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新たな火種
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ハロルド様に連れられて行ったのは、前回は入ったことのない部屋だった。ドアを開けたと同時にふわり、とバラの薫りが漂う。
「シアの匂いを感じたくて…セシルローズを飾ってるんだ。シア本人の匂いには到底及ばないけど」
どうぞ、とエスコートされ足を踏み入れた部屋は、調度品も装飾も必要最低限な、清廉なハロルド様らしい部屋だった。それでも、冷たさは感じない。むしろ、柔らかな空気に満ちている。
「…素敵なお部屋ですね」
ハロルド様はちょっと赤くなると、「恥ずかしいな」と呟き、
「シアは、ここで待ってて。本棚にある本はすべて読んで構わないから。しばらくかかるかもしれないけど…たぶん、ウッドベル侯爵もいらしてるだろうから、帰りは残念だけど義父上と…俺が送りたいけど、仕方ない…帰したくなくなるし…クソッ」
ハロルド様は私をギュッとすると、
「じゃ、行ってくる。鍵かけていくから。誰か来ても開けないで」
「わかりました」
パタン、と閉まったあとガチャリと鍵の回る音がする。
しばらくぼんやりと椅子に座っていたが、ハロルド様の言葉に甘えて本を借りることにした。
「…すごい量」
天井まで備え付けられた本棚には、びっしりと本が詰まっていた。背表紙を目で追うだけでもかなり時間がかかりそうだ。
(私は…)
前回、ハロルド様と関わりたくなくて何も知ろうとしなかったけれど、きっと前回のハロルド様も勉強熱心な方だったのだろう。前回のハロルド様を知ろうとしなかったのに、そして、あの情交のことを問い詰める勇気もなかったのに、一方的に嫌いだ、嫌いだってばかり…。
今回も、とか、前回は、とか、もう拘るのはやめるべきだ。まったく違う人生を歩みだしているのだから、そんなことに縛られて、
(大事なものを見逃したくない)
少しでもハロルド様のことを知りたくてじっくり背表紙を観察しているうちに、ハロルド様が戻ってきた。
「シアの匂いを感じたくて…セシルローズを飾ってるんだ。シア本人の匂いには到底及ばないけど」
どうぞ、とエスコートされ足を踏み入れた部屋は、調度品も装飾も必要最低限な、清廉なハロルド様らしい部屋だった。それでも、冷たさは感じない。むしろ、柔らかな空気に満ちている。
「…素敵なお部屋ですね」
ハロルド様はちょっと赤くなると、「恥ずかしいな」と呟き、
「シアは、ここで待ってて。本棚にある本はすべて読んで構わないから。しばらくかかるかもしれないけど…たぶん、ウッドベル侯爵もいらしてるだろうから、帰りは残念だけど義父上と…俺が送りたいけど、仕方ない…帰したくなくなるし…クソッ」
ハロルド様は私をギュッとすると、
「じゃ、行ってくる。鍵かけていくから。誰か来ても開けないで」
「わかりました」
パタン、と閉まったあとガチャリと鍵の回る音がする。
しばらくぼんやりと椅子に座っていたが、ハロルド様の言葉に甘えて本を借りることにした。
「…すごい量」
天井まで備え付けられた本棚には、びっしりと本が詰まっていた。背表紙を目で追うだけでもかなり時間がかかりそうだ。
(私は…)
前回、ハロルド様と関わりたくなくて何も知ろうとしなかったけれど、きっと前回のハロルド様も勉強熱心な方だったのだろう。前回のハロルド様を知ろうとしなかったのに、そして、あの情交のことを問い詰める勇気もなかったのに、一方的に嫌いだ、嫌いだってばかり…。
今回も、とか、前回は、とか、もう拘るのはやめるべきだ。まったく違う人生を歩みだしているのだから、そんなことに縛られて、
(大事なものを見逃したくない)
少しでもハロルド様のことを知りたくてじっくり背表紙を観察しているうちに、ハロルド様が戻ってきた。
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