中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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44 秘密の付き合い

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多分、もうすぐお父さんが帰ってくる。僕はチョコちゃんの肩に回した手を離した。チョコちゃんも僕の胴に回した手を離して一歩下がった。

チョコちゃんは泣いている。指先で目の端を拭った。

「何で泣くの」

「波流君とハグしたから、何でかね、へへ」

「れずびあんは泣くの」

僕は最低だ。チョコちゃんを追い詰めたい。何かを言わせたがっている。それは止めよう。

「僕はチョコちゃんとだけだよ」

本当のことだ。チョコちゃんの顔が赤い。

「もし、他の子が好きだといってきても、チョコちゃんだけだよ」

重ねて言った。もう一度抱き締めたい。

「波流君……」

自然に腕を回しあった。ドキドキは治まらない。チョコちゃんのピンクのトレーナーを通して可愛いドキドキも伝わる。

「離したくない。何処にも行かせたくない」

お父さんの処に行くと言ってたっけ。
チョコちゃんの養育費を払っているチョコちゃんパパ。たくさん食べさせようとする愛情示したがりの父親。
僕は、対抗心があるのかもしれない。

お父さんよりも大事な人になりたがっているのかもしれない。

お父さんには僕のことは秘密なんだ……
秘密なのに抱き合っている。

とても悪いドアを開いたような気がする。

「チョコちゃん、可愛い。とっても好きだ」

チョコちゃんが茶化す前に額にキスした。チョコちゃんは奮えているみたいだ。ぎゅっと力を込めた。

門扉がキイッと鳴った。チョコちゃんはびくっと肩を震わせて門扉を見た。

「音理……波流君……そういう関係なわけ」

見知らぬ女子が門扉から半身を傾けて覗き込んでいる。

僕は力を抜いて、チョコちゃんは震えながら離れた。

「カリナ……何で此処に……」

カリナと言うらしい。チョコちゃんのクラスメイトかな。可愛い子だ。半袖のレースの飾りのシャツから腕が伸びてブロック塀を指さす。

「あの穴からチラッと見えて」

「誰にも言わないで」

「うん、良いよ。秘密の付き合いか」



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