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第4章 君にハンガリー狂詩曲
飢え死にかそれとも
しおりを挟む退院したその足で出勤した。
(いつものことだけど、このシャッター古くて……)
ぶつくさほざきながらシャッターを開ける。
空気入れ換えのために硝子の格子ドアを開いたままにして、中に入った。
「あげっ」
思い切り叫ぶ。
例のリクライニングチェアの上で死にかけている社長を発見したのだ。
(あぎじゃびよぉ、マジかよぉ。そう言えば社長がいたさあ。夕方、シャッターを開けに来なきゃあならなかったさあ。僕って何て無責任な奴なんだろう……思いっきり入院ライフを満喫してしまった。フラれたけど……)
記憶喪失にでもなっていたのかすっかり忘れていた重大な過失を目の前にして、改めて思い知る己の迂闊さ。
「カゲェェェ……今だから白状するけどさぁぁ、あのタコスって下剤入りみたいなのよねぇ。でもさぁ、人間の食欲ってどうしようもないのね。これ食べるとお腹壊すってわかっていながら、飢え死にするよりいいかぁ……って思って、食べてしまったわよぉ。もう、宿便まで出しきってしまったもんね。鼻血も出ない」
二者択一の恐怖。
「済みません、社長ぉ。僕、風邪で倒れてしまって……」
「聞いたわよぉ。家政婦さんからお電話ありました。町田ちゃんもあれ以来休暇を取っているって言うし、スペアキー持っている不動産は海外旅行って言うし、全く。ウチナーンチューがハワイってどういうことよ。北海道とか、いっそシベリアにでも行けって言うのよ。ああ、私は他にヘルプミーコールする相手がいなかったのね。寂しい女……」
社長は青白いクマの浮いた顔で珍しく弱音を吐く。
「チャンチャンは……」
「昨日から店内改装のためにお休みだって」
「……」
「……」
「そしたら、何していたんですか、一日中」
「だから、下痢していたってばっ」
死にかけた顔でぶちギレそうな社長は、触らぬ神に祟りなしという格言を思い出させてくれる。
「カゲ……」
大影はスーパーにパシらされて弁当やパンと飲み物類をまるで大食いのカバに与えるようにレジ袋一杯に買った。
宿便まで出しきったと言う割にはちっとも痩せたようには見えない社長だが、弁当もパンもすっかり平らげて、ドリンクが足りない、ショートケーキも食べたいと宣った。
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