誰が叔父様の側室になんてなるもんか!【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
66 / 102

結果報告

しおりを挟む

 カイルは皇帝の執務室にセシルと帰国報告に来た。
 既にウィンストン公爵とリュカリオンが待機しており、カイルは挨拶をする。

「陛下、リュカ殿下、ただいま帰国致しました。そして、リュカ殿下、妃殿下ご懐妊おめでとうございます。」
「カイル、ご苦労だった…………トーマスは……まさか?」

 皇帝はトーマスの姿が無い事に溜息を漏らす。

「帰国直後、ラメイラ妃の懐妊を知り、労いに………報告は私一人で事足りるかと思いましたので。」

 カイルは皇帝に一礼し敬う。

「全く………あいつは…………それで?アードラの報告を聞こう。」
「はい…………アマレス宰相、外務大臣ナバーロは罪状により爵位剥奪及び牢獄、第一側妃マルシアは側室の地位を剥奪後、修道院へ送還。マルシアの息子アーサーはアマレスと不義の子と判明し、王位継承権剥奪後、無爵位の臣下へ。アマレスと外務大臣の命により近隣諸国への侵略はアドラード王が復興を手伝う事で示談となった国が2カ国。アードラに吸収合併になった国な2カ国。ナバーロが潜伏していましたマリージョに関しては、アードラとレングストンと国交を望み、その条件として、珪灰石の取引と、レングストンの陶器職人への元へ修行を希望しているので、マリージョとの事は、陛下の許可次第、と保留にしております。」
「………珪灰石、とは何だ?」
「食器を作る為の良質な鉱物です。レングストンには陶器職人はおりますが、良質な土はなかなか取れないらしく、その職人にマリージョの珪灰石を見せたら、是非欲しい、と。」
「その珪灰石で作る食器と、今迄の土で作る食器とは違うのか?」
「その事については、レングストンの陶器職人にいくつか作らせています。2ヶ月程時間を欲しい、と言う事であと1ヶ月程お待ち頂かなければなりませんが。」
「…………それで?マリージョは職人の修業をさせ、マリージョからその陶器を買う、と言うのか?」
「珪灰石だけで良いかと。何しろ、マリージョは珪灰石の存在を知りませんでした。食器も他国から購入するか、木の食器を使っていたぐらいなので、職人を作る間に、こちらのレングストンが、マリージョに負けない質の良い物を作れればいいのです。材料費だけの対価を払うだけで良いかと。」
「……………うむ……リュカ、どう思う?」

 カイルの説明を黙って聞いていたリュカリオンは皇帝が意見を求めた為、口を開く。

「先ずは、その出来た食器を見ない事には……我々の食器は陶器の使用はあまりしていません。陶器食器は何よりも壊れやすいですし………ですが、銀食器は手入れが大変で銀も高価………その銀よりレングストンの土より丈夫な出来で尚且つ安価なら考えても良いかと。そうなれば庶民にも手に入れやすくなるでしょうし。」
「そうだな………先ずは完成品を見てみたい。その頃に、マリージョ王にお越し頂き、国交をするか否かを決めようではないか。」
「では、そのように書簡をマリージョに送りましょう。」

 ウィンストン公爵が了承する。

「父上、書簡と一緒にウェールズ領のワインを1本贈って下さい。マリージョ王は大層、レングストンのワインがお好みのようで、国交となれば、ワインを購入されるかもしれません。こちらが好意的だと知って頂く為にも。」
「…………カイル、やけに自信ありげだな、珪灰石に。」
「えぇ、成分を調べたらカルシウム成分も含まれているので、陶器以外でも何か使えそうなんですよ。」
「カルシウムだと?………医療とかに使えると?」
「それは分かりません。石灰石なので、骨折部に型を取って固定する事も出来たりするんじゃないか、と………ただ、まだ調べる必要もあります。」
「…………なるほど……引き続き、珪灰石の成分は調べる事は出来るか?」

 皇帝も興味が沸き、カイルに指示を出す。

「専門分野外なので、鉱物を研究している者の手助けは欲しいですね。私は薬草の成分を調べる道具で見たぐらいなので……。」
「珪灰石はまだ持っておるのか?カイル。」
「手のひらに乗るぐらいの小さな物を、ウィンストン公爵家専用の王城の保管庫に。」
「宰相、それも調べさせてくれ。」
「御意。」

 思わぬ収穫のあった結果に、レングストンも更に潤う可能性もあると、ホッとする。
 だが、カイルはまだ皇帝に報告をしなければならない。

「…………陛下……。」
「……どうした?カイル。」
「もう一つご報告があります。」

 カイルは唾を飲み込んだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です

氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。 英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

肩越しの青空

蒲公英
恋愛
「結婚しない? 絶対気が合うし、楽しいと思うよ」つきあってもいない男に、そんなこと言われましても。 身長差38センチ、体重はほぼ倍。食えない熊との攻防戦、あたしの明日はどっちだ。

メイウッド家の双子の姉妹

柴咲もも
恋愛
シャノンは双子の姉ヴァイオレットと共にこの春社交界にデビューした。美しい姉と違って地味で目立たないシャノンは結婚するつもりなどなかった。それなのに、ある夜、訪れた夜会で見知らぬ男にキスされてしまって…? ※19世紀英国風の世界が舞台のヒストリカル風ロマンス小説(のつもり)です。

処理中です...