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一章
三話
しおりを挟むあれから使用神さんに付いて行くとそこはとても綺麗で荘厳な日本家屋に着いた。内装は酷くシンプルで廊下には何も置いてなくどこまでも続いているような空間だ。
そして、この建物に来る間にも色々な人がいた。とても豪奢で派手な着物を着た女の人や、動きやすいように袖を紐で捲った男の人など様々だ。そしてその人々は総じて美形で老若男女美男美女だった。
「あ、あのここにはどなたがいるんですか?」
「私の主様です。とても良い方なので心配しなくても大丈夫ですよ」
「でも俺ら、そんな人に呼ばれることなんてしてないと思うんだけど」
僕とクリフは前を歩く使用神さんに質問したりしていたが曖昧な答えしか返ってこなかった。
「付きました。この部屋です、すみません少々お待ちください」
部屋の前まで着いたはいいが何やらふすまの向こうで ガタンッ!ドゴォ! と工事でもしているような音がしていて流石の使用神さんも苦笑したまま先に中に入って確認しに行く。
いや、普通の部屋っぽいのに工事の音って!どんな人なんだよ!?
「な、なぁ俺ら帰れるんだよな?」
「さぁ、分からないけど、でも唯一分かることはこの先にいる人がとてく変人なのは分かった」
「それな」
クリフがそう言った途端部屋の騒音が途絶えふすまがバッ!と急に開いた、そして中からはあの階段で出会った巫女服っ娘が姿を現していた。
「ようこそ、来てくれました。入ってください」
「え?……君、階段会った子だよね?」
僕とクリフの間には『?』しか浮かばない。巫女服っ娘の後ろから使用神さんも顔を出すと「中でどうぞ」と言い入室を促され、またもや流される二人なのであった。
─────
その部屋はさっきまで工事でもしている様な音がしていたとは思えないほどに綺麗だ。広いとは言えないが物はそこまで多い訳でもなく落ち着ける空間になっていた。
そして僕とクリフは部屋の下座で座布団に座らせてもらい、巫女服っ娘は上座に座っている。使用神はその横後に正座で座っていた。
「そ、それで僕達が呼ばれた話というのはなんでしょう?」
「まず、わたくしの呼びに答えてもらって感謝いたします。ではまず、ありきの話をしましょうか」
ありき?ってどういうことだろう?ていうかこの巫女ちゃん、階段前で自分が神と言ってたけど流石あれはノリとかちょっと痛い子だからだよね?
「ではこの場所『高天原』の事から話しますね。まずお二人は『高天原』をご存知ですか?」
「高天原…確か神々が住まう場所とかそんなのじゃなかったっけ?」
「……そうです。その高天原で間違いないです」
巫女服っ娘は感心したように少し目を見開くと微笑み肯定する。
「えっと、ここが?」
「はい」
「俺置いてけぼりなんだけど二人だけで仲良くしないでくれ」
「な、仲良くなだんてまだなってません!」
「ん?その反応まさか」
なにやらクリフが感づいたようでブツブツ独りごちている僕はそれを放っておいて話を進める。
「信じられないけど、百歩譲ってここが本物の高天原だとすると君も後ろの使用神さん?とかここに来る間に見た人達も神なの?」
「当たらずも遠からずです。後ろのシエル…というんですが彼女は亜神です、神にも人にも成れなかった悲しい存在なのです」
「亜神……なんだか格好いいですね。亜神」
「へ?格好いい?亜神は代々神に蔑まれてきた者達なのですが人間の感性からしたらそうなるのですか」
僕がそんな事を言うと巫女服っ娘とシエルさんはキョトンとした顔で僕を見て フフッ と笑う。
巫女服っ娘は「では」と続けると続きを話し始める。
「格好いい、というのは想定外でしたが話はそれだけではないのです。今わたくし達神々はとても力が弱まっているのです」
「力がと言われても、そんな僕達じゃ分かりませんし、それにまだ神とか信じきれてないんですよ」
「んー、どうしたら信じてもらえるのでしょうか。シエル、貴方は何か良い案はないかしら」
「そうですね。私なら目に見えて分からなくても何か感じられる。というものを考えますね」
「感じられるね。あっ」
巫女服っ娘は何か閃いたようで僕を見てスゴくニコニコしていた。
僕は一体何をされるんだろう。
「ありましたよ。見るのは無理ですけど、分かるものなら」
「何か怖いです……」
「任せてください。痛くはしないですから」
─────
わたくしは、ある事を閃きそれを施すことにワクワクしてしまっています、本当にわたくしは彼のことが気に入ってしまったようです。
「では、こちらへ」
そうわたくしは言いながら手招きをします。そしてわたくしの前に彼は移動して正座をしています。
「では、わたくしアマテラスの『神の加護』を授けたいと思います」
「へ?ア、アア、アマテラス!?」
「やはり、そうなりますよね」
わたくしは彼の頭へ右手を乗せそうとしますが、彼はわたくしがアマテラスだと聞いて顔を上げてしまいましました。当然わたくしの右手は彼の顔面を掴み加護を授ける儀式を始めてしまったのです。
すみません、集中するため目を瞑って気付かなかったのです。
わたくしは彼の顔面を掴んでいることに気付かず儀式を終えました。
「え、あれ?どうしたのですか?」
「ど、どうもこうも顔面掴まれて殆ど息できないで死ぬかと思ったんですよ」
「す、すみません!……でも顔面て、シエル本当!?」
「主様、彼の言うとおり儀式の間顔面を鷲掴みで、すごく辛そうに藻掻いていました」
わたくしは今真っ青になっているのでしょう。気に入った彼を若干殺しかけてしまったのですから、わたくしはきっと嫌われてしまったことでしょう。
「本当に申し訳ありません!ですが加護はちゃんと授けさせていただきました!」
「加護……もし嘘なら………」
彼はまだ信じた感じではないようですが加護の付与は完璧です、これで信じてもらえるでしょうから女神として少しは敬ってもらえるように頑張りましょう。
─────
僕は実技訓練の時に使うような感覚で恩恵を行使する。すると身体が軽く感じるようで今ならクリフの全力を簡単に避けられる自信が湧いてきていた。
「シエルさんそこの鞠をできるだけ速く投げてもらえませんか?」
「この鞠ですか分かりました。いきますよ」
僕はシエルさんに投球をお願いする。シエルさんはすんなり投げるのを許諾すると早速と言わんばかりに振りかぶっている。
ヒュッン…バスゥッ!
「は、早いですね。女性だから油断してました。亜神って規格外ですね…羨ましい」
「す、すみません。人間ということを忘れていました。でもあのスピードを避けてしまいましたね」
そう僕は少しカスってしまったけど知らないうちに避けれていた。ただ僕の後ろにいたクリフはカスって軌道が変わりクリフに向かったようで今は泡を吹いてピクピクして気絶していた。
「す、すごいです!どうやって避けたんです?」
「神様だから分かると思いますけど、今、僕達の時代では特殊な能力が発現します。そしてその僕の能力が超反射神経です」
「………地味ですね」
「はい、地味でしたね」
「折角感心したのに、神様凄いって褒めようとしたのに」
僕はエリリアント学院に入ってからの悩みを見事に撃ちぬかれ、ふてくされてしまう。
「あ、今神様って!そういえばさっきにも!すみません今のは全面的にわたくし達が悪かったです!」
「謝るのと気付くの逆にできなかったの!?もうちょっと気遣って!?」
僕とアマテラス様がそんな事を言っている隙にシエルさんはクリフに逃げて介抱していた。
「……まあいいや。確かに加護を受ける前と比べたら急激に動きが変わったよ。そこはありがとう」
「いえ、許してもらえるなら」
「それで、アマテラス様?」
「いやですね。アマテラスとお呼びください」
「え、じゃあアマテラスだと呼びづらいからアテラとか名前っぽいかな?どうですか?」
「アテラ……とても気に入りました!まさか人間の方に名付けられるとは思ってもおりませんでした。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ、そう言えばまだ僕達の名前はまだだったね。僕は守島 攻尓連れの方はクリフルト・エルール。遅かったけどよろしくおねがいします」
僕達の自己紹介も終えて互いの名前を知ることができて良かった。
アマテラス──アテラと呼び方も決まったし何だかんだで聞きそびれていたけどようやっと聞けるよ。
「アテラ…ちゃん高天原から出るには元の場所に戻るにはどうしたらいいの?」
うう、呼び捨てで呼べない弱い僕の心!でも、アテラの見た目が幼いから仕方ないよね。
「それなら、好きな時に出れますよ。ただ好きなときに来ることはできませんけどね」
「ここに来れないのは何となく分かるけど、そんな簡単に帰れたんだ。高天原って言うからもっと大変だと思ってたけど」
僕はシエルさんが介抱しているクリフを見る、まだ当分は起きそうになさそうに見える。
「今すぐ帰りたいって気持ちもあるけど、クリフを置いていくことはできないし、悪いんだけど廊下でいいから休ませてもらっていいかな?」
「廊下だなんて、例えわたくしが神だからって遠慮しないでください。クリフさんが起きるまで寛いでいてください。介抱はシエルに任せて大丈夫なので」
アテラはそう言うと座布団に座り直して僕の話が聞きたいと言い。それからクリフが起きるまで下界の事などを話すのだった。
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