誰が叔父様の側室になんてなるもんか!【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
38 / 102

修羅場!!

しおりを挟む
 
 朝食を食べた後、ラメイラはトーマスの妃殿下として、アリシアやアニースとは違う勉強があるとかで、王城の図書館に行ってしまった。
 アニースはウィンストン公爵と会う事になっていて、アリシアは暇を持て余していた。

「皇太子邸に行こうかしら……。」

 邪魔にならないなら、少し刺繍の手ほどきをして欲しかったので、念の為に刺繍道具を持参する。

「妃殿下はおみえかしら?お約束はしていないのだけど、お会い出来れば、と思って。」

 アリシアは見知った衛兵に声を掛ける。

「妃殿下はいらっしゃいますよ。ですが父上様のウィンストン公爵が今からこちらに来られると伺っておりまして。」
「ウィンストン公爵はアニースお姉様と会っているんじゃ?」
「アリシア王女?」

 アリシアの後方から声がすると、ウィンストン公爵がアニースを連れ、皇太子邸の前に着いた所だった。
 アニースはまだナターシャと顔を合わせていないらしい。

「ウィンストン公爵とご予定があるなら、わたくしは失礼しますわね。」
「アリシア様、申し訳ありません。」

 ウィンストン公爵は頭を下げた。
 ウィンストン公爵が悪い訳では決してない。
 アニースから、先日の皇子達との対面時に、ナターシャも会う予定だったのだが、ヴィオレットが熱を出した為、看病で会えなかったらしい。

「ウィンストン公爵が謝る必要はありませんわ、わたくしはナターシャお姉様とお約束してませんでしたし。気になさらないで。」
「アリシア、また後でな。」
「えぇ、アニースお姉様、また後程。」

 アリシアはアニースとウィンストン公爵と別れ、そのまま皇女宮に戻りたい気分でもなく、王族居住地の森に行く事にした。

(………創作意欲、湧くかしら……。)

 王族居住地は幾つもの2階建ての邸が点在する。
 最も王城に近い皇太子邸、その奥にトーマス邸があるが、他の邸はまだ使われていない。
 2つの邸は工事中らしく、職人が邸の土台や外壁を修復していた。
 皇子達が婚姻が近くなる事を予測させる。
 職人達の傍には行くわけにはいかないので、アリシアはいつもその奥へと森を進むのだ。

「こんなに邸がある、て事は何代か前の皇帝は子沢山だったんでしょうね……。」

 10邸は有に越す古びた邸も多い。
 リュカリオンは妃のナターシャ以外の女を愛人に迎えるつもりもないのが、臣下を含め、令嬢達も諦めているらしい。
 アリシアは話で聞いただけだが、令嬢達の嫉妬心からリュカリオンの怒りを買い、ナターシャに対し命迄狙った令嬢も居るらしい。
 侮辱的な事をした令嬢やその父親にも、爵位や資産さえ没収され、平民に落とされた者も居るという。

「本当に広いわ、レングストンの王宮、て。」
「……………!!」
「………………。」
「ん?話し声?」

 アニースが歩いていると、もっと奥の森から男女の声が聞こえる。
 男の方はカイルの声だった。

(………また、嫌な時に来たわ……戻ろ。)
「他に女が出来たんですか!?」
「………そうじゃない。それに身体目的で君に近付いた訳じゃない事は、以前から話していただろう。俺はアードラの情報網が欲しいだけだ。身体を求めて来たのは君からだったろ、金は要らないから抱いて、と言ったのを忘れたなんて言わせないぞ。」
「……………だって、私はカイル様をお慕いしてるんです!身分が違うから、妻にとは申しません!!愛人の1人でいいんです!」
「…………そういう話になるなら、もうお前からの情報は要らん、他をあたる。充分な対価は与えている筈だ、アードラの両親はそれで助かるだろう。」
「カイル様!!………待って下さい!………う……………う………。」

 アリシアは聞いてしまった。
 男女の修羅場を。
 カイルが王城の方に戻るのかアリシアの方に来る。

(…………うわっ!こっちに来るっ!!……隠れられ………あ…………。)
「…………何してんだ?」

 案の定見付かってしまったアリシアは、苦笑いで返すものの、カイルに睨まれ誤魔化しも出来なかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です

氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。 英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

完結(R18 詰んだ。2番目の夫を迎えたら、資金0で放り出されました。

にじくす まさしよ
恋愛
R18。合わないと思われた方はバックお願いします  結婚して3年。「子供はまだいいよね」と、夫と仲睦まじく暮らしていた。  ふたり以上の夫を持つこの国で、「愛する夫だけがいい」と、ふたり目以降の夫を持たなかった主人公。そんなある日、夫から外聞が悪いから新たな夫を迎えるよう説得され、父たちの命もあり、渋々二度目の結婚をすることに。  その3ヶ月後、一番目の夫からいきなり離婚を突きつけられ、着の身着のまま家を出された。  これは、愛する夫から裏切られ、幾ばくかの慰謝料もなく持参金も返してもらえなかった無一文ポジティブ主人公の、自由で気ままな物語。 俯瞰視点あり。 仕返しあり。シリアスはありますがヒロインが切り替えが早く前向きなので、あまり落ち込まないかと。ハッピーエンド。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

肩越しの青空

蒲公英
恋愛
「結婚しない? 絶対気が合うし、楽しいと思うよ」つきあってもいない男に、そんなこと言われましても。 身長差38センチ、体重はほぼ倍。食えない熊との攻防戦、あたしの明日はどっちだ。

処理中です...