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引き抜き?
しおりを挟むカイルはロバートの言葉の意味を考える。
それはロバートに突き返す言葉をカイルは言わなければならない。
「俺は手伝えるのは、アマレス、外務大臣、第一側妃マルシアの更迭、国交条約の再締結だけだ。」
「…………カイル様!」
「助言は出来るがソレに関しては動けない。俺はレングストンの者だからな…………今回はアマレスが国王になる事はレングストンに良くない事だと思ったからだ。マリージョとの事はレングストンには関係はない………レングストン皇帝陛下が助力しろ、と言わない限りな………。」
「…………そ、そうですよね………。」
落ち込むロバートを見ると、カイルは頭を掻いた。
「トーマスにも聞いてはみるが、一応マリージョの事も調べさせてはいるから、糸口は見えるかもしれない。それをアードラが利用するかどうか、だな。」
「…………カイル様………。」
「そんな落ち込むなよ、お前はアルフレッド王子の片腕になるんだろ?もっと視野を広げろよ。」
「………カイル様はレングストンで宰相になられるのですか?」
ロバートは何気にカイルに問う。
宰相になるかならないか、でアードラに関係ない筈なのだが、カイルは素直に答えた。
「宰相?俺はならない。なるのは兄上のセシルだ。」
「……………で、では、アードラに来て頂く事は可能でしょうか!カイル様なら、アル様の片腕として補助をして頂ける筈!」
「…………それは、お前の意見か?」
「……は、はい……私にはアル様の片腕は荷が重すぎます。」
「悪いが、俺はウィンストン領主になる事が決まっている。アードラに移り住む事は無い。」
「お願いします!アドラード王もアル様もカイル様に感謝しています!それなりの地位も権力も約束して頂ける筈!」
「では、ロバートがそれになればいい。リュカ殿下から聞けば、殿下はロバートの知能、努力する姿勢は一目置いているようだ。王族への忠義さは俺だって感心してるんだぜ?努力を惜しまなきゃ、アルフレッド王子の片腕になれる筈だ。」
「わ、私はアル様の乳兄弟ですが、母は身分が低く………その様な地位には上がれません……。」
「何で?努力してきたろ?ロバートを信頼しているからこそ、アリシアを託されたんじゃないか。アリシアも言ってたぜ?ロバートのアルフレッド王子への忠義心を認めていた。アルフレッド王子への忠義はアドラード王、アードラへの忠義。お前の今回の仕事振りは今の地位は勿体無い、と思ってると思うがな。」
ロバートは脱力し床に座り込む。
自分の仕事振りを見ていてくれた人が居る事が、アリシアに煙たがられても貫き通した事がロバートへの信頼性を培ったのなら、満更悪かった事では無かったと。
「アリシア様にどんなに嫌われようが、アル様から何としてもアリシア様を守れ、と仰せつかりました………私にとってレングストンは未知の国。アードラ内の事は詳しくても、レングストンと国交し、その内容も付き合い方も知らず、皆様には不快だったのも知っていました。だが、アリシア様が嫁ぐ国だと言うならば、アリシア様に嫌われていようが、アードラでのアリシア様の重要性を知ってもらわなければならなかった………アリシア様はレングストンの風土が合ってらっしゃると思っていた頃に、アル様からの手紙でアードラの現状を知り、レングストンにアリシア様はお預けしていいのだ、と本当に安堵したのです。ならば、アードラ国内のいざこざを早く治める為に、カイル様が居てくれたら、と………。」
ロバートはカイルを見上げて、更に続けた。
「私に……………私に出来るでしょうか……。」
「出来るでしょうか、じゃない。出来ると思う事が大事だ。」
ロバートは打ちひしがれる。
そして、大きく肩を震わし、深呼吸するのだった。
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