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結婚式は厳かでお願い
しおりを挟む式が始まり、トーマスが祭壇前に待機し、ラメイラが父のトリスタン王のエスコートで入場してきた。
その間もブツブツと小声で兄のアラムと話すヘルン。
(………あぁ、本当にウザい!)
式が始まる前に話していた声量ではないものの、時々聞こえる下品な言葉。
(…………ラメイラお姉様を堪能出来ないじゃない。)
あのヘルンの話声をラメイラが聞けば、恐らく式は中断し大騒ぎになるだろう、と想像出来るので、何事も起きない事を願うアリシア。
「アレが第二皇子妃?…………ふっ。」
「!!」
(鼻で笑ったわね!!…………はっ!ラメイラお姉様聞いてないわよね!)
しかし、ラメイラは目の前のトーマスに夢中で聞こえていなかったようだ。
(…………よ、良かった……ホントにもう!!美しい式を台無しにしないでよ!!能無し王女!)
アリシアがラメイラとトーマスの2人にウットリと見ていても、やっぱり邪魔な小言をブツブツとボヤいているヘルン。
(………あの頭目掛けて、何か投げたい!)
早く終わって欲しいとも思ってしまう。
退場の場で、ラメイラはナターシャを見つけると、嬉しそうに手を振ったのを見ると、再び鼻で笑ったのに気付く。
(………また笑ったわね!)
「アレが皇太子妃?大した事ないわね。」
「………いくら綺麗でも性格悪い女は皇子殿下に相手されねぇぞ。」
「!!」
本当に腹が立ったアリシアは、声色を変え、男の子っぽくヤジを飛ばす。
「誰よ!!」
「こら、ヘルン!今は我慢しろ!」
「お兄様!侮辱されたのよ!私は!」
「…………お前……いい加減にしろ。」
「ヘルン様…………ヘルン様以上の美女等居りません、ですがここはボルゾイではないのですよ、お言葉はお控え下さい。」
注意するなら、もっと早くしてほしい、と思うぐらいだが、注意するにしてもキツく言われないヘルンは余程甘やかされたのだろう、と思えて仕方ない。
まだ10歳のアリシアでもそう思えてしまう。
そう考えていると、ラメイラとトーマスがアリシアの前を通る。
(……………おめでとうございます、お姉様!)
口パクで、ラメイラに伝える。
(ありがとう、アリシア。)
口パクで答えたラメイラを見ると、参列して良かったとウットリした。
大聖堂からラメイラとトーマスが退場し、これからパレードに行くだろう。
アリシアはアニースに駆け寄る。
「お姉様!」
「あぁ、アリシア。」
ヘルンが近くに居るので、名前は言わないで近寄るアリシア。
「素敵な式でしたね。」
「あぁ、ラメイラ綺麗だったな。」
「わたくしも祝福される結婚式したいなぁ。」
「アリシアなら大丈夫だろう。」
「…………だといいですけど。」
アニースは、アリシアの頭を撫でた。
慰めるようなその手は、アリシアの不安を全部でなくとも溶かしていく。
「そうだわ、お姉様早く王宮に戻りましょう!こうしては居られないわ。」
「アリシア?」
アリシアはアニースの腕を引っ張り、馬車に乗せようと大聖堂を出ようとした。
しかし、大勢の貴族や来賓が大聖堂に居るのだ。
警備兵の誘導に従わなければならなかったりする。
アリシアの近くに居たボルゾイの王族達も、同じ様に待っている。
結婚式に参列した者達の中で、国外からや王都に邸が無い貴族達は王城の客間に宿泊する事になっていて、その者達に夜会も開かれる。
「お姉様、今日は夜会出席されます?」
「私は出ないな………遊ぶ暇があるなら、勉強しなければ……皇子達から教えて頂いた事を理解出来ているとは思ってないのでな。」
「わたくしもご一緒していいですか?レングストンでは14歳にならないと夜会に出れないので。」
「そうなのか?」
「つまらないんですよね、アードラでは夜会で人間観察するのが好きだったのに。」
ざわざわとした状態なので、普通に話をしていたアリシアとアニース。
だが、レングストンでは珍しくない銀髪のふわふわしたアリシアと、レングストンでは珍しい赤茶の髪のアニースは目立っていた。
それがボルゾイから来た、アラムとヘルンの視界に入った。
「お兄様!!あれ!見て!!」
「何だ?ヘルン。」
「アニースよ!!あれ!」
「!!何だと!!」
その声でアニースは振り向いてしまう。
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