降嫁した断罪王子は屈強獣辺境伯に溺愛される

Bee

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閑話※ 2人の睦言- ガーディアスの香水-

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「ねぇガーディアス。君ってさ、もしかして体臭気にしてたりするのかい?」

 一日領主の仕事を終え、こうしてようやく愛しい我が妻を抱けると思った矢先、いきなりそんなことを言われたガーディアスはギョッとし、組み敷き覆いかぶさろうとした身体を思わず引いた。

「……もしかして臭うか」

 反射的に、自身の体臭を嗅ぐ。

 今日は狩りにも討伐にも行っていない。それにさっき風呂に入ったばかりだ。その上、香水までつけている。もしや香水の匂いがキツすぎたか。
 
 悶々とするガーディアスに、ベッドに横たわるローレントが焦ったように言い訳をした。

「あ、いや。ごめん。君が臭いとか、そういうことが言いたかったわけじゃないんだ」
「じゃあ、なんだ? 付けている香水の匂いが気に入らないのか」
「いや、君らしい重厚な良い香りだと思うよ。でも、身だしなみとか、そういうことを気にしない君が香水をつけているのが不思議でさ。僕を気遣っているなら、気にしなくていいと言おうと思って」

 そう言いながら、ローレントがガーディアスに向かって両腕を伸ばす。その腕に導かれるように、ガーディアスはローレントの上に覆いかぶさり、そのシーツの上で輝く美しい身体を抱きしめた。

「……実は昔、獣臭いと言われたことがあってな」
「へえ。誰にだい?」
「当時付き合っていた女だ」
「……へぇ~。なんて言われたんだ」
「あなたたまに濡れた犬みたいなニオイがするわね! ってな」

 ローレントはまた昔の女の話かと鼻じらんだようだったが、当時付き合っていた女の声色を真似てガーディアスがそう言うと、腕の中でプッと吹き出した。

「なんだよそれ。失礼な女性もいるんだな。……でも確かに、この君の香水はすごく複雑な匂いをしているけど、ベースが野生的な匂いなんだよな。おそらくそれが君の匂いだな」
 
 目を閉じ形の良い鼻翼をヒクヒクさせたローレントに、ガーディアスはギクリとした。
 
 この香水にそんな獣のような臭いは入っていない。逆に、その臭いを打ち消すことができるものを探したくらいだ。
 
「お前、鼻が良すぎやしないか。これを使いはじめてからは、誰にも言われたことはないぞ」
「そうかい? こうして密着していることが多いからじゃないか。でも君らしい匂いで僕は好きだな。この香水と君の体臭は、相性はいいと思うよ」

 ローレントがもっと匂いを嗅ごうと、ガーディアスの首筋の顔を寄せる。
 そんなローレントからも、ほのかに甘い香りが漂う。この匂いはローレント特有のものだ。鼻のいいガーディアスは、初めて会ったときからこの匂いを感じていた。

「お前からは柑橘のような爽やかな匂いと、うっすら甘い香りがする」
「そうかい? 柑橘は香水だな。僕のお気に入りだ。でももう残り少ないから、大事に使ってる。でも甘いっていうのはなんだろうな。僕の使っている化粧品や香水に、甘い匂いのするものはないはずなんだけどな」
「いや、するぞ。甘い匂いだ」

 花の蜜に引き寄せられる虫のように、今度はガーディアスがより近くで匂いを嗅ごうと顔を寄せると、ローレントが少し身をくねらせ、声を上げて笑う。

「君の髭、ごわごわしてさ。くすぐったいんだよ」
「そうか」

 わざと顔に髭を擦り当てると、笑いながらも「もう、いい加減にしろよ」と肩を押し返してきた。


 ――最近、ローレントとのこうした自然なスキンシップが増えてきた。お互いの距離は明らかに縮まり、会話も増えてそれらしくなってきたと、ガーディアスは感じている。

 あのツンとした澄ました顔も彫刻のように美しくて良いが、気を許した笑顔はことさら愛らしくて良い。

 一日の面倒な仕事を終え、寝室でこの笑顔に迎えられると、もう理性など吹き飛ばして彼のすべてを貪り尽くしたい衝動にかられる。だがローレントはセックスよりも会話を好むようで、結局こうした会話からゆっくりと前戯を始めるスタイルが定着した。

 今もガーディアスのガッチリと大きく勃ち上がったモノが、ローレントの腹や太ももに擦り付けられていても、彼は気にするどころか無視して話を続けている。

「あと気になってたんだけどさ」
「今度はなんだ」
「君のこの毛なんだけど」

 ローレントがガーディアスの肩から背中に向かって生える、立派な赤い被毛を手で撫でた。

「毛がどうした。まさか剃れとか言うんじゃないだろうな。さすがにこればかりはどうにもならんぞ」
「いや剃って欲しいとかそういうことじゃなくてさ。君、体毛のお手入れしているのかい?」
「お手入れ? ……普通に洗っているが」

 また今度は何を言い始めたんだと、ガーディアスは少し身体を起こし、やや警戒するようにローレントを見た。
 当のローレントは真面目な顔で、ガーディアスが体を起こしたせいで届かなくなった背中の毛の代わりに、今度は肩口から腕の上腕に向かって生える毛を撫で擦る。
 
「君の毛ってさ、ちょっとゴワゴワしているだろ。触っていると分かるんだけどさ、髪とこの前腕の毛は人間の毛に近いけど、上腕から背中の毛はちょっと違うよね。ちゃんとお手入れしてやったらさ、この背中の毛ってもっとフワフワになりそうなんだけどさ」
「……フワフワにする必要あるのか?」
「こうやって触る僕が気持ちいいだろ。それにこの前ラミネットから、髪の毛の手入れについてやり方を詳しく教わったんだ。ほら僕、ここのところ髪が傷んでいただろ? 今はかなり手触りがよくなった。だからそれを君にも実践してやろう」
「なるほど。それは俺と風呂をともにしたいという、遠回しの誘いか」

 ローレントはどうやら、気を許した相手には忖度なしにものを言うタイプらしい。
 ガーディアスはそれを上手く切り返しニッと笑ってやると、ローレントは一瞬目を丸くした。だがそれからすぐ耳がカッと赤くなった。
 
 どうやら意味を理解したようだ。

 この国で〝一緒に風呂へ入る〟、すなわち混浴という言葉には、意味が含まれている。
 要するに『あなたと裸になれるとことに行きたい』ということで、まあベッドの上以外での、自由なセックスのお誘いだ。
 
 もちろんこれは貴族たちが使う隠語みたいなもので、これにサロンやパーティといった言葉が付けば、不特定多数の乱交的な会が開催されると考えればいい。

 俗世的なことに疎そうなローレントだが、意外にもこの言葉は知っていたようだ。誰が教えたのだろう。いや、もしかするとそういう淫らな誘いにうっかり乗ってしまわないよう、わざとそういう言葉も閨教育で教えているのかもしれない。
 
「べ、別にそういうわけじゃ……!」
「そう恥ずかしがるな。俺とお前は夫婦なんだから、混浴したいと、遠回しに言わずともはっきりそう言えばいい。今度風呂に一緒に入るか? 俺は大歓迎だ」
「だから違うって……! ぼ、僕はベッドの上以外で君とそういう行為は……!」

 まるで熱い湯に茹でられてしまったかのように顔を真っ赤にして必死に否定するローレントに、ガーディアスは堪えきれず思わず吹き出してしまった。

「落ち着け。悪かった。冗談だ。ここの風呂は石造りで声が響く。俺もお前のかわいい喘ぎ声を他の者に聞かせる趣味はない」
「また! 君はそうやって僕をからかって……!!」
「ははっ」

 分かりやすく腹を立て、この腕の中から逃れようともがくローレントを、ガーディアスは身体全体を擦り付けるようにして抱きしめ、唇に吸い付いた。
 
 怒って文句を言おうと開けていた口に舌を滑り込ませ、逃げ回る舌に絡ませる。ポカッと拳が頭に飛んできたが、気にせず執拗に口内を嬲り舌を吸い続けると、諦めたのかローレントが身体から力を抜いたのが分かった。

 唇を離すと、目を開けたローレントが不服そうに睨む。

「お前は怒っていてもかわいいな」
「君って奴はいつもそういう……!」

 ローレントはまだなにか言いたいようだが、ガーディアスは無視して唇に吸い付いて言葉を遮り黙らせると、そのまま首筋に舌を這わせる。
 
 結局のところローレントは、なんだかんだと話を引き延ばし、行為を後回しにしようとしているだけなのだ。だが正直言ってガーディアスのペニスはもう限界だ。

 ねっとりと耳から首筋を舐めあげつつ、片手でやや盛り上がった胸筋を揉み上げる。それと同時に指の腹で突起をクリッといじると、ローレントの口から「あっ」と小さく息が漏れた。
 
 執拗に指で擦り口で愛撫をすると、ローレントが喘ぐ声を噛み殺しながら、もどかしげに両膝を擦り合わせ始めた。
 勃起し始めたのだろう。こうやって膝を少し上げて屈めた状態で擦り合わせ誤魔化そうとしているが、ガーディアスには丸わかりだ。
 
 胸にやっていた手をおろしその膝を割ると、ガーディアスの黒光りするモノとは正反対の白い無垢なペニスが、しっかりと上を向き引き締まった白い腹に乗っかっている。

「最近は胸で勃つようになったな」
「そ、そんなこと…………ん……っ」

 手のひらでペニスを包み軽く扱くと、ローレントが体をよじり、もがくようにガーディアスの頭にしがみつく。

 ローレントと夜を共にするまで、男の体を愛撫し勃起したペニスを触るなど、絶対にできないと思っていた。だが実際には初めて彼を抱いた日はひどく興奮したし、なんならペニスの先から尻の穴までじっくりと舐め回したいほどだ。まあ、ローレントが変態行為はだめだとやらせてはくれないが。

 舌の代わりに指を、尻の筋を辿りながら穴へと埋める。拒むように入口がキツく閉じられているが、中は柔らかい。何度か抜き差しを繰り返すと周囲の筋肉も緩み、ガーディアスの革手袋を嵌めたかのような太い指でも、ラクに動かせるようになる。

 少し奥で柔らかいシコリに触れた。そこを押し上げるように撫であげると、ローレントの体が「あっ!」という声とともにビクリと跳ね、ガーディアスの頭を掴む手が力んだ。

「ここはやはり感度がいいな」
 
 どうやらそこは直接ペニスに刺激がいくらしく、触ると萎えたローレントのペニスでも分かりやすく反応する。
 しつこく攻めればあっという間にローレントは達してしまい、腑抜けたようになってしまうので、今はあえてそこは優しく撫でる程度で終え、ガーディアスは指を引き抜いた。

 ローレントの腕の拘束から抜け出すようにして頭を持ち上げると、ローレントの上気し蕩けた顔が目に入った。
 ガーディアスの与える快感に耐えるため閉じていた金のまつ毛が、持ち上がる。まるで花が開花するかの如く、その下から鮮やかな青い瞳が現れ、ガーディアスを捉える。

 ガーディアスは体の奥底から急激に湧き上がる情動に、ブルッと身振した。
 がむしゃらに穴へ突き入れたい衝動にかられる。

(――ああ、もうこれは本当に重症だな)

 噛みつくように唇に吸い付いた。
 性衝動を抑えきれないなど、これではまるで、情けない童貞男のようだ。
 
 ガーディアスは、ひどい興奮状態であることをローレントに悟られないよう、冷静さを装ってゆっくりと足に手をかける。
 そして先程じっくりと解した穴に、そのいきり立ったグロテスクなペニスを押し付けると、少しずつ中へと押し入れた。

 「……だめだ、ガーディアス…………。ゆっくりだ、ゆっくり……――」

 ローレントの口から喘ぐように、ガーディアスを制する言葉が漏れる。
 まるでガーディアスの内面を見透かしているようだ。
 
 だがそんなことを言っても、どうせローレントも途中から訳がわからなくなるほど乱れるのに。

 さて、今日はどれだけイカせてやろうか。

 ガーディアスは今すぐにでも彼の中に精を放ちたい気持ちを抑え、淫靡なものに移ろいゆくローレントの美しい顔をじっくりと眺めていた。
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