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第六章
☆再会⑥(ジークハルト視点)【R18】
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部屋に戻ると、一度別な空気を吸ったせいか、充満するルヴィの甘い雌の匂いに頭がクラクラする。会えなかった4年の間に、こんな甘い匂いになるなんて…。
俺にだけ香る、ルヴィの匂い。
テーブルの上の食事は手付かずのままだ。あのままルヴィは寝てしまったのだろう。
寝室に入ると、更に香りが強くなる。吸い寄せられるようにベッドに近づくと、ルヴィはスゥスゥ寝息をたてていた。頬がほんのり赤い。可愛い。
俺は下着だけになり、ルヴィの横に滑りこんだ。
「ルヴィ、」
そっと呼んでみるが、返事はない。
「…なんにも、しないからね」
そう呟いて、ルヴィのパジャマを脱がせる。直接、ルヴィの肌を感じたい。まずズボン、次に上衣。ボタンを外すと、ルヴィの豊かな胸が露になる。そろっとカラダを支えながら起こし、素早く袖を抜く。
そのまま横になり、ルヴィの肌を抱き込んだ。
俺のほうに向けたルヴィの顔をじっと見つめる。長い睫毛がときおりフルフルと震える。ルヴィのキレイな緑色の瞳は、今は隠れてしまっている。
直接肌に触れて、ルヴィと寝るのは初めてだ。そっと視線を移すと、鎖骨の下には薔薇の紋様がうっすらと見え、その艶かしい色に、下半身がズクン、と熱を持つ。
ルヴィと早く繋がりたい。
ルヴィの甘い匂いに包まれて、俺も目を閉じた。寝てる間に襲うような真似はダメだ。ルヴィの反応を楽しめない。
可愛い声で、可愛い顔で、俺のすることに反応する可愛いルヴィを。
「…ハルト様…?」
夜中、ルヴィの声がして目を開けると、ポワンとした顔のルヴィが俺を見ている。反則だ。可愛い。
「どうしたの、ルヴィ。どこかツラい?」
ルヴィはフルフルと首を振ると、ギュッと抱きついてきた。
「!?」
押し付けられるルヴィの胸の柔らかさに下半身が早くも反応する。
「ハルト様…あったかい…」
俺の胸にスリスリと頬をつけるルヴィ。ねぇ。何してんの?
「ハルト様…」
ぼんやりした瞳で俺を見るルヴィ。キレイな瞳。可愛い。
「ル、ルヴィ、」
ルヴィは、俺の胸にチュッ、とすると、「…好き。ハルト様」とニコリとした。
…もうダメだ。我慢できない。
「ルヴィ!」
上から覆い被さるようにしてルヴィを見ると、…スゥスゥ寝息をたてている…なんで?
「ル、ルヴィ?」
呼んでみるが、まったく反応がない。…ひどい。こんな、こんな状態で…!
もう一度抱き抱え、ルヴィが苦しくない程度にキュッとする。下半身が熱くなりすぎて悶々とした俺は、なかなか眠りにつくことができなかった。
ふわっといい匂いがして目を開ける。目の前に、俺を覗き込むルヴィの顔。
「!?」
「あ、起こしてしまいましたか?おはようございます、ハルト様」
「お、おはよう…?」
「ハルト様のキレイな寝顔を見てました。ハルト様も、ヒゲ、生えるんですね」
スリスリと指で俺の顔を撫でるルヴィ。気持ちいい。
「私、昨日、先に寝てしまったみたいで、…すみません、大丈夫でしたか?暑くてパジャマ脱いでしまったみたいで…先に、お風呂いただきました」
「…え?」
「アンジェ様と、陛下と、サヴィオン様から朝食のお誘いが来てたので…先に準備しました」
確かに。見ると、ルヴィはもう服を着ている。
「着替え、ありがとうございます、ハルト様。今、7時なんですが起きられますか?7時30分にどうか、と書いてありました」
…なんで俺とルヴィの二人っきりの邪魔をする?
「ね、ねぇ、ルヴィ」
「なんですか?」
「あの、あのさ、」
「ハルト様?」
ルヴィは俺の額にスッと手を当てた。
「どこか痛いのですか?」
「ううん、大丈夫!痛くない!」
急いで答えた俺をキョトンとした顔で見たルヴィは、ふわっと笑った。
「こんなに素敵になったのに、ハルト様、可愛いです」
チュッ、と俺の頬に口づけたルヴィは真っ赤になると、「私、あちらの部屋で待ってますね」と出て行ってしまった。
…クソッ!朝から可愛いルヴィを堪能する予定だったのに…!
そう思って改めて自分を見ると、…布団が盛り上がっている。
ああ…ルヴィに見られてしまった…。
生理現象だから仕方ないんだ、とルヴィに言い訳もできず…俺はしおしおと項垂れてシャワーを浴びに浴室に向かった。
「おはようございます、陛下、アンジェ様、サヴィオン様」
「おはよう、ルヴィア嬢、大丈夫かい」
「ジーク!約束したこと、わかってるわよね!」
「ルヴィア嬢、何かあったら必ず言うんだぞ。法律で認めてるんだから、ジークには罰を与えられるからな」
「おはようございます、父上、叔母上、アンジェ様。まず、なぜ、俺と俺の可愛いルヴィの大切な時間を邪魔するのか理由をお聞かせ願えますか。返答次第では容赦しませんよ。俺はようやくようやくようやくルヴィと会えて、明日までお泊まりも含めて一緒に過ごす許可をサムソン団長にいただいたんです。一秒たりともムダにできません。今日の予定も明日の予定も全部俺と俺の可愛いルヴィが二人っきりで過ごすスケジュールになっています。だいたい俺がルヴィを抱っこするか、ベッドで一緒に過ごすか、というスケジュールなので時間毎に項目は決まっていません、あしからず。そこだけはご了承ください。食事に関しても朝食も昼食も夕食も全部俺とふたりで食べるんです、俺の、俺だけの可愛いルヴィは。ずっと一緒に過ごすんです、」
「怖い。怖いからやめて。なんなの、マシンガントークやめて。言ってることが変質者でしかない。ルヴィちゃん、逃げて」
「ジーク、とりあえず籠るのはやめろ。ルヴィア嬢が可哀想だ」
「ルヴィア嬢、こいつはほっといていい。飯にしよう」
「はい、サヴィオン様」
ルヴィは俺を見てニコッとすると、「ハルト様、お隣に座ってもよろしいですか?」と言った。
当たり前じゃん。むしろ膝の上に座らせて俺が食べさせたかったから、ふたりで食べたかったのに。ルヴィと約束したから、人の目がある場所ではやらない。俺だって大人になったのだ。だから邪魔してくるのが本当に許せん。
俺はコクリと頷き、ルヴィが座れるよう椅子を引いた。
「ルヴィア嬢は、ジークが入学することは知っていたのかい?」
「いえ、おばあ様は、ハルト様が魔術団の仕事を選ばれるかもしれない、と仰っていたので…新入生挨拶で壇上に来られたときに初めて知りました」
そう言うと、ルヴィは俺を見て「ハルト様が、身長も大きくなられて、すごく格好よくて…目を奪われてしまいました」とニコッとした後に、「すごい歓声だったんですよね、サヴィオン様」と父上に言った。
アンジェ様と叔母上は俺を見てニヤニヤしている。俺もニヤニヤだ。格好いい、なんて。ルヴィに言ってもらえるなんて。頑張ってきたかいがあった。
「確かにスゲー歓声だった。変質者に驚いたんだろうな」
「父上、本気で消滅させますよ。何度も言ってますが、俺は変質者ではありません」
「自覚がないから困っちゃうよねぇ」
突然聞こえてきた声に、俺はルヴィを自分の胸に抱き込んだ。
「…ハルト様?」
「朝から見せつけるねぇ、ハルト君。おはよ」
「…ナディール叔父上。叔父上も朝食に呼ばれていたのですか?」
「イヤ?呼ばれてないけど?僕はねぇ、」
叔父上はニヤニヤしながら、「キミの大事な大事なルヴィちゃんにご挨拶に来たんだよ。まだ会ったことなかったからね」
「必要ありません。お断りします。叔父上が死ぬまでどころか死んでもお断りです。ルヴィの視界に貴方が映る可能性はゼロです。失礼します」
俺はルヴィを抱いて部屋に戻った。朝食を食べ損ねたがそれどころではない。
「…ハルト様?」
腕の中のルヴィを思いの外強く抱き締めてしまい、ルヴィが困惑気味に声をあげる。
「ルヴィ、ごめんね。俺、こっちに食事運ぶから。待ってて」
ルヴィの返事を聞く余裕もなく元の部屋に戻り、ナディール叔父上を睨み付ける。
「…なんのつもりですか」
「言ったでショ。キミの大事なルヴィちゃんに挨拶に来た、って」
「ナディール叔父上に、ルヴィは関係ない。父上は、俺とルヴィが結婚すれば義理の父になるし、アンジェ様は元は俺の母だし、叔母上は俺をずっと面倒を見てくれて、ルヴィのことも大事にしてくれてるし、それ以外にも、俺とルヴィに関係してくれている人はたくさんいます。しかし貴方は、この中に入る余地はないし、入れるつもりもありません。入って来ないでください。昨日も俺はハッキリ言いましたよね、ルヴィに何かしたら赦さないと。ルヴィにも、俺にも、構わないでください。俺は仕事があるから関わらざるを得ませんが、ルヴィは関係ない。貴方とは、一切関係がないんだ。存在を知る必要性もない」
「すっごいムキになっちゃって、ハルト君。ヨユーない男は嫌われるよ」
「やめろ、ナディール。なんのつもりだ」
「そうよ、突然来てなんなの?失礼じゃない。貴方を招いてないわ」
「冷たいなぁ。いいじゃん、僕のことも入れてくれたって」
「…ナディール」
叔母上が、冷たい目を向けた。
「ジークは、自分の過ちとキチンと向き合って、ようやくルヴィア嬢と再会できたんだ。そして、それを知っている我々とおまえは違う。人のテリトリーにズカズカ入るな。ジークを構うのはやめろ」
「カティ姉さんまで、何を熱くなってんの?つまんな。僕、戻るねー。ハルト君、またね」
俺は叔父上が消えるのと同時に自室に飛んだ。
「ルヴィ!」
「ハルト様?」
シールドを張ってても、ナディール叔父上は外す。あの人は何をしてくるかわからない。
「ハルト様、」
ルヴィの手が頬に触れてビクッとする。
「険しいお顔になってますよ」
ニコッと笑って俺の眉間のしわを指で撫でる。
「…ごめん、ルヴィ」
「大丈夫ですよ」
「ごはん、食べに戻ろう。もう大丈夫だから」
「?はい」
ナディール叔父上の狙いはなんなのか。
父上にも相談しよう。根拠は説明できないが、絶対に何かしてくる。ザワザワするこの感覚は、俺の本能が発する警告だ。
ルヴィは必ず守る。必ず。
俺にだけ香る、ルヴィの匂い。
テーブルの上の食事は手付かずのままだ。あのままルヴィは寝てしまったのだろう。
寝室に入ると、更に香りが強くなる。吸い寄せられるようにベッドに近づくと、ルヴィはスゥスゥ寝息をたてていた。頬がほんのり赤い。可愛い。
俺は下着だけになり、ルヴィの横に滑りこんだ。
「ルヴィ、」
そっと呼んでみるが、返事はない。
「…なんにも、しないからね」
そう呟いて、ルヴィのパジャマを脱がせる。直接、ルヴィの肌を感じたい。まずズボン、次に上衣。ボタンを外すと、ルヴィの豊かな胸が露になる。そろっとカラダを支えながら起こし、素早く袖を抜く。
そのまま横になり、ルヴィの肌を抱き込んだ。
俺のほうに向けたルヴィの顔をじっと見つめる。長い睫毛がときおりフルフルと震える。ルヴィのキレイな緑色の瞳は、今は隠れてしまっている。
直接肌に触れて、ルヴィと寝るのは初めてだ。そっと視線を移すと、鎖骨の下には薔薇の紋様がうっすらと見え、その艶かしい色に、下半身がズクン、と熱を持つ。
ルヴィと早く繋がりたい。
ルヴィの甘い匂いに包まれて、俺も目を閉じた。寝てる間に襲うような真似はダメだ。ルヴィの反応を楽しめない。
可愛い声で、可愛い顔で、俺のすることに反応する可愛いルヴィを。
「…ハルト様…?」
夜中、ルヴィの声がして目を開けると、ポワンとした顔のルヴィが俺を見ている。反則だ。可愛い。
「どうしたの、ルヴィ。どこかツラい?」
ルヴィはフルフルと首を振ると、ギュッと抱きついてきた。
「!?」
押し付けられるルヴィの胸の柔らかさに下半身が早くも反応する。
「ハルト様…あったかい…」
俺の胸にスリスリと頬をつけるルヴィ。ねぇ。何してんの?
「ハルト様…」
ぼんやりした瞳で俺を見るルヴィ。キレイな瞳。可愛い。
「ル、ルヴィ、」
ルヴィは、俺の胸にチュッ、とすると、「…好き。ハルト様」とニコリとした。
…もうダメだ。我慢できない。
「ルヴィ!」
上から覆い被さるようにしてルヴィを見ると、…スゥスゥ寝息をたてている…なんで?
「ル、ルヴィ?」
呼んでみるが、まったく反応がない。…ひどい。こんな、こんな状態で…!
もう一度抱き抱え、ルヴィが苦しくない程度にキュッとする。下半身が熱くなりすぎて悶々とした俺は、なかなか眠りにつくことができなかった。
ふわっといい匂いがして目を開ける。目の前に、俺を覗き込むルヴィの顔。
「!?」
「あ、起こしてしまいましたか?おはようございます、ハルト様」
「お、おはよう…?」
「ハルト様のキレイな寝顔を見てました。ハルト様も、ヒゲ、生えるんですね」
スリスリと指で俺の顔を撫でるルヴィ。気持ちいい。
「私、昨日、先に寝てしまったみたいで、…すみません、大丈夫でしたか?暑くてパジャマ脱いでしまったみたいで…先に、お風呂いただきました」
「…え?」
「アンジェ様と、陛下と、サヴィオン様から朝食のお誘いが来てたので…先に準備しました」
確かに。見ると、ルヴィはもう服を着ている。
「着替え、ありがとうございます、ハルト様。今、7時なんですが起きられますか?7時30分にどうか、と書いてありました」
…なんで俺とルヴィの二人っきりの邪魔をする?
「ね、ねぇ、ルヴィ」
「なんですか?」
「あの、あのさ、」
「ハルト様?」
ルヴィは俺の額にスッと手を当てた。
「どこか痛いのですか?」
「ううん、大丈夫!痛くない!」
急いで答えた俺をキョトンとした顔で見たルヴィは、ふわっと笑った。
「こんなに素敵になったのに、ハルト様、可愛いです」
チュッ、と俺の頬に口づけたルヴィは真っ赤になると、「私、あちらの部屋で待ってますね」と出て行ってしまった。
…クソッ!朝から可愛いルヴィを堪能する予定だったのに…!
そう思って改めて自分を見ると、…布団が盛り上がっている。
ああ…ルヴィに見られてしまった…。
生理現象だから仕方ないんだ、とルヴィに言い訳もできず…俺はしおしおと項垂れてシャワーを浴びに浴室に向かった。
「おはようございます、陛下、アンジェ様、サヴィオン様」
「おはよう、ルヴィア嬢、大丈夫かい」
「ジーク!約束したこと、わかってるわよね!」
「ルヴィア嬢、何かあったら必ず言うんだぞ。法律で認めてるんだから、ジークには罰を与えられるからな」
「おはようございます、父上、叔母上、アンジェ様。まず、なぜ、俺と俺の可愛いルヴィの大切な時間を邪魔するのか理由をお聞かせ願えますか。返答次第では容赦しませんよ。俺はようやくようやくようやくルヴィと会えて、明日までお泊まりも含めて一緒に過ごす許可をサムソン団長にいただいたんです。一秒たりともムダにできません。今日の予定も明日の予定も全部俺と俺の可愛いルヴィが二人っきりで過ごすスケジュールになっています。だいたい俺がルヴィを抱っこするか、ベッドで一緒に過ごすか、というスケジュールなので時間毎に項目は決まっていません、あしからず。そこだけはご了承ください。食事に関しても朝食も昼食も夕食も全部俺とふたりで食べるんです、俺の、俺だけの可愛いルヴィは。ずっと一緒に過ごすんです、」
「怖い。怖いからやめて。なんなの、マシンガントークやめて。言ってることが変質者でしかない。ルヴィちゃん、逃げて」
「ジーク、とりあえず籠るのはやめろ。ルヴィア嬢が可哀想だ」
「ルヴィア嬢、こいつはほっといていい。飯にしよう」
「はい、サヴィオン様」
ルヴィは俺を見てニコッとすると、「ハルト様、お隣に座ってもよろしいですか?」と言った。
当たり前じゃん。むしろ膝の上に座らせて俺が食べさせたかったから、ふたりで食べたかったのに。ルヴィと約束したから、人の目がある場所ではやらない。俺だって大人になったのだ。だから邪魔してくるのが本当に許せん。
俺はコクリと頷き、ルヴィが座れるよう椅子を引いた。
「ルヴィア嬢は、ジークが入学することは知っていたのかい?」
「いえ、おばあ様は、ハルト様が魔術団の仕事を選ばれるかもしれない、と仰っていたので…新入生挨拶で壇上に来られたときに初めて知りました」
そう言うと、ルヴィは俺を見て「ハルト様が、身長も大きくなられて、すごく格好よくて…目を奪われてしまいました」とニコッとした後に、「すごい歓声だったんですよね、サヴィオン様」と父上に言った。
アンジェ様と叔母上は俺を見てニヤニヤしている。俺もニヤニヤだ。格好いい、なんて。ルヴィに言ってもらえるなんて。頑張ってきたかいがあった。
「確かにスゲー歓声だった。変質者に驚いたんだろうな」
「父上、本気で消滅させますよ。何度も言ってますが、俺は変質者ではありません」
「自覚がないから困っちゃうよねぇ」
突然聞こえてきた声に、俺はルヴィを自分の胸に抱き込んだ。
「…ハルト様?」
「朝から見せつけるねぇ、ハルト君。おはよ」
「…ナディール叔父上。叔父上も朝食に呼ばれていたのですか?」
「イヤ?呼ばれてないけど?僕はねぇ、」
叔父上はニヤニヤしながら、「キミの大事な大事なルヴィちゃんにご挨拶に来たんだよ。まだ会ったことなかったからね」
「必要ありません。お断りします。叔父上が死ぬまでどころか死んでもお断りです。ルヴィの視界に貴方が映る可能性はゼロです。失礼します」
俺はルヴィを抱いて部屋に戻った。朝食を食べ損ねたがそれどころではない。
「…ハルト様?」
腕の中のルヴィを思いの外強く抱き締めてしまい、ルヴィが困惑気味に声をあげる。
「ルヴィ、ごめんね。俺、こっちに食事運ぶから。待ってて」
ルヴィの返事を聞く余裕もなく元の部屋に戻り、ナディール叔父上を睨み付ける。
「…なんのつもりですか」
「言ったでショ。キミの大事なルヴィちゃんに挨拶に来た、って」
「ナディール叔父上に、ルヴィは関係ない。父上は、俺とルヴィが結婚すれば義理の父になるし、アンジェ様は元は俺の母だし、叔母上は俺をずっと面倒を見てくれて、ルヴィのことも大事にしてくれてるし、それ以外にも、俺とルヴィに関係してくれている人はたくさんいます。しかし貴方は、この中に入る余地はないし、入れるつもりもありません。入って来ないでください。昨日も俺はハッキリ言いましたよね、ルヴィに何かしたら赦さないと。ルヴィにも、俺にも、構わないでください。俺は仕事があるから関わらざるを得ませんが、ルヴィは関係ない。貴方とは、一切関係がないんだ。存在を知る必要性もない」
「すっごいムキになっちゃって、ハルト君。ヨユーない男は嫌われるよ」
「やめろ、ナディール。なんのつもりだ」
「そうよ、突然来てなんなの?失礼じゃない。貴方を招いてないわ」
「冷たいなぁ。いいじゃん、僕のことも入れてくれたって」
「…ナディール」
叔母上が、冷たい目を向けた。
「ジークは、自分の過ちとキチンと向き合って、ようやくルヴィア嬢と再会できたんだ。そして、それを知っている我々とおまえは違う。人のテリトリーにズカズカ入るな。ジークを構うのはやめろ」
「カティ姉さんまで、何を熱くなってんの?つまんな。僕、戻るねー。ハルト君、またね」
俺は叔父上が消えるのと同時に自室に飛んだ。
「ルヴィ!」
「ハルト様?」
シールドを張ってても、ナディール叔父上は外す。あの人は何をしてくるかわからない。
「ハルト様、」
ルヴィの手が頬に触れてビクッとする。
「険しいお顔になってますよ」
ニコッと笑って俺の眉間のしわを指で撫でる。
「…ごめん、ルヴィ」
「大丈夫ですよ」
「ごはん、食べに戻ろう。もう大丈夫だから」
「?はい」
ナディール叔父上の狙いはなんなのか。
父上にも相談しよう。根拠は説明できないが、絶対に何かしてくる。ザワザワするこの感覚は、俺の本能が発する警告だ。
ルヴィは必ず守る。必ず。
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