中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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95 自分で動く方が早い

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憂鬱な授業だ。既に終わった処をやるのは小学校に戻ったような気がする。僕は不登校で暇だったから、勉強遅れないように頑張って少し進み過ぎた。

自分が進んでいると、先生が教え上手なのかどうかわかってしまう。それもつまらない。

次の授業からチョコちゃんのクラスで受けてみようか。面白いかもしれない。チョコちゃんのクラスは何の授業だろう。

三密だから離れて座るんだけど、楽しいだろうな。

遊びに来ている気分だ。
授業に身が入らない。

こんな気分で学校来てても時間の無駄のような気がする。自分で家で勉強した方が、よっぽど進むし、頭に入る。チョコちゃんと勉強したいな。

うぅん。ヤバい。乳離れしていない猿みたいにべったりくっつこうと思うなんて。学校でそれをやったら問題だ。

僕は年頃の少年Aで、女の子が好きなんだ。チョコちゃんと一緒なら退屈な授業も何とか……眠い。

眠くなった。



丁度良いくらいに休み時間になった。僕はダッシュしてチョコちゃんのクラスに行く。

少子化でクラス人数を纏めるために空いていた教室にも生徒が半分別れて入っているから、チョコちゃんも振り分けられて元の教室ではない。

朝、それを知らずに訪ねて、カリナが一番端の教室を指して教えてくれた。


「有り難う、カリナ」


カリナの背後で微かにキャアッという嬌声が湧く。
小さな声だったけど、女の子と目が合った。
皆、同じに見える。

僕は急いだ。休み時間が終わってしまう。今も、僕の教室とは端と端に離れた処まで小走りに急ぐ。


「廊下を走らない」


張り紙がある。

僕は速度を落としたが、チョコちゃんの姿が見えて手を振った。マスクでも、チョコちゃんは見分けがつく。


「波流君、これから行こうと思っていた。波流君の教室に」

「何で、僕が来るのに」

「波流君ばかり来させたら悪いもん」

「僕がじっと待っていられると思う。自分が動く方が早い」

「溺愛王子。もうメロメロ」

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