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「殿下、おめでとうございます、元気な男児です」
ローラが産気づいたと連絡を受け、部屋の前でウロウロと待ち続ける。ローラの声はいっさいせず、大丈夫なのかと心配になったとき、赤子の泣き声があがった。
勢いよく部屋に入ると、ローラはベッドに横になっていた。
「ローラ、よく頑張った、僕の子を産んでくれてありがとう」
その時ローラが、満面の笑みを見せた。ああ、やっぱり。子を産まなくてはならないと、ひとり苦しんでいたんだね。でもこれでもう、心配することなんてない。
しかしローラの口から紡がれた言葉は、まったく予想外のものだった。
「ええ、殿下、これでようやく殿下が真に愛する相手を側妃に迎えることができますわね。ご辛抱いただきましたぶんは、公務でお返しして参ります。わたくしが先に結婚してしまったせいでわたくしが正妃のままなのが申し訳ないのですが…。でも、側妃に負担をかけるようなことは致しませんので。本来なら離縁していただければいいのでしょうが、正妃と離縁してしまうと継承権がなくなってしまいますから…それだけは、ご自分のためとご容赦くださいませ」
ニコニコと屈託ない笑顔で、話す内容ではなかった。
ローラが産気づいたと連絡を受け、部屋の前でウロウロと待ち続ける。ローラの声はいっさいせず、大丈夫なのかと心配になったとき、赤子の泣き声があがった。
勢いよく部屋に入ると、ローラはベッドに横になっていた。
「ローラ、よく頑張った、僕の子を産んでくれてありがとう」
その時ローラが、満面の笑みを見せた。ああ、やっぱり。子を産まなくてはならないと、ひとり苦しんでいたんだね。でもこれでもう、心配することなんてない。
しかしローラの口から紡がれた言葉は、まったく予想外のものだった。
「ええ、殿下、これでようやく殿下が真に愛する相手を側妃に迎えることができますわね。ご辛抱いただきましたぶんは、公務でお返しして参ります。わたくしが先に結婚してしまったせいでわたくしが正妃のままなのが申し訳ないのですが…。でも、側妃に負担をかけるようなことは致しませんので。本来なら離縁していただければいいのでしょうが、正妃と離縁してしまうと継承権がなくなってしまいますから…それだけは、ご自分のためとご容赦くださいませ」
ニコニコと屈託ない笑顔で、話す内容ではなかった。
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