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嵐が去って
しおりを挟むメリッサがラシードに襲われてから数日。妊娠の可能性や、メリッサの心の傷を考慮し、暫くメリッサは一人、別室に篭っていた。勉強部屋では思い出すのと、生命力の部屋では房事を思い出すのを避ける為だった。強引での行為が、メリッサには心が抉られる事だとは思ってもいなかった。
「よっぽど、あの4人との房事は気に入ってたんだなぁ………きっと」
窓辺に座り、湖畔を眺めるメリッサ。自分で自分を抱き締め、膝に顔を埋める。
「怖かった…………」
コンコン。
過ごし慣れていない部屋の扉が叩かれ、侍女が医者でもある、父のグレイと助手を連れて入室する。
「メリッサ様、本日の検査を」
「…………ねぇ、もし妊娠してたら、この子は如何するの?産む?」
「………こんな事例は今迄無かったようだからなぁ………子が出来にくいゲーデル王族には、子が出来ていたら喜ばしい事なんだが、メリベルは感情的には、許せないらしい………相手が婚約者でもないからな」
ベッドの横で検査具を用意しているグレイと助手の側に、メリッサが近付いた。毎日の様に繰り返すようになった習慣。あの日、直ぐに掻き出され、それ以降房事はしていない。生命力の部屋のクリスタルの力が弱まってはいないだろうか、とは思ったが、妊娠の有無が判明する迄は禁止されている。
「…………魔石を入れるぞ」
「…………うん」
ゲーデルでの妊娠の有無の確認は、魔石を使う。奥迄、押し込ませ生命が宿っているかを診る。色が変われば妊娠、変わっていなければ妊娠はしていない。王族以外の血脈であれば、女の月経周期に合わせて確認出来ても、王族は違うので毎日確認にしなければならないという。メリッサが結婚していたら、その検査もしなくてもいいのだろうが、まだ未婚で、結婚可能年齢ではないからだという。暫く待つ間、気を紛らわす為に、グレイはメリッサと話す機会を得ている。見れば見る程、グレイに似ていると思うメリッサ。
「お父様が、私の父さんで良かったかも……」
「何だ?唐突に」
「他のお父様達とは、なんか雰囲気っていうか違うじゃない?記憶なんてないし、お母様の夫としか皆見てないんだけど、グレイ父様が一番私にしっくりするの……」
「メリベルもそうじゃないか、て言ってくれてるな…………他の夫達には言うなよ?拗ねるから」
「言わないよ~…………マードック父様に言ったら、思い切り拗ねられちゃったし……甥のモートンも拗ねるしね………」
「…………あぁ、モートンはメリッサの第一夫予定の男か……マードックに似た……」
「グレイ父様は、私が誰との子を産んで欲しい?」
「……………ラシード以外なら誰とでもいいさ…………抜くぞ………力抜けよ」
「……………んっ……」
魔石の色は変わらずだった。
「…………妊娠の可能性は無さそうだ……今日でとりあえず3週間経ったが、まだ暫くコレは続けよう………フェルドマンには房事を始める前に時間を検査に回させろ、と伝えてあるから、父様は生命力の部屋に行くから………生命力の部屋に戻っていいぞ…………フェルドマン達も待ってる」
「…………うん……」
グレイ達が退室すると、フェルドマン達が迎えに来てくれていた。久しぶりに見る婚約者達にメリッサは飛び込む。
「ごめんね………心配掛けちゃって」
「謝る方は私達ですよ、メリッサ」
「そうだぜ、メリッサ」
「二度とあんな事にさせませんから」
「もう、私はシュザリアとは縁を切った!ラシードだけでなく、他の兄弟達も来させないから!」
メリッサを取り囲む様に、婚約者達はメリッサを抱き締めた。
♤♢♡♧
生命力の部屋に入ったメリッサと婚約者達。久しぶりに緊張が走っている。受け入れられなかったらどうしよう、と思っていた。
「メリッサ、入浴の準備をしています。久しぶりだからといって緊張しないで」
フェルドマンが、項にキスを落とす。それだけであの日とは違うと分かる。
「………皆で入る?」
「メリッサが望むなら」
ゲルニカがメリッサの手を握り、手の甲にキスを落としてくれる。
「うん、入りたい」
その言葉で、オルサガに抱き上げられ、カイエンに靴を脱がされつ足元にキスをされた。オルサガもメリッサの額にキスを贈る。それぞれ、違う場所にキスをしてくる辺り、メリッサの心が踊った。脱衣場に入り質素なドレスを脱がされる。
「メリッサの魅力は、滑らかな素肌なのに、こんなドレスでは魅力半減ですね」
「露出あって、エロい身体がメリッサなのにな」
「見えそうで見えない色気がいい」
「可愛さの中に魅惑的な色気が堪らないんだよね」
「…………皆、私の好きな所、ソコじゃないよね?」
素っ裸にされて、マジマジと見つめられる久しぶりの恥ずかしさに隠したくなってくるメリッサ。
「説明しましょうか?今日は一人ずつ、メリッサを抱こう、と決めてますから、口説きながら愛させてもらいますよ?」
「それと、伸びたこの毛も剃らなきゃな」
「メリッサには無い方がいい」
「私が剃りたい!」
「カイエンは以前傷付けましたよね?」
「あぁ、あったな」
「傷付けたから、一回休みですよ、カイエン」
「……………えぇ!!」
「クリや蜜口に気を取られ過ぎて手元滑った罰ですよ」
立場がやはり弱いカイエンに、揶揄いながらフェルドマンやゲルニカ、オルサガが笑う。
「クスクス…………何か帰ってきた、て感じ」
「笑ってくれましたね、メリッサ」
「え?」
フェルドマンがホッとした様に微笑んだ。
「メリッサは笑ってた方が可愛い」
「えぇ、微笑む顔より、笑顔が可愛いですよ、メリッサ」
「うんうん!」
「さぁ、洗いますから入りましょう」
そして、5人で甘い甘い入浴時間が始まる。
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