中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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夕御飯の後に後片付けを手伝ったら、お母さんが驚いた。

今までは食べたお茶碗を重ねるだけだったんだけど、それをみんなの分、ご飯茶碗はご飯茶碗同士、お皿はお皿同士、同じ種類に重ねて流しに持っていった。

三人分でも結構ある。小鉢もお汁茶碗もお茶のマグカップも、それを全部お母さんが洗う。

明日は僕も洗ってみようと思いながら布巾を持って立っていたら
「良いよ、明日は学校でしょう。普段と違うことをされたら怖いから」
と微笑む。

「手伝ってみたいよ」

「じゃあ、明日、無事に帰って来たらね」

楽しみが増えた。

明日は登校して、学校でチョコちゃんのクラスに行ってみる。そして一緒に帰っておやつを食べる。勿論、勉強もする。

そして、親の前でハグする。チョコちゃんママ公認だと宣言する。チョコちゃんを送って、チョコちゃんママに挨拶する。

帰ってから夕飯の後に後片付けを手伝う。洗い物をしてみる。簡単なら一週間に一回はお母さんを休ませるためにルーティンにしても良いな。

僕は化粧男子で、親の理想の息子ではないから、出来ることはやってあげよう。それも、楽しみながら。

ラインが届いた。
チョコちゃんのスマホから今日撮影した画像が次々と入ってくる。

わぁ、こんな感じって……綺麗だ。
僕がお姉さんでチョコちゃんが妹みたいな、仲良し姉妹が抱き合って此方を見ている。

僕の目は少し色っぽい感じのメイクだけれど、チョコちゃんの目の色はカラコンなのに深い何かを湛えているみたいな、何かと戦っているみたいな暗くて寂寞としていながら強く光る。アフリカの飢えた子供の目のようだ。唇を噛んでいるような目付きで、口元は微笑んでいる。僕にはできない難しい表情だ。

保護欲を掻き立てられる。
もっとぎゅつと抱き締めたい。

次々と入る画像をお母さんに見せた。

「あら、あんたたちって綺麗ねぇ。自分の子には思えないくらいよく撮れている。凄いね」
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