過去に戻るインスタッレ(完結)

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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12) 1番目の客

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種を明かせば
三人の珍客は一人の人間だ
四阿野原奈利子しあのはらなりこさん



「私は十年前の今日、貴女に会った。それから人生が変わったの」



十年前の今日……あの、何処で……



「あなたの本名は游孤芳邑ゆうこよしむらさん。この【月光の奇妙な境】の著者で、あなたは時間移動できるのよね」



え、時間移動……私が……
何かの間違いですよ
そんな本を出版した覚えもないし
超能力なんて……



「そうか、今のあなたはまだできないのね」



その本を見せてください



「駄目。今のあなたはまだこの本を書いていないもの。でもね、あなたは今日、これから私に会うのよ。十年前の小学生だった私にね」



あの……
十年前の小学生のあなたに
これから……



「そうね、話しておくべきか。私はタイムスリッパーよ。十年後の日本から時間を越えてきたの。だから、十年前に会ったのは私の記憶よ。あなたはこれから経験する」



まさか……



「嘘ではない証拠に、あなたを未来に連れていってあげる。今日から一年後の 未来に。私が遡れる過去は何故か今日この日までなの。何度やっても同じ。あなたを過去に連れて行くことができれば信じてもらうのも簡単なんだけどね」



そして二人で時間を越えた
四阿野原奈利子さんと







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