君は無自覚

鈴木なお

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ふとした時に考えること

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化粧をしながら鏡を見つめる時、ふとこう思うことがあった。

「このような自分になるとは思わなかったよ。」

丁寧に下地を塗ってファンデーションを重ねる時、その考えや思いはより強くなった。

別にそれが示す意味というのは化粧のビフォーアフターがどうとか、そういうこととはあまり関係ない。

ただ1つだけ言えることは私自身が自分にどこかで意外性であったり、はたまた絶望を感じているということだった。

あまり後ろ向きなことを言ったり、考えたくなんてしたくないのだが、ふと思ってしまうことがあるのだ。

これを私は自分の性であると受け止め、より自分を大切に扱うようになってからは落ち着いてきた気がする。

ただ、子供の頃の自分が今の私を見たらなんて言うのだろうかとふと、考えてしまうのだ。

もしかしたら絶句してしまうだろうか、それとも笑ってくれるだろうか、それは子供の頃の私にしかわからないことに違いなかった。

後者だったら随分と嬉しいなと期待を微かに持ち、唇にリップを重ねる。

鏡に映っている自分はまだまだ未完成で、それはまだまだ成長できるということを示しているようにも見えて心強く感じられた。

化粧が終わり、鏡に映る自分を再度見つめる。

「一体、どれくらい私は塗り重ねているのだろうか。」

顔の輪郭を鏡ごしになぞってみて少しずつ自分の内面へと視線を向ける。

その後、クローゼットを開けて洋服を引っ張り出し、鏡を見ながらその服を着た。

服を着ることでさらに私は自分に重ねていく。

化粧をしたり、服を着たりするたびに、私は皮を重ねている感覚に覆われる。

子供の頃の私がこの様を見たら、「重ねるのにハマってるの?」と指摘してくるかもしれない。

別にハマってるわけではなく、気づいたらこうなっていたというのが適格と言える。

私から見た子供というのは正直で、純粋で、まだ色ののっていない像のように見えるのだ。

きっと成長をする度にその色ののっていない像は着色され、変化していくのだろう。

もしかしたらその変化を嬉しく思ったり、寂しく感じるのが親心というものなのかもしれない。

それなりに生きてきて自分のなかに親心のようなものが育ってきているのは明確だった。

多分、それは時間の大切さに気付いたというのが大きかったのかもしれない。

時間は有限だからいつだって楽しくすごしたいというのが本心だ。

だからこそ私は重ねることをいとわないのかもしれない。

ある意味、時間だって重ねているようなもので、私のなかで重ねることは自然なことなのかもしれなかった。
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