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番外編【トーマスとラメイラ】
王都に着いた頃には、トーマスもカイルも誰が懐妊したのか知っていた。
「いやぁ、めでたいな、トーマス。」
「……………。」
「トーマス?………お~い。」
「俺が父親…………。」
「もう直ぐ王宮だぞ、トーマス。しっかりしろ!」
「あ、あぁ。」
王宮に馬車が着くと、タイタスとセシルが迎えに出ていた。
「お帰りなさいませ、トーマス殿下。」
「お帰り、トーマス兄上。」
ニマニマとした表情のタイタスを見て、何か言いたげな顔だと思ったトーマス。
しかし、セシルもタイタスも黙っていた。
「ただいま…………言いたい事あるなら言え、タイタス。」
「……………何で街が賑わってるか、カイルが調べたんだろ?」
「タイタス殿下、勿論ですよ?」
「早くトーマス邸にお帰り下さい。ラメイラ妃も待っていますよ。」
「だが、父上に報告もあるだろ?」
「それは、俺がやっとくから、行ってこい!」
「すまん!」
トーマスは走ってラメイラに会いに行きたい為、王城の秘密通路を使う事にした。
普段王族の者が使う事は少ない。
この通路は主にウィンストン公爵の部下や非常時の通路だからだ。
遠回りではあるが、人に会わずに済むだけ有り難い通路。
今は早くラメイラに会いに行きたいトーマスは、トーマス邸の近くの隠し扉を出て、トーマス邸の入り口に来ると、衛兵達は直ぐに祝辞を述べた。
「トーマス殿下!おめでとうございます!」
「おめでとうございます!」
「あぁ、ありがとう、すまない今は早く入らせてくれ。」
「あ!そうでしたね!失礼しました!」
トーマス邸に帰ると、侍女達も迎え入れ、祝辞を述べ通路を開ける。
リビングに居るというラメイラ。
扉を開けるのさえ緊張している事に気付いたトーマスは震えを抑えながら、なんとか扉を開けた。
「ラメイラ!!」
「……………く~…………す~…………。」
「ラメイラ?」
ソファで刺繍をしていたのだろうと分かる大量の布と小さな服。
「ご懐妊すると、眠気が襲うようで、昼間でも時々お休みになってるんですよ。先程迄起きてらっしゃいましたけど。」
「………そうなんだ………それにしても服を作る量が多くないか?ナターシャの時はそんなに散らかってなかったようだけど。」
「…………それは、仕方ないかと………ねぇ。」
「はい、お産まれになったら大変ですから。」
「…………そりゃ、産まれたら大変だろうが……。」
「そういう意味ではないのですが………。」
話し声がするからか、ラメイラはうたた寝から目を覚ますと、話し声の方を見た。
「トーマス!!」
「……………ラメイラ……ただいま。」
嬉しそうな顔をしたラメイラにトーマスはホッとした。
帰ってきた、と思えた瞬間だった。
ラメイラは、バッっと立ち上がるつもりで腰を上げかかったが、一瞬躊躇しゆっくりと立ち上がった。
いつものラメイラを知るトーマスは、ラメイラの変化に戸惑う。
歩くのにもゆっくりにしそうで、侍女がラメイラを介助するぐらいだった。
「へへへ………ごめんね、立ち上がるのも歩くのも細心の注意が必要らしくて、さ………お帰り、トーマス。会いたかったよ。」
トーマスに軽く抱き着くラメイラに、トーマスも緩く抱き締めた。
「ラメイラ、俺に報告あるだろ?」
「あ、もう知っちゃったんだ!………如何しようか迷ったんだよね、でもナターシャも懐妊したから、私も!て勢いで公表しちゃった………本当は一番にトーマスに知らせなきゃだったんだけど………ごめん。」
「でもびっくりした………アードラとの国境の街で聞いたら、兄上か俺か分からなくて、不安でカイルに調べさせたぐらいだったし。」
「でも、懐妊したのは2ヶ月ぐらい差はあるけど、私はナターシャとは違うよ。」
「違う?」
「うん………双子なんだってさ。」
トーマスは驚いてラメイラから離れる。
「ふ、双子!!2人居るのか!!」
「うん。」
「だからあの服の量………。」
「驚いた?」
「あ、あぁ………。」
「2人居るから、ちょっともうお腹出てるよ。触ってみる?」
「ラメイラ…………寝室行こうか。」
流れ的に閨に持ち込まれそうな気配を察知したラメイラ。
「……………やだ!それなら夜に見せる!それと、双子は流産しやすいから、閨禁止だからね!」
「!!な、何だと!!」
こうして、久々に味わえると思っていた新婚気分に戻そうとしていたトーマスにまた試練が立ちはだかるのだった。
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