らかい微笑みに包まれる。
「……ありがとう。すごく嬉しい。僕も、カイルが大好き。心から愛してるよ」
「ほんとか!?」
思わず前のめりになった俺をなだめるように、ダリオンの手が肩を押さえる。
「でもね、カイルに僕の過去をちゃんと話しておきたいって思ったんだ。今日話そうと考えていたのはこれだよ。……楽しい話ではないんだけど、僕の話を聞いてもらえるかな」
なんとなく訳ありだと思って、これまでダリオンの過去には触れないようにしていた。でもそれを勇気を出して話そうとしてくれている。ダリオンの気持ちに応えるように、その手をぎゅっと握った。
「わかった。ゆっくりでいいし、話せる範囲で構わない。俺はずっと側に居る」
ありがとう、と呟いたダリオンが深呼吸をする。
「カイルに初めて会った時、僕がなんであんなに傷だらけだったのかと言うとね……悪魔の恋人に性的暴行を受けたからなんだ」
嘘だろ、という言葉が喉につっかえる。あまりにも衝撃的な事実に、なんと言葉を返したらいいかわからない。
あんなにもボロボロだったダリオンの怪我の原因は、恋人? 嫉妬の気持ちすら湧かず、喉がひとりでに音を立てる。
「あの日は性行為の最中に暴力を振るわれたんだ。このままだと僕はもう限界を迎えてしまうと思って、2人で暮らしてた家を飛び出した。でも体力はもう底を突きそうで、そんな僕を助けてくれたのがカイルだったんだ」
初めてダリオンと出会った日の真相が静かに語られる。
「カイルは行き場所のない僕をこうして家に置いてくれた。本当に、心の底から感謝してる」
出会った頃のカイルのこの世の全てを恐れ、失望したかのような眼差し。側に居ることを極端に嫌がっていたかのような素振り。今までのことがパズルのピースがハマったかように思ったが、それと同時に心の奥底から怒りが湧いてくる。
「……待ってくれよ。ダリオンを傷付けた奴がいるかと思うと、そいつを今すぐ殴りたくて仕方がない。そんな最低な奴はどこにいるんだ」
思わず立ち上がった俺の手を引いてダリオンがソファに座らせる。
「カイル、大丈夫。ちゃんと裁かれたから」
「裁かれた?」
「……元恋人は魔界の裁きを受けて、罪人の証として角を折られ、1500年間の懲役が課されたよ」
想像よりもはるかに重い罪の内容に思わず言葉が詰まる。
「僕もね、こんな罪は重すぎるって思った。でも悪魔長のレヴァン様が直々に僕と話す時間を作ってくださったんだ。罪を決めるのは僕ではなく法で、それに愛は誰かを傷付けるものじゃない、って」
「レヴァン様が?」
こくりとダリオンが頷く。
「レヴァン様は僕をカウンセリングの医療機関にも繋げてくれたんだ。お忙しい悪魔長なのに、こんなにも真摯に僕1人に寄り添ってくれるなんてびっくりしたよ。自分の統べる魔界で悲しい事件を起こしてしまったことが本当に申し訳ないって何度も謝ってくれた。……レヴァン様は何も悪くないのにね」
セレモニーのあの日、諸悪の根源だと睨み付けていた悪魔長の姿を思い出す。レヴァン様は諸悪の根源どころか、俺の愛するダリオンを守ろうとしていた。自分の中での常識が大きくひっくり返ったかのように感じる。
「カウンセリングに通って、少しずつ心は回復していった。ここの家にピアノがあって、大好きな音楽に触れられたのもすごく大きい。だからこそ、こうして再び誰かを愛す力を取り戻せた。でも……たとえカイルとでも、身体を繋げるのは怖いんだ」
握ったダリオンの手にぎゅっと力がこもる。
「カイルのことが大好きだよ。ずっと一緒に居たい。君と出会えた奇跡は僕にとって宝物だよ。でも……君と性行為をすることはきっとできないと思う。こんな僕でも、カイルは恋人になってくれる?」
悩むこともなく答えは決まっていた。性行為ができるかどうかなんて、些細な問題でしかない。ダリオンが側に居てくれることが俺の全てだ。そう想いを込めて、はっきりと告げる。
「あぁ、もちろんだ。その過去も今も未来も、ダリオンを丸ごと愛してる。俺たちだけの愛の形を探そう」
言葉じゃ伝えきれない愛を届けるように、腕を回してその身体をぎゅっと抱き締める。ありがとう、大好き、愛してる――溢れる想いを紡ぎながら、俺たちは想いが通じ合った喜びをいつまでも分かち合っていた。
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