中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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71 ダイバンハンバーグ

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チョコちゃんを送ると言って家を出た。

「結局、話ってできなかったね」

「そうだね。でも勉強はだいぶ進んだ。チョコちゃんは理解が早いから楽しいよ」

「波流君が教え上手だからだよ。でも、チョコも必死だった。波流君のお母さんにバカだと思われたくなかったから。へへ」

「あはは、お母さん役に立ってる」

「来週もこのトレパンで来るかも。お母さんがわざわざ買ってきたから、着ないと煩い。このTシャツもサンビー衣料館」

「似合うよ。でも僕のことを牽制してるみたい」

「ふふ、お母さんは波流君じゃなくて私のことを牽制してるの。波流君にチューすると思って。画像チューを見てるから」

「あはは、れずびあんごっこしてるんだ」

前はドン引きしていたけれど、今は僕も努力が実りつつある。

「僕も五センチくらいまでつめることができたけれど、先は険しい」

五センチ間隔チューは、グラスを合わせずに乾杯するのと同じ感覚だ。

「先が長いほうが良いよ。簡単にクリアしたら、他の子に目がいっちゃうかもしれないし」

「そんなことはない。僕はチョコちゃんにだけだ」

僕は手を伸ばした。
指を組んで繋ぐ。

「へへ。いつも言ってくれる。れずびあん冥利に尽きるよ」

「これもれずびあんごっこだね」

「だね。人に見られたらヤバい。女子怖い」

「ココナッツか……わははは」

僕は木の上から猿が木の実を投げる処を想像した。

「全校生徒がパインを投げる」

「わははは、チョコちゃん笑わす」

信号が見えた。

「そうだ、ハンバーグ有り難う」

「お母さん特製のダイバン大きいハンバーグには人参が入っているよ。チョコちゃん、人参は大丈夫」

「好きだよ」

「僕も好きだよ」

立ち止まってじっと顔を見た。

「あ、ブス顔を見ないで」

「チョコちゃん、やっぱり話すよ。この前、カリナがうちに来たんだ」

もうカリナと呼び捨てにしている。チョコちゃんの顔色が変わった。

「何で……」






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