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結果報告
しおりを挟むカイルは皇帝の執務室にセシルと帰国報告に来た。
既にウィンストン公爵とリュカリオンが待機しており、カイルは挨拶をする。
「陛下、リュカ殿下、ただいま帰国致しました。そして、リュカ殿下、妃殿下ご懐妊おめでとうございます。」
「カイル、ご苦労だった…………トーマスは……まさか?」
皇帝はトーマスの姿が無い事に溜息を漏らす。
「帰国直後、ラメイラ妃の懐妊を知り、労いに………報告は私一人で事足りるかと思いましたので。」
カイルは皇帝に一礼し敬う。
「全く………あいつは…………それで?アードラの報告を聞こう。」
「はい…………アマレス宰相、外務大臣ナバーロは罪状により爵位剥奪及び牢獄、第一側妃マルシアは側室の地位を剥奪後、修道院へ送還。マルシアの息子アーサーはアマレスと不義の子と判明し、王位継承権剥奪後、無爵位の臣下へ。アマレスと外務大臣の命により近隣諸国への侵略はアドラード王が復興を手伝う事で示談となった国が2カ国。アードラに吸収合併になった国な2カ国。ナバーロが潜伏していましたマリージョに関しては、アードラとレングストンと国交を望み、その条件として、珪灰石の取引と、レングストンの陶器職人への元へ修行を希望しているので、マリージョとの事は、陛下の許可次第、と保留にしております。」
「………珪灰石、とは何だ?」
「食器を作る為の良質な鉱物です。レングストンには陶器職人はおりますが、良質な土はなかなか取れないらしく、その職人にマリージョの珪灰石を見せたら、是非欲しい、と。」
「その珪灰石で作る食器と、今迄の土で作る食器とは違うのか?」
「その事については、レングストンの陶器職人にいくつか作らせています。2ヶ月程時間を欲しい、と言う事であと1ヶ月程お待ち頂かなければなりませんが。」
「…………それで?マリージョは職人の修業をさせ、マリージョからその陶器を買う、と言うのか?」
「珪灰石だけで良いかと。何しろ、マリージョは珪灰石の存在を知りませんでした。食器も他国から購入するか、木の食器を使っていたぐらいなので、職人を作る間に、こちらのレングストンが、マリージョに負けない質の良い物を作れればいいのです。材料費だけの対価を払うだけで良いかと。」
「……………うむ……リュカ、どう思う?」
カイルの説明を黙って聞いていたリュカリオンは皇帝が意見を求めた為、口を開く。
「先ずは、その出来た食器を見ない事には……我々の食器は陶器の使用はあまりしていません。陶器食器は何よりも壊れやすいですし………ですが、銀食器は手入れが大変で銀も高価………その銀よりレングストンの土より丈夫な出来で尚且つ安価なら考えても良いかと。そうなれば庶民にも手に入れやすくなるでしょうし。」
「そうだな………先ずは完成品を見てみたい。その頃に、マリージョ王にお越し頂き、国交をするか否かを決めようではないか。」
「では、そのように書簡をマリージョに送りましょう。」
ウィンストン公爵が了承する。
「父上、書簡と一緒にウェールズ領のワインを1本贈って下さい。マリージョ王は大層、レングストンのワインがお好みのようで、国交となれば、ワインを購入されるかもしれません。こちらが好意的だと知って頂く為にも。」
「…………カイル、やけに自信ありげだな、珪灰石に。」
「えぇ、成分を調べたらカルシウム成分も含まれているので、陶器以外でも何か使えそうなんですよ。」
「カルシウムだと?………医療とかに使えると?」
「それは分かりません。石灰石なので、骨折部に型を取って固定する事も出来たりするんじゃないか、と………ただ、まだ調べる必要もあります。」
「…………なるほど……引き続き、珪灰石の成分は調べる事は出来るか?」
皇帝も興味が沸き、カイルに指示を出す。
「専門分野外なので、鉱物を研究している者の手助けは欲しいですね。私は薬草の成分を調べる道具で見たぐらいなので……。」
「珪灰石はまだ持っておるのか?カイル。」
「手のひらに乗るぐらいの小さな物を、ウィンストン公爵家専用の王城の保管庫に。」
「宰相、それも調べさせてくれ。」
「御意。」
思わぬ収穫のあった結果に、レングストンも更に潤う可能性もあると、ホッとする。
だが、カイルはまだ皇帝に報告をしなければならない。
「…………陛下……。」
「……どうした?カイル。」
「もう一つご報告があります。」
カイルは唾を飲み込んだ。
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