前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか

Bee

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ダイチの本心

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 俺より少し高い位置にある、彼の顔を見上げるようにして見つめると、ダイチは何度か視線をそらして少しためらってから、ようやく口を開いた。 

「その……俺、どうしたらいいのか分からないんです」 
「……分からない?」 

 分からないとは。自分の気持ちがってこと? 

「いえ、その……ユウジさんと今後、どうやってお付き合いしていったらいいかってことが、です」 
「え?」 
「俺、本当にユウジさんとが初めてで。いざOK貰って、そこからどうしたらいいか分からなくて……」 

 顔を真っ赤にしたダイチが、気まずそうに俯いている。 

「本当は手を繋いだり、キスとか……したいと思ってます。でも、そういう雰囲気をうまく作れなくて、もし無理強いされたとか思われたらどうしようって、思っちゃって……」 
「無理強いだとか、そんなこと……」 
「俺と付き合うことだって、俺が言いくるめてOK貰ったところがあるし、その……まだ俺のこと好きじゃないのに、キスとかして、本当は嫌だったのにって思われたりしないかって、そればっか頭にあって」 

 一瞬、頭に夢で黒木に会ったとき、もう無理やりしないってことを条件にしたことが頭をチラついた。でもダイチはとてもまじめな子だから、そういう気の回し方をしてしまっても不思議じゃない。 

 サイさんに言われた通り、もう黒木とダイチを重ねないようにしよう。 

「ユウジさん大人だから、経験豊富だし、でも俺はキスとか初めてでうまくできるか不安で……。やっぱガキとは付き合えないなって思われるんじゃないかって」 

 そのとき、今度は前に佐藤が『童貞くんなんだからお前がリードしないと』と言っていたことを思い出した。 

 あのとき俺は、おっさんがガツガツするのはみっともないからできないって、そう思ってたんだよな。 

  

 ……なんだ、ダイチも俺も似たようなことで悩んでたんだ。 

  

「この前、映画に誘ってもらったときも、スゲー嬉しくて、前の晩全然眠れなくて、そしたら今度は映画の途中でスゲー眠くなって。俺が観たいって言ったやつだし、映画の途中寝ないように必死で。映画はユウジさんの奢りで、俺は金持ってないからコーラとかコーヒーとかしか奢れなくて、今後もきっとデートのたびに、ユウジさんに頼っちゃうのかなって思うと情けなくて、俺のほうからデートに誘えなくて」 

 顔を真っ赤にさせて、今にも泣きそうなダイチ。 

 普段クールな感じで、俺には余裕あるような表情しか見せなかったのに、実はそれはポーズで、年上の俺に合わせようと目一杯背伸びしていたのかと思うと、なんだかキュンときちゃうじゃないか。 

「ロッシュがいるからって、勇気が出ない言い訳にしていたんです。見送りでの玄関とか、ロッシュが側にいないときなんかいくらでもあったのに」 
「……ダイチも、本当は俺とキスしたいってことでいいのかな」 

 俯いた顔を上げ、俺の目を見ながら頷くダイチ。 
 そういえばこんなにまっすぐに目を合わせたのは、初めてかもしれない。 

 形のいい切れ長のきれいな目のラインを際立たせる黒いまつげは、目に溜まった涙で少し濡れている。 

 俺が指で滲んだ涙を拭い取ると、ダイチは照れたように目を伏せた。 

「……あと、俺、言わなきゃいけないことがあるんです」 
「ん? 何かな」 
「これ言ったら、絶対ひかれるかもって思って、これまで言えなかったんですけど」 
「俺が君を嫌うことはないと思うよ」 

 まあ犯罪歴とかではなければだけど。 

 俺が余裕を見せて微笑むと、ダイチはちょっと気まずそうに口を開く。 

「この際だから全部言います。……俺、もしかすると黒木さんの生まれ変わりかもしれません」 
「は?」 
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