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【特別編】魔王とカインの紙ひこうき!~少年と物語の始まり~
◇第八章:少年にだって気になる過去がある
しおりを挟む「――う、んあ?」
混濁した意識の中、おもむろにカインは瞳を開けた。
煙の匂い、パチパチと鳴るこの音はなんだったかと、起き上がろうとして、身体が重い事に気付く。
(なんだろう。……ダルい?)
何があったのか思い出そうとして、どうしてか大きな欠伸がでた。
「いい気なもんですね。あくびなんかして」
聞き覚えのある呆れた声に顔を上げれば、思った通りの顔がある。
その奥には焚き火が燃え上がり、パチパチと聞こえたのはこれだったのかと気付く。
「あ、カボチャおはよう~」
随分久々な気がし、カボチャの頭をギュッと抱き締める。
「こらやめんか! なんなんですいったい、離しなさい! 寝ぼけているんですか!?」
「寝ぼけてないぞ、まだ眠いだけ!」
「寝ぼけたことを言うな!」
パチーンとカボチャがカインの頬を平手打ちした。
「あ」
「いってー!」
「す、すみませんつい手が、いつもの癖で……大丈夫ですか? 体調に問題は?」
カインはキョトンとする。カボチャの態度が妙だからだ。
いつもならもっとこうガーっと勢い任せに怒るというのに、今は心配そうにカインの顔を覗きこんでいる。
「……カボチャ、俺、なんかあった?」
まだハッキリしない頭をおさえながら、カボチャの様子にそう思う。
「覚えてませんか? 君、いきなり倒れたんですよ」
そうだったか?と、首をかしげると、カボチャは浮かない顔で言った。
「君は邪気にあてられ体調を崩し、倒れたんです。あと一歩遅ければ死ぬところでした」
「え? でも結界とかってのしてくれなかったっけ?」
カインの記憶に間違いがなければ、確かにカボチャは大丈夫だとそう言っていた。
「僕の考えが甘かった。君は魔力が効きづらい体質らしい。しかも防御術の一つである結界がだ」
「え? そんな事ってあんの?」
「滅多にある事ではないですよ。だから僕も油断していた」
そう言ってうつむき拳を握りしめるカボチャの姿に、随分心配させてしまったのだと思い、カインは慌てて起き上がる。
「で、でも今は大丈夫だよ! ほら俺こんな元気だろ!?」
バタバタと手を動かして自分は大丈夫だとアピールすると、カボチャの指がカインの胸を指す。
「魔王さまのお陰です」
「え?」と指された胸を見ると、いつの間に首から下げたのか、黒色の石があった。
それを指でつまんで焚き火で出来た灯りに透かすように待ち上げる。
「なんか宝石みたい」
濁りなく透き通るように黒く光る石。
「それは〝魔晶石〟ですよ」
「ましょうせき?」
綺麗だけど、何処か不思議な石。それにカインは眼を奪われる。
「魔力を込めた石なのでそう呼びます。君のそれには魔王さまの魔力が込められている。それによって結界の持続力や効力を高め、更にはそれにのせた治癒術で君を回復へと導いています。それがある限り結界が崩れる事はありません。但し、それを外してしまえばたちまち効力を失い、君は死に至る。決して外したり無くしたりしないで下さい」
念を押すように真顔で言うカボチャに、カインはうなずこうとしてハッと気付く。
「待てよ、 これがあるって事はアイツ来たのか!? どこ、何処にいんの!?」
急に立ち上り辺りを見回すカインにカボチャは呆気に取られる。
「落ち着きなさい。魔王さまは来ていませんよ」
「じゃあどうやって」
「どうとでもなります。僕達は強い魔力を持つ魔族なのですから」
それを聞いて、暫しその場に立ちすくむと、カインは諦めたようにのろのろと地面に座り込んだ。
「そっか……お腹空いた」
「……これでも食べますか?」
出されたのは肉を煮込んだスープのような物だった。
よくある鍋ものの香りとその湯気が食欲を誘う。
「さっき捕まえました。この辺りでは珍しい、兎のような動物の肉です。邪気を宿さないので安心して食べて下さい」
「兎、のような?」
「えぇ、見た目がよく似ていますが、本物の兎ならこの森では生きていけませんからね。多分突然変異と言うやつでしょう。邪気を宿さない生き物など本当ならここでは生きていける筈はありませんから、最近ではピートと呼ばれています」
「へぇピートか、なんで?」
「さぁ、それは僕にも分かりかねます」
カインはそのスープを飲んで美味しいと頬笑む。それにホッとしてカボチャも口をつけた。
「安心しました。そもそも魔族はあまり食事をしないので、これで本当にいいのか、人間の口に合うのか分からなかった」
「そっか、ありがと」
暫く黙々と食べ続け、カインがおもむろに口を開く。
「あのさ、俺、人の骨、見付けたんだ」
その言葉にカボチャは別段変わりなく、あぁそうなのかと頷いた。
「さてはそれに気をとられましたね」
その言葉にカインも素直に頷く。
「それでその人、多分女性なんだと思う。服がそんな感じだった。……弔ってあげたいなって思って、でももう何処にあったのか分かんないや」
「……稀にいるんですよ。死にたがりの人間がね。わざわざこの森に足を踏み入れるんです。愚かな事ですよ」
その言葉にうん。と答えながら、カインは辺りを見上げた。
森の中は真っ暗で高く聳え立つ木々が昼間とは違う深い色に染まっている。
その木々の間から数少ない星々が顔を覗かせていた。
「俺さ。この森でアイツに拾われたって聞いたんだ」
「……そうでしたね」
唐突に切り出されたそれは、勿論カボチャも魔王から聞いて知っている事だ。
けれどまさかカイン本人がその事を知っているとは思わなかった。
「ホントちっさい頃にさ。シスターに俺って何処から来たの? って、最初は渋っていたんだけど、しつこく聞いたら諦めて教えてくれたんだ」
カインは中年の女性の声を思い出す。
厳しくも何処か優しげなあの声を……。
――お前はね。今よりもっと小さな赤ん坊の時に、ある日ある男が連れて来たんだよ。
真っ黒な丈の長いローブに身を包み、顔を隠した怪しげな男がね。
その男は森で見付けたと言っていた。
何処の森かは言わなかったが、私にはなんとなく察しがついてね。そこから来たとなると、その男が何者なのかも想像に難くなかったよ。隠した顔が僅かに見えたしね。黒い髪に赤い瞳をしていた。
ならば連れて来たのは本当に人間の子なのかと抱き上げたお前の顔を覗いて一目でわかったよ。
青い髪に青い瞳の赤ん坊なんて人間でしかありえないからね。
そう言った彼女の言葉にショックを受けるよりも、何処か嬉しかった。もっと知りたいと根掘り葉掘り聞けば、この森の名前と男が魔族だろう事を教えてくれた。
しかもその男の特徴には覚えがあったのだ。
「それで多分俺は親にこの森に捨てられて、アイツが俺を拾ってくれたんだろうなって」
それからその男に声をかけようと試みたが、なかなか表に姿を現さない事に焦れた。
もしかしたら他の人がいなければ姿を見せてくれるかもしれない。そう思い、あの日森に入ったのだが、カインはこれについてはカボチャには話さなかった。
「そうでしたか。……言っておきますが、君が見た人骨は君の母親である可能性は低いですよ。普通骨と言うのはたとえ分解されやすい酸性土壌であっても、土に還るには何十年もかかります。ですがここは邪気が充満するニスリ森林。人間の骨など数年あれば土に還るでしょう。なので君の親の骨が残っている筈はありませんよ」
淡々とのべられたカボチャの言葉にカインは苦笑する。
「そんなつもりはなかったんだけど。でもちょっとはそう思ってたかもな」
そして仰向けにその場に寝転ぶ。
「カボチャは凄いなぁ~物知りで」
「伊達に長く生きてはいませんからね」
「何歳なの?」
「聞いたら驚きますよ」
「じゃあやめとこ」
「魔王さまよりは若いです」
「ハハ、そうなんだ」
「……見てみたかったんですか?自分が拾われた場所を、自分を拾った者を」
「うんまぁちょっとはね。でも俺が魔王城を目指すのは別な理由」
ニッと悪びれず笑うカインにカボチャは顔をしかめて、けれど直ぐに笑った。
「本当におかしな奴だな君は」
そんなに勇者になりたいですかねとカボチャが言うと、カインは「いやもう勇者だし!」と言い返す。
すると今度はカボチャがそもそも勇者と言うのはですね~と語りだし、カインはハイハイ分かってますよー。と言うので、本当に分かってるのかとカボチャが先程予習に使っていた児童書を取り出した。
「君は本当はこれをよく読んでいないだろ!」
「わっ、どっから取り出したんだよ! てかなんで持ってんの!?」
「いいから読みなさい! と言うかもう僕が読みますから君は黙ってしっかり聞いてなさい!」
「ええー」と抗議するもカボチャは本気で、その本を読み出した。
――ここはアケドラルと呼ばれる世界。
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「あぁこんな事が許されるだろうか」
王は愛しの愛娘を思い出す。
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王は立ち上り若者へと檄を飛ばす。
「行け! 勇気ある者よ! そして娘とこの国を救ってみせよ!」
「ハッ! 必ずやこの命に代えてでも!」
若者は颯爽と城を飛び出した。
魔王討伐へと旅に出た若者は、道すがら仲間を集めた。
一人は僧侶、一人は射手、一人は武闘家、一人は魔術師だったが、この魔術師が相当気難しく、神出鬼没だったが為に、ほぼ若者を含めた四人で行動を共にし、時には困っている人々を助け、彼らは魔王城へと急ぐ。
そんな旅の途中で、ある時若者は一人、不思議な泉へと迷いこむ。
そこに現れたのは捕らわれている筈の王女に瓜二つの女神だった。世界の調和を担う守り神である筈の彼女が何故こんな場所に。
聞けば本来彼女は森羅万象の軌跡の中に自分は存在すると言う、しかし今はあの魔王の手によってこの無空間に隠された霧の泉に閉じ込められたのだと。
女神は言った。
『貴方にこの聖剣を授けましょう』
聖なる剣は何処か凛々しく神々しく輝きながら彼の手に収まった。
女神の加護と聖剣を手に入れた若者は彼女に誓う。
「必ずやこの国を、世界を、そして貴女を救ってみせます」
仲間の元へと戻った若者は、女神から授かった剣を振り、行く手を阻む敵を薙ぎ払い、女神の加護を受け、立ち入る事は不可能とされていた魔族の領土へも踏み入ったのだ。
そしてとうとう、仲間と共に魔王城へと乗り込んだ。
「――と、こうなる訳ですよ」
ジャック・オー・ランタンの被り物を被った男、カボチャは、そう締めくくった。
彼は昨日の晩にカインが目覚めてからというもの、ずっとこの話を読み聞かせている。
途中眠くなって二人とも寝てしまったが、まさか朝起きた瞬間に続きを読み出すとはカインは思ってもみなかった。
そのままカボチャの読み聞かせを聞きながら道中とくにこれといって困る事もなく、カボチャが指示する通りに歩き、そしてとうとう城が見える所まで来てしまったのである。
「いったい君の何処がこれに当てはまるんだ。王に依頼された訳でも国の為でも誰かの為でも無ければ旅の仲間さえいない、女神の加護も聖剣だって。手を貸してくれるのはあろう事か魔王本人とその部下であるフザケタ頭のパンプキン男ですよ!」
「もうわかったっつーの~、てか女神と聖剣は無理があるからしかたねーだろ!」
わざわざそれを言う為だけにずっと読み聞かせていたのかと、カインは初めてカボチャに呆れた。
余程カインが勇者を名乗るのに納得がいかないのか、はたまたその児童書が気に入ったのか。
「それにしても、なんか街とか通ると思ってたんだけど、森を出て直ぐに出てくるとは思わなかったなぁ」
カインは目の前に聳え立つ、本の中で書いてあったような城を見上げる。
そのカインの傍らで、読み終えた本を何処かへと消すようにしまい込んだカボチャが
(街になんて入ったら、それこそ小僧の事です。絶対にあれが欲しいだのこれはなんだのあれを食べたいだの。目的も忘れてはしゃぎまくるに決まってます。そうなったら誰が大変かってこの僕です!)
と、心の中で思っていることなどカインは知るよしもない。
(気付かれないよう空間を歪めて城の近くに出るようにして正解でした)
これもカインは以下略。
「それでは小僧。道案内はここまでです」
「え?」
カボチャはふわりと空へと浮遊した。
「城はもう目の前ですからね。一人で問題ないだろ」
「え!? 一緒に来てくんないのかよ~」
「当たり前でしょうが! 僕は魔王さま直属の家来なんですよ!? これから色々と準備があって忙しいんです!」
「準備?」
「寄り道しないで真っ直ぐ来なさい。それではまた」
そう言って城の方へと天高く登っていくと、カボチャの身体が捻れるように姿を消した。
「また?」
◇◇◇
ところで、ちょっと久々になってしまった気がするその頃の魔王はというと。
「シュケル……」
「はい、なんでしょうか魔王さま」
「…………」
「魔王さま?」
魔王は何も言わず、ただ腕を組み、天高く建てられた城の窓から外の景色を眺めるばかりだ。
近頃は暇さえあればこうしている事が多くなった。いや元からだった気もしなくもないが。
だがその腹心であるシュケルはとうに魔王の心中を察している。
さてなんと声をかけるべきかと思案していると、先に口を開いたのは魔王の方だった。
「余とした事がつい動揺してしまった」
(いつもの事では)
「あれには気付かれず話せていたろうか?」
あれと言うのはカボチャの事だ。
カインが倒れたとの知らせに、正直一番ショックを受けたのは魔王本人に違いなかった。
が、責任を感じているカボチャの気持ちも分からなくはない、魔王はここで自分が取り乱してはと、いつも以上に落ち着いて振る舞ったのだが、その心中は未だに穏やかではない。
「えぇ問題は何も、素晴らしい対応でした」
シュケルはいつもの胡散臭げな笑みを崩さずに言う。
「そうか、なら良い」
多少ホッとしたのか、肩の力が抜けたように思えた。
けれども魔王はまだ何か気になっている様子。
「ところでカボチャから連絡は来たか?」
「えぇ万事問題ないとのことです。魔晶石を送って正解でしたね。これから城に入るとの事ですよ」
「そうか……」
歯切れ悪くそう言う魔王に流石のシュケルも首を傾げる。
「いったいどうされたんですか?」
すると魔王はばつの悪そうな顔で振り向くと、いや何と目をそらす。
「今まで一日に何十通も届いていた紙飛行機が一日一通となり、書いてある事も二言一言と少なくなり、更には最近はカボチャの事しか書かれておらず、気を失っていた間来ないのは当然としても、目覚めてからまだ一通も来ていないのだ。しかもほんの束の間とは言えこれからアイツはカボチャと離れ一人で行動するのかと思うと……」
捲し立てられた言葉に、随分と色んな感情がぐちゃぐちゃに混ざり巡っているようなのに、表情にはさほど出ていない事がシュケルにはおかしく、思わずほくそ笑む。
「いくら魔晶石を持っているとは言え、アイツの事だ。何かの拍子になくさぬとも限らんし……あぁもうダメだ」
魔王は片手で頭を抱え、うつむく。
すると吹っ切れたように顔を上げた。
「シュケル。悪いがあとは頼む」
「はい?」
大広間の窓に足をかけ、立ち上がる魔王にシュケルは意図を察した。
「私一人では荷が重過ぎます。次の会談までにあまり時間はありませんので、お急ぎ下さい」
魔王は頷くと、窓から手を離し、その場から静かに消え失せた。
「フフフ、困った方達ですね」
すると、後ろから大広間にドタバタと早足に入って来る者達が。
「な、なんだってお前がここにいるんだ!? 絶対に面白がって来るなとあれほど」
「だーかーらー! あの娘を追って来たんだってば! 確かに魔王さまのとこに行くっつってたからてっきりここだと思ったんですよ! てか本当にいないのか!?」
「いる筈がないだろう? そもそも来たなら直ぐにお前のように気配で分かる」
「ハクイ様は!? ハクイ様だったら」
「あれは今遣いに出してるんだ直ぐには戻らん」
「うわー! こんな時に限って魔王さましかいないなんて!」
「しかいないとはなんだ!」
(あれは東の方……と)
ギャーギャーと騒がしく口論しながら現れたのは、東の国の魔王と、そして空色の瞳とくすんだ黄金色の髪を持つ人間の男だ。
その胸には紫色の魔晶石を下げている。
(東の方がああも声を荒げているとは珍しい)
東の魔王と言えば、四大国の魔王の中でも一番穏やかで理知的な男だ。懐も深いと有名でもある。
更に凄いのは東の国では人間の王、そして人間と魔族が上手く交流出来ている事にある。
(そう言えば人間と祝言を上げたんでしたか)
あの時は我が国がちょうど凶年に見舞われ、ろくな餞も贈れなかった。
特に人間の領土は深刻で、どうにか出来ないかと人間側から此方に話が来た程だった。
その時ばかりは参列もままならず、お相手の顔も拝見出来ずじまいだったが……。
(それにしても人間がどうやってこの島に)
シュケル達が今いるここ、アケドラル城というのは。世界の中心にある小島に建てられた城である。
ここで各国の魔王が年に何度か集まり国際会議を開くのだ。
それはまるで海のように広大な湖の中心にあり、例え魔族と言えど一般の魔族では存在を確認出来もしなければ来る事も困難。
いくら邪気がないとはいえ、それこそただの人間が此処まで来る事など出来る筈もない。
そもそも人間はこの城の存在さえ、知らない筈なのだ。
「お、王様! ふ、二人とも落ち着いて!」
「「これが落ち着いていられるか!」」
二人の間に入ったのは灰色の髪に海のような青い瞳を持つ青年だった。
「マールお前か、これを連れて来たのは」
そう呼ばれた青年は「すみません」と頭を下げる。
それを見て「彼は悪くない」と人間の男が抗議しだした。中々止まらぬ論争に、痺れを切らしたのは頭を下げた魔族の青年だ。
「もう! 今は喧嘩してる場合じゃないでしょ!」
「そ、そうだな。すまない。とにもかくにも何人か動けそうな者に城内を探させる。とはいえ確率は低いだろう。そうなると此処ではない別の場所となるが」
「多分あの娘と一緒に必ず彼もいるだろうから心配はないと思うけど。でもそれが確実なら絶対空を飛んで移動してる筈だ」
「うう、そんなの探す範囲が広すぎるよ。どうしたら」
「いや、方法ならある」
東の魔王のその一言で、三人は足早に大広間をあとにした。
やれやれと思ったのもつかの間。
どっと大広間に各国の魔族達が雪崩れ込む。
「ここにもいないぞ」
「いったいどう言う事だ?」
「くそっ、クローズ様はいったい何処に!」
「さ、サファメイさまあ~意地悪はやめて下さい~!」
「そう言えば東の方も北の方もお見掛けしないが」
「あ~なんだって四大国の魔王様方がことごとく姿をくらますんだ~」
「あ、あまりにタチが悪い、いったいあの方達を我らにどう探せと」
なんだなんだと他の小国の魔王やお付きの魔族達までもが騒ぎを聞き付け集まる。
もはや収拾がつかない状態だ。
シュケルはこれはこれはと袖で口元を隠しほくそ笑む。
「本当に困った方達ですね」
と、自身もその場から行方をくらました。
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