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44 秘密の付き合い
しおりを挟む多分、もうすぐお父さんが帰ってくる。僕はチョコちゃんの肩に回した手を離した。チョコちゃんも僕の胴に回した手を離して一歩下がった。
チョコちゃんは泣いている。指先で目の端を拭った。
「何で泣くの」
「波流君とハグしたから、何でかね、へへ」
「れずびあんは泣くの」
僕は最低だ。チョコちゃんを追い詰めたい。何かを言わせたがっている。それは止めよう。
「僕はチョコちゃんとだけだよ」
本当のことだ。チョコちゃんの顔が赤い。
「もし、他の子が好きだといってきても、チョコちゃんだけだよ」
重ねて言った。もう一度抱き締めたい。
「波流君……」
自然に腕を回しあった。ドキドキは治まらない。チョコちゃんのピンクのトレーナーを通して可愛いドキドキも伝わる。
「離したくない。何処にも行かせたくない」
お父さんの処に行くと言ってたっけ。
チョコちゃんの養育費を払っているチョコちゃんパパ。たくさん食べさせようとする愛情示したがりの父親。
僕は、対抗心があるのかもしれない。
お父さんよりも大事な人になりたがっているのかもしれない。
お父さんには僕のことは秘密なんだ……
秘密なのに抱き合っている。
とても悪いドアを開いたような気がする。
「チョコちゃん、可愛い。とっても好きだ」
チョコちゃんが茶化す前に額にキスした。チョコちゃんは奮えているみたいだ。ぎゅっと力を込めた。
門扉がキイッと鳴った。チョコちゃんはびくっと肩を震わせて門扉を見た。
「音理……波流君……そういう関係なわけ」
見知らぬ女子が門扉から半身を傾けて覗き込んでいる。
僕は力を抜いて、チョコちゃんは震えながら離れた。
「カリナ……何で此処に……」
カリナと言うらしい。チョコちゃんのクラスメイトかな。可愛い子だ。半袖のレースの飾りのシャツから腕が伸びてブロック塀を指さす。
「あの穴からチラッと見えて」
「誰にも言わないで」
「うん、良いよ。秘密の付き合いか」
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