34 / 55
第5章 阿鼻叫喚~ 辺獄空間の死闘
三話 感情の乱れ
しおりを挟む
「お前もそうじゃ無かったのか? 綺麗事並べて飼い猫に成り下がろうが、お前の本質は何も変わらない親殺しーー!?」
シグレがその言葉を最後まで言う前に、既にユキは彼の背後に回り込んでいた。
「シグレぇぇぇ!!」
ユキは空中からシグレの首筋へ、右手で握り締めた刀を降り翳す。首を飛ばす為だ。
「フン……」
振り向き様シグレは、その斬撃を村雨でしっかりと受け止める。刹那、二つのぶつかり合う金属音が鳴り響いた。
「怒りに任せた斬撃が俺に当たると思っていたのか? あの冷静な太刀筋は何処に行ったのやら……」
シグレは軽く受け流し、弾かれる様に二人共距離を取る。
「テメぇぇ……」
ユキは刀と鞘に依る双流葬舞の構えを取り、シグレへ向かって猛然と斬り掛かっていった。
「勝手な事ばかり言いやがって! 絶対殺してやる!!」
“――ユキ!? こんなユキ、今まで見た事無い……”
これまでアミが見た事も聞いた事も無い、感情の爆発とも云える絶叫。それと共に繰り出される、凄まじい程の刀と鞘に依る波状連撃。
だがシグレはその全てを、余裕綽々で一刀の村雨で受け流し続けた。
幾重にも重なった多重の連撃、金属音が弾ける様に鳴り続き、その衝撃により大気すらも震えていた程の。
“――くそっ! 何故……何故当たらない!?”
だが繰り出される全ての剣撃は捌かれ、ユキは次第に焦りにも似た焦燥感に苛まれていく。
「流麗かつ正確無比だった双流葬舞、見る影も無い程に粗いな。人の斬り方、忘れちまったのか?」
シグレはユキの連撃の合間を縫って、村雨を軽く振り上げる。
「ぐっ!!」
その太刀筋はユキの左肩を掠め、傷口こそ浅いが鮮血が吹き上がった。
「舐めやがって!!」
攻勢を寸断されて尚、ユキは強引な迄に攻勢を強めたが。
“――何故?”
しかし、その刃も鞘も当たらない。逆にユキの身体に、幾多もの切り傷が増えていく。シグレの太刀筋が全く見えていないかの様に。
「遅い遅い。それにもう少し、周りにも気を配った方がいいな」
“ーーっ!?”
シグレの言っている意味に、遅蒔きながら漸く気付く。
“――こ……これは!?”
自身の周りに髑髏の形をした幾多もの水球が、取り囲む様に浮いていた事を。
“ーー髑式 水棲衝! 何時の間に!?”
周りを取り囲む水球に、ユキの瞳は驚愕に見開かれる。
ガイシキ スイセイショウ
“髑式 水棲衝”
シグレの特異能“獄水”で形成されたこれは、只の水球では無い。髑髏の形をしたこの一つ一つが、超圧縮された水圧の塊だ。
「ちぃっ!!」
“神露ーー蒼天星霜”
瞬時に刀を鞘に納めたユキは、取り囲む水球を星霜剣奥義にて凪ぎ払い、水球はその場で破裂、消滅していくが。
“ーーっ!?”
消滅しきれなかった水球の一つが、自分の足下にゆっくりと漂って来たのに気付くが、もう遅い。
もし、この超圧縮された水球に生物が触れたらどうなるかーー
「しまっーー!!」
それはミキサーにかけられたかの様に、一瞬で物質が沸点。夜空を彩る真っ赤な花火へと。
シグレがその言葉を最後まで言う前に、既にユキは彼の背後に回り込んでいた。
「シグレぇぇぇ!!」
ユキは空中からシグレの首筋へ、右手で握り締めた刀を降り翳す。首を飛ばす為だ。
「フン……」
振り向き様シグレは、その斬撃を村雨でしっかりと受け止める。刹那、二つのぶつかり合う金属音が鳴り響いた。
「怒りに任せた斬撃が俺に当たると思っていたのか? あの冷静な太刀筋は何処に行ったのやら……」
シグレは軽く受け流し、弾かれる様に二人共距離を取る。
「テメぇぇ……」
ユキは刀と鞘に依る双流葬舞の構えを取り、シグレへ向かって猛然と斬り掛かっていった。
「勝手な事ばかり言いやがって! 絶対殺してやる!!」
“――ユキ!? こんなユキ、今まで見た事無い……”
これまでアミが見た事も聞いた事も無い、感情の爆発とも云える絶叫。それと共に繰り出される、凄まじい程の刀と鞘に依る波状連撃。
だがシグレはその全てを、余裕綽々で一刀の村雨で受け流し続けた。
幾重にも重なった多重の連撃、金属音が弾ける様に鳴り続き、その衝撃により大気すらも震えていた程の。
“――くそっ! 何故……何故当たらない!?”
だが繰り出される全ての剣撃は捌かれ、ユキは次第に焦りにも似た焦燥感に苛まれていく。
「流麗かつ正確無比だった双流葬舞、見る影も無い程に粗いな。人の斬り方、忘れちまったのか?」
シグレはユキの連撃の合間を縫って、村雨を軽く振り上げる。
「ぐっ!!」
その太刀筋はユキの左肩を掠め、傷口こそ浅いが鮮血が吹き上がった。
「舐めやがって!!」
攻勢を寸断されて尚、ユキは強引な迄に攻勢を強めたが。
“――何故?”
しかし、その刃も鞘も当たらない。逆にユキの身体に、幾多もの切り傷が増えていく。シグレの太刀筋が全く見えていないかの様に。
「遅い遅い。それにもう少し、周りにも気を配った方がいいな」
“ーーっ!?”
シグレの言っている意味に、遅蒔きながら漸く気付く。
“――こ……これは!?”
自身の周りに髑髏の形をした幾多もの水球が、取り囲む様に浮いていた事を。
“ーー髑式 水棲衝! 何時の間に!?”
周りを取り囲む水球に、ユキの瞳は驚愕に見開かれる。
ガイシキ スイセイショウ
“髑式 水棲衝”
シグレの特異能“獄水”で形成されたこれは、只の水球では無い。髑髏の形をしたこの一つ一つが、超圧縮された水圧の塊だ。
「ちぃっ!!」
“神露ーー蒼天星霜”
瞬時に刀を鞘に納めたユキは、取り囲む水球を星霜剣奥義にて凪ぎ払い、水球はその場で破裂、消滅していくが。
“ーーっ!?”
消滅しきれなかった水球の一つが、自分の足下にゆっくりと漂って来たのに気付くが、もう遅い。
もし、この超圧縮された水球に生物が触れたらどうなるかーー
「しまっーー!!」
それはミキサーにかけられたかの様に、一瞬で物質が沸点。夜空を彩る真っ赤な花火へと。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
【完結】真実の愛はおいしいですか?
ゆうぎり
恋愛
とある国では初代王が妖精の女王と作り上げたのが国の成り立ちだと言い伝えられてきました。
稀に幼い貴族の娘は妖精を見ることができるといいます。
王族の婚約者には妖精たちが見えている者がなる決まりがありました。
お姉様は幼い頃妖精たちが見えていたので王子様の婚約者でした。
でも、今は大きくなったので見えません。
―――そんな国の妖精たちと貴族の女の子と家族の物語
※童話として書いています。
※「婚約破棄」の内容が入るとカテゴリーエラーになってしまう為童話→恋愛に変更しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
灯火
松石 愛弓
恋愛
子供のいない男爵家に、幼少時に引き取られたフィーリア。
数年後、義両親に実子が授かり、フィーリアは無用とばかりに男爵令嬢の立場から使用人扱いにされる。
意地悪な義母と義妹の浪費癖のため、無償労働のメイドとしてこき使われる辛い日々。
そんなある日、フィーリアに転機が訪れて・・
珍しくシリアスな感じのお話を書いてしまいました
いつもはこんな感じなのに・・ ^^;
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/122288809/episode/2034446
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/658488266/episode/4191823
新作です。毎週土曜日に更新予定です。興味を持っていただけましたら幸いです。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/910027059/episode/10733961
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる