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アリシアの不満
しおりを挟むアニースが来てから、ボルゾイ風の衣装等が用意されるようになり、アリシアはアニースの装いを見て、落ち込んでいた。
もう直ぐラメイラの結婚式が行われ、ラメイラは皇女宮から出なければならない。
その為、食事は出来るだけ揃って食べたい、というアリシアの意向で、ラメイラもアニースも付き合ってくれていた。
「不公平だと思いません?お姉様方。」
「何が?」
パンをスープに漬けて、口に運ぶラメイラがアリシアの言葉に反応する。
「だって、ラメイラお姉様もアニースお姉様も身長高いし、ラメイラお姉様の胸はさておき、アニースお姉様の豊満な胸を見てしまうと、わたくしが16歳の時にどうなるのかしら、て思ってしまって………わたくし、まだ身長も低いし……。」
ボルゾイ風の衣装のアニースは豊満の胸を強調しているので、益々羨ましくなったらしい。
「アリシア………私の胸はさておき、て何だ?こら!これから成長するんだからな!私は!」
「え~?ナターシャお姉様と同じ歳なのに、ナターシャお姉様大きいじゃないですか。わたくし………身長も伸びないまま、胸小さかったらどうしよう……。」
「…………コリンに揉んで貰えば?」
「………コリン兄様?…………想像出来ない……。」
「アリシアはコリンに嫁ぐんだろ?」
「…………如何なんでしょう?………ときめきもしないコリン兄様と、て………はぁ……。」
アリシアは片肘を立て、お行儀悪く、スープを飲む訳でもなく、スプーンを立てている。
「アリシアは他の皇子にするのか?あとはタイタス殿下だろ?」
アニースも会話に入ると、益々アリシアは溜息を漏らした。
「タイタス殿下はもっと無いかも………。ラメイラお姉様とダンスレッスンしてても、見ててないな、て。」
「そうか?心根の真っ直ぐな方じゃないか。性根が曲がった私の兄弟姉妹と比べたら、素敵な方だ。」
「アニースは、タイタスにするのか?」
「一夫一妻制なら、年齢的はそうなるが、望まれるかも、私自身が望むかはまだ結論等出ないよ。まだ会って間もないしな。」
「皇子以外に好きな人も出来る可能性あるからなぁ……。私も、タイタスにずっと片思いしてたのに、今タイタスを、て思えないし。」
「ラメイラお姉様は、トーマス殿下に迫られたから、好きになっていったんですか?」
全く食事が進まないアリシアとは違い、ラメイラはもう食べ終わり、紅茶ではなく珈琲を飲んでいる。
ボルゾイでは紅茶より珈琲を飲む事が多い、というアニースに、少しでも過ごしやすくしてもらおうとの配慮らしい。
「別に元々から嫌いだった訳じゃない。子供の頃から4人と遊んでたしな………ただ、トーマスの色気にヤラれた………というか……あの優しさ、というか…………ニオイというか………あぁ!もういいだろ?好きになったんだから!」
「…………トリスタンの男性、てお姉様の弟君のレックス公子にお会いしましたけど、強引な方が多いんですか?」
「………レックス?会ったのか?アリシア。」
「キスされました。しかも、無理矢理トリスタンに連れて行く、と言われ…………カイルが助けてくれましたけど……………!!」
アリシアは、カイルに助けてもらった後にキスされた事を思い出した。
そして、真っ赤な顔をしたのだ。
それを見逃すラメイラとアニースではない。
「…………レックス……あいつ、兄上そっくりになってきたな…………で?何でアリシアそんなに顔赤らめてるんだ?レックスじゃあ………無いよな?」
「赤いな…………カイルか?………彼はモテそうたしな………皇太子殿下と同じ金髪で冷たそうな印象だが、あの外観で放っておく女も居らぬだろう?美し過ぎる男は好みではないが。」
「!!カイル………冷たくないもん!!お父様も助けてくれたもん!!私が熱を出した時は、薬茶作ってくれたもん!!」
「ア、アリシア…………まさか、カイルに……。」
「……………私……カイルが好きです………コリン兄様は、お兄様と一緒なの……でもカイルは…………。」
「アリシアは、カイルにその事は伝えたのか?」
丸テーブルを囲んでの食事で、アニースはアリシアに手が届いた為、背中を擦りながら聞いた。
「…………知ってる………でもカイルは私が王女で、コリン兄様に嫁ぐ身だから、て………あと、私がまだ10歳だから、て………16歳になったら、な…………て。」
「…………よし、ナターシャに相談しよう!ナターシャはカイルの妹だしな!」
ラメイラが席を立ち、今にも皇太子邸に行く気配だったのをアリシアは止めた。
「いい!!………ナターシャお姉様には言わないで!!…………カイルに知られたら怒ると思うから………『何ナターシャに言ってんだよ!』て………。」
「ナターシャは言わないと思うけどな。」
「ラメイラお姉様は知らないの?ウィンストン公爵家の情報網を………だって、アニースお姉様を助けたのだって、閉じ込められてた場所、わたくし知らなかった場所だったんだから!」
「た、確かにあの親子の出来は凄いな………。」
「だから、言わないで………怒られてまた喧嘩したくない……。」
アリシアはカイルの話をする時だけ私と言っていた。
普段からわたくしと言うアリシア。
カイルには本当の自分を見せているのだろう、とアニースは見えてしまった。
鈍いラメイラは気が付いていない。
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