神の恵み

優一老

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一章

二話

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 放課後、僕はすぐに家に帰り着替えをすませて家を出る。

 「よし、必要な物は持ったね。あ、カメラ忘れてた…………よし。いっています」

 僕は少し早く家を出て時間まで三島堂で本を物色しようと考えている。
 たぶんクリフもおんなじ事考えてるだろうから出発は早くなりそうかな。

 それから歩いてしばらくすると三島堂に着く、すると見慣れた自転車があった。
 やっぱりクリフ来てたか。
 入店して漫画の棚まで行くと新刊置きでクリフがさっそく物色していた。

 「や、クリフ早いね」
 「お、おぉ。やっと来たか見てくれスラッシュアート・オンラインの新刊だ!」
 「へー出てたんだ。買いー」
 「もち、俺も」

 この後、今朝決めた時間より数十分後に出発したのは言うまでもない。
 三島堂から出発して十数分、僕達は住宅街を抜け小さな山の麓にある階段の前に立っていた。その階段はまるで空高くまで続いているのではないかと見紛うほど圧倒的で憂鬱になるものだった。

 「これ登るの?本当に?」
 「ああ、情報だとこの上らしい」
 「僕死んじゃうよ!?」
 「流石に俺もこれはちょっと…」

 え、ホントにここなの?冗談でしょ?というかクリフの情報源の人はよくココを登ったね尊敬するよ。本当に

 「でも、ここまで来たし、今日逃したら当分こんな暇ないしな………行くか」
 「が、頑張って」
 「うぉおい、攻尓も行くんだよ」

 僕は返事しながら回れ右するがサポート専攻のクリフに容易く肩を掴まれてしまう。ぐぬぬ、今ほど自分の身体能力の低さを嘆く日はないよ。

 「どうしても?」
 「どうしても」
 「僕じゃなきゃダメ?」
 「攻尓じゃないとダメだ」
 「ホントに?」
 「本当にだ!」

 クリフは気づいていないかもしれないが僕達は近くを歩いていた女子に…ゴホン!腐女子に熱い目線で見られている。
 僕はちょっとわざとではあるが、この後のクリフの反応が楽しみだ。

 「しょうがない、行こうか」
 「よかった。さて冒険の始まりだ!」

 やめて!こっち見てる腐女子からしたらその発言は違う冒険になるから!
 ああ!こっち見てる子、蕩けた顔して内股になってるよ!?絶対ヤバいって!?
 やり過ぎたと感じた僕はその女の子を尻目に引き攣った笑みを浮べ階段を登り始めた。

 階段を登り始めて一時間経とうとしているとようやく、階段の終わりが見え始め二人の間に希望が生まれる。

 「ああ、主よ。我らに救いをくださるのですね」
 「ようやく、ようやく。この長い戦いが終わりを遂げるんだ」

 クリフは故郷の信仰心が少し強化され、僕に至っては何故か服も顔も汚れていて戦争を生き抜いた猛者の様な貫禄がでているだろう。たぶん
 そして、最後の段になると二人してドスッと横になり身体を休め始める。すると

 「なんですか?貴方達は」
 「「へ?」」


─────


 わたくしはこの地に永くから住む、天照神である。昔は神と崇められ強い力を持っていたのてすが。ある日から神への信仰心は薄れわたくしの力も弱まり下界の人々はいつしか大半の神のことを忘れてしまったのです。
 わたくしは少なくとも家系で信仰を続けている家があって消えてしまうことはなかったのですが全盛期の半分以下まで力は落ち込んでしまいました。

 そしてある日信仰心が薄れ始めてから数百年たった頃二人の少年が迷い込んできた、ここ高天原に。

 「なんですか?貴方達は」
 「「へ?」」

─────


 「「へ?」」

 僕達は完全に不意打ちで声を掛けられて間抜けで気の抜けた返事をしてしまう。
 そして、起き上がり座ったまま声のした方を見ると目を疑っていまう。そこには13.4そこらの少女が巫女服の格好をしていて黒く艶やかな長い髪をおろして幼さを残した少女が怪しそうにそれでいて不思議そうに僕らを見ていた。

 「き、君はいったい。こんな所で何をしているんだい?」
 「それはこっちのセリフです。どうやってここまで?」
 「どうって、この階段を登って。な、攻尓…攻尓?」

 目の前にいる巫女服の格好をした少女はクリフを無視している僕を見てすこし目を見開く、それは僕が顔、髪、服を見てキラキラした目をしていたらしい。
 僕は、巫女服っ娘が三度の飯より好きな巫女フェチなのだ、そして僕が望むすべてを備えた少女から目が離せなく、完全に見惚れていた。
 青筋を浮かべたクリフは無視され続け我慢の限界に達し僕の頭を結構強くはたいた。

 「はっ!…凄いよクリフ!完全に僕の望む巫女服っ娘だよ!」
 「な、なんですか!巫女服っ娘とは!?」

 僕は気が動転していて早くこの気持ちを親友に伝える。
 そして、それを聞いていた少女は身体を腕で抱いて羞恥と怪奇の視線で睨んでいた。

 「あ、あーっと」
 「そういう、性癖だよ。巫女服の子が大好きなんだよ攻尓は」

 僕が墓穴掘ったーと思っているとクリフから助け舟が来る。だがそれは泥船の何物でもなかった。
 なに、どストレートに言ってくれちゃってんの!?僕の親友は!

 「ふ、不潔です!神のわたくしに欲情とは!痴れ者!」
 「よ、欲情なんて!ただ、可愛いなぁ愛でたいなぁって思っただけですよ!」
 「っ!……わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 少女はカーッと顔をまっ赤にすると袖で顔を隠しながら本殿の方へ走って行ってしまった。

 「何なんだ、この茶番は……」

 クリフの哀愁漂う力の無いツッコミは誰にも聞こえずじまいであった。


─────

 わたくしはあの二人から走って逃げて自分が寝泊まりする部屋の布団の中でうずくまっている。
 何なのだあの者達はというより、あの者は!神のわたくしに可愛いなどと! 挙句の果てには愛でたいなど! それは愛する者同士でするものであろう!……まさかっ! あの者はわたくしのことが!?……す、すす、好き、なのだろうか。

 「ああああああ!!わたくしはもうダメですぅぅ!!…………でもわたくしも嫌いではありませんでしたぁ!!」

 巫女服姿の少女──アマテラスは一度も高天原から出た事がなく幾ら永くから存在していても中身は見た目相応の初心な少女なのであった。

 この少女が居る社にはアマテラス他力の弱くなった神々が集まり一つの建物に住んでいて、使用亜神がおり生活している。
 その内アマテラスのお世話をしている使用神シエルという妙齢の女性がいた。

 「アマテラス様どうなさったのですか?」
 「わたくしは、もうダメみたいです。お嫁にいけません」
 「いえ、神なので婚姻などありませんよ」
 「そうですけど、そうじゃないのです」 
 「はあ、ですがお布団に入るには早すぎませんか?」

 そういえば、逃げて来たからあの後人間の二人がどうなったか分からずじまいになってしまってモヤモヤしてきます。せめてちゃんと話せるまで落ち着いてから話がしてみたいですね。
 ですが、もう一回あそこに行く勇気はありません。であれば向こうなら来てもらえれば。

 「シエルさん下界への階段に二人の人間が迷い込んでいました。保護してここまで連れて来てもらえます?」
 「え、人間ですか?どうしてまた」
 「わたくしにも分かりませんが、我の強い神に見つかると何をするか分かりませんので」
 「そうですね、確かに。分かりましたすぐに」

 アマテラスは「おねがいします」と言うと、ふと気付き部屋をもう少しでも綺麗にしなければと思い至り軽い掃除をする庶民的な女神なのだった。


─────


 巫女服っ娘が逃げ走ってすぐ、階段の疲れはまだまだ残っていてその場で少女が何者なのかを考えながら休憩していると。

 「なにかしら、この生き物は?もしかして人間?」
 「え、はい?」
 「私達神への信仰心を忘れた卑しい動物ではないですか」

 僕は内心「またか」と思い返事をしながら振り向く、だがそのすぐに酷い嘲笑と侮蔑の混じった言葉が聞こえ「んん?」と言った本人を確認する。
 するとそこには着物を少し着崩し胸元が大胆に見えていて薄い亜麻色の髪を軽くカールが掛かった優しいそうで妖艶なお姉さんがいた。だがさっき聞こえた言葉のギャップからクリフと僕の思考は停止する。
 これは言う。僕はMじゃない、Sともいえないけど。

 「どうして、この高天原に卑しい動物がいるのでしょう?この場で天に召してもよろしいのですが、まあいいでしょう。さようなら」

 酷いセリフを言った妖艶な美女は片腕をあげると何処から出したのか金色と淡い緑色の開いた扇子を持っておりそれを勢い良く振り抜こうとする。
 その時。

 「失礼いたします。その方々は私の主のお客様であります」
 「アマちゃんのところの使用神じゃない。さすが甘ちゃんね、いいわ興味も失せたわ」

 そう言うと妖艶な美女は本当に興味をなくしたようで使用神さんとやらが来た方へ歩いて行った。
 綺麗だが残酷で妖艶な女の人から間一髪で止めてくれたのはこれまた整った黒髪のショート、クールな雰囲気で綺麗な妙齢の女性だった。

 「ふぅ、あのう………人間のお二方失礼します」

バチンッ!

 「はっ!……さっきのエロいお姉さんは!?」
 「ああ、ここは天国か……痛いっ!」

 使用神さんは声を掛けても反応しないと分かるとそう言い、二人の頬をバチンッと叩く、すると二人は一発で起きるが一人は微妙だったのでもう一発使用神がいれるとようやく完全に起きたのであった。

 「ってまた違う人だ!気になるけどもう帰りたい」
 「激しく同意だが、なんか帰らしてくれる雰囲気じゃないな」
 「察しがよくて何よりです。詳しいことは私に付いてきてください」

 そう言って使用神さんは立ち上がると「さぁ」と促すと早速歩き出す。僕とクリフは仕方ないとある程度覚悟を決めて使用神さんに付いていくのだった。
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