ゲイバージキルハイドへようこそ

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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犬猿の仲

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朱雀と黒子台瑠花が火花を散らす。

何故なのかを俺様がかい摘まんで説明しよう。

朱雀は若い男とベッドインするために、七時半に「ジキルハイド」を出た。

その後、同ビル二十二階のラブホテルに飛び込んだ。若い金持ちの御用達ホテルだ。そこでワチャワチャやった帰りに、例のオカマ黒子台瑠花が、朱雀の過去の遊び相手にぴったりしがみついて現れた。

黒子台瑠花は、体つきはスーパーモデル並みにすらりとしてファッションセンスもそれなりにある。きんきらきんに飾り立てる成金趣味が俗物だと語るが、黒子台瑠花の美貌は年輪と共に磨かれたもので、話術も朱雀の比ではない。

最初、家出中の兄だと気づかなかった朱雀が、黒子台瑠花を上目使いに見る。

その目付きに反応した黒子台瑠花が「あらぁ、乳首に可愛いニップルハンエンサー付けないと男の気を引けないのぉ」と勝ち誇ったように笑う。それで朱雀も気づいた。

「オ・バ・サ・ン。あ、オカマさんか。ああ、いろいろ工事しなけりゃあ男の気が引けないって訳だね」

連れの男たちが二人を引き離す。朱雀はエレベーターに向かい、黒子台瑠花はホテルに入っていく。

「朱雀。あいつを知っているのか」

エレベーターの中で問われた。

「あいつって、オカマの方」

朱雀は腰の辺りを押し付けながら知らんふりを決める。

「いや、連れの方」

腰を左右に振った。

「え……だって、今日、ジキルハイドで同じテーブルにいたじゃない。お友達なんでしよ」

男の一物が見事に固くなった。

「まあ、そうだ。従兄弟だ」

朱雀はふふと笑って固くなった膨らみに手を当てた。

「じゃあ、同じ会社なの」

男の顔が朱雀に近づく。

「いや、僕は教師だ」

さっと干潮のように血の気が失せる。

「えっ、教師。何処のガッコ」

「リンジャンゲルハルト第一高等部総合進学科だよ。専科希望だったんだけどね」

「そ、それ、本当に……」

朱雀は膨らみから手を引いた。男はその手を捕まえて自分の膨らみを触らせる。そして朱雀の尻を揉み始めた。

「もう一度、ホテルに戻るか」

「あ、あの……今夜はもう帰らなきゃ」

朱雀は震えそうな身体を強い意思で堪えて立っている。胸のニップルエンハンサーが揺れて、動揺していることがまるわかりだ。

「どうしたんだ」

「あうん、何でも……」

近づく唇を避けられなかった。


というわけで、朱雀は黒子台瑠花と火花を散らしながら、今日はこの占い師の部屋で向き合っているのだ。

「朱雀、お兄ちゃんはなにもアンタがゲイ道いくことを反対してるわけではないのよ」

「えっ、オカマになるために家族を捨てたクセに今さら僕に何を言えるとっ」

「だからっ、それとこれとは磁石じゃないからくっつかない話しなのっ。良いから聞いて。若いうちは遊んで暮らせる。でも、お兄ちゃんくらいの年になると自力で稼がなくてはならないのよ。ゲイ道行くなら生活確立させておかなきゃあ遊べないってあんただっていろんな人を見てわかってるはずよね。勉強したって望む生活はなかなかできないもんよ」

「勉強もしてるし、今日は学校休んだけど」

「何で休んだの。夕べの男と一緒にいたの」

「違う。あいつってガッコの先生だったんだ。だから、休んだの」

「うわあおー。ヘルプミー。ヘルプミート。ミートだわ。肉の闘いよね。ミンチにしてあげようか、このガキっ。旨そうな肉だからって見境なく手を出してっ」

「わからなかったってば。新任教師みたいだから」

「まあだガキのクセにっ。良いこと、お兄ちゃんの言う通りにしなさい。今夜、ジキルハイドにそのセンセ来たらスマホで一緒に自撮りしておきなさい。明日登校したらセンセにフフッと笑うだけで良いのよ。わかった。今夜二人で何処かにしけ込んだら学校に乗り込んでそのセンセ殺すわよ。良いわねっ」

「自撮りツーショットか。うん、わかった。お兄ちゃんオカマ知恵サンキュー」

「何、そのオカマ知恵って」

「悪知恵……ははは」

「失礼ね。弟とは言えこんな に態度が悪いとザカリアンヴェロゥ超強力媚薬あげないわよ」

「え、ヴェロゥ持ってるの」

「いつか買うつもりよ。今は期待だけさせといてあげるわ」

そこで、占い師の游湖ユウコが口を挟む。

「お二人でご一緒に暮らすのですか」

「占い師さん、アンタが夕べ止めた訳はもうわかったわ。確かにあの時、直ぐに三十三階に上がっていたら、朱雀と出っ食わしてそれこそ大変な騒ぎを起こしていたと思う。私は弟がつまらないゲイに引っ掛かるなんて嫌だし、病気も怖いから引っ張ってでも連れ帰ろうとしたはずだもの。遅かりし再会はホテルの玄関。だから何も聞かずとも納得するしかなかったけど」

「あれが納得した兄の態度なわけ」

「何よアンタが先に、あら、アタシだったかしら。兎に角」

占い師が慌てた。

「そうでしたか。でも、黒子台瑠花さんの出会わない方が良かった相手は弟さんではないようですよ」

テーブルに並べたカードを開く。そのカードの一枚に、ペン立てに立てられた羽ペンが描かれている。

「これは文字に関係している人を表しています。関連する三枚のカードは、木こり、火事、そして溺れる人」

「最悪よね、木こりと火事って。しかも今度は溺れるのっ。これってわざとらしい悪意を感じるんだけどっ」

「お兄ちゃん、お兄ちゃんの木こりは誰っ」

「え、夕べの人。あの人はタイプだけど私の木こりではないはず。だって、優しい人よ」

「先生の従兄弟だって」

「黒子台瑠花さん、羽ペンは教師ではないかと……」

「えっ、教師っ。お兄ちゃんっ、危ない、止めて、ガッコに来ないで。オカマ丸出しのままガッコに来ないでぇ」



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