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初夜するの…………かな?
暫く、抱き締めあった所で、カイルはアリシアを引き離す。
「?」
薄暗い室内に光を通したかったのか、カイルはカーテンを開け、窓も開けると光と空気を部屋に入れる。
「寝室は別に作る。ここは書斎なんだ………寝る間も惜しいからベッドだけ持ち込んである。部屋を整えさせるから南側の日当たりいい部屋をアリシアは使え。」
「一緒の寝室じゃないの?」
「……………。」
カイルは、少々うんざりした顔をして、アリシアを見た。
「?…………何?」
「お前ね、『貰って』から『はいそうですか、貰います』で結婚したと思ってんのか?」
「…………あ……そっか。」
「………だから、明日王都に行って、親父、母上に挨拶してから、アードラに行くから。」
「え!!私、アードラ出て来たばっかり!」
「阿呆………出て来でも、結婚出来たかどうか、て手紙で済ます気だったのか?お前。」
「うん。」
「……………アドラード王と正妃、アルフレッド王子を安心させてやれよ。一緒に行くから。」
「…………え?カイルと一緒にアードラ行くの?」
「当然だろ、大事に育てた一国の王女を、単なる領主に嫁がせるんだ。王の立場抜いてしまえば、父親なんだ…………2人で挨拶行くぞ。」
「……………カイル、考えてるんだね……。」
「…………これでも、悩みに悩んで、お前が欲しい、て頭下げて来たからな、アドラード王に。」
「いつ?」
「…………言わない。」
「言ってよ!!」
「アドラード王に聞け。」
押し問答を繰り返すアリシアとカイルだが、その会話を邪魔するかの様に、扉がノックされた。
「失礼致します。お食事のご用意を下のダイニングにお持ちしております。明日は王都に行かれるのであれば早目にお休みになられた方が宜しいかと。」
セルゲイがカイルにとってタイミング良くカイルに話す。
「あぁ、下に行く。セルゲイ、南側の部屋は今夜から使えるか?」
「 はい、あの部屋は大旦那様から、常に使えるように、と申し使っておりましたので。」
「俺は知らんぞ?」
「奥様になられる方が来られるので、と。」
「………………クソッ!見抜いてやがる!」
「カイル?」
「………あぁ、気にしなくていい。食事しよう。」
食事を終え、アリシアが使うという部屋にカイルによって案内された。
「こっちのドアの向こうが風呂場だ。悪いが侍女は居ないから、その内王都から侍女を派遣する。暫くは1人で自分の事をやって欲しい。俺やセルゲイが手伝える事は手伝うから。」
「大丈夫、侍女居なくてもある程度出来るようにしたから。でも、このお邸、カイルとセルゲイと数人の兵だけしか居ないの?」
「いや、セルゲイの妻が居るが、セルゲイが所用で王都のウィンストン公爵邸に行かせてる。俺は邸の事は全部セルゲイに任せてるからな。ここにある物で足りない物はセルゲイに言えば揃えてくれる。明日は朝早くに王都に行って、アードラに行く。旅に必要な物も行きながら揃えてやるから、今日はもう寝ろ。俺は書斎に居るからなんかあったら呼べ。」
「……………ねぇ、後から来る?この部屋。」
「は?来る予定ないけど?」
「シない…………の?」
「……………おまっ!」
カイルは頭を抱え、ため息を付いた。
「あのな、俺達はまだ婚約したとこなの!いくらお前の両親が了承した、て言っても、俺はまだ疑心暗鬼な訳!だから本当に俺でいいのか、て最終確認したいの!だから、それ迄シない!」
「キスも駄目?」
「…………………はぁ……出たよ子悪魔………。」
上目遣いを駆使し、カイルに強請るアリシア。
「子悪魔?……何、それ……私がそうだって言うの!?」
「子悪魔じゃねぇか!男はな!キスしたらそれ以上の事シたくなるんだよ!」
「だから、シていい!て言ってるじゃない!」
「いきなりやって来て、抱いてくれって言う王女が居るなんて、考えてると思うか、俺が!お前が押し掛けるなんて思っても見なかったわ!」
「だって………だって好きなんだもん!早く会いたかったんだもん!アードラに帰る前に待ってたのに!ちゃんと話して、約束したかったのに、カイル来なかった!いつもいつも私から逃げるから追い掛けるしかないじゃない!16歳になる前にアードラ出て来て、今日誕生日迎えたのに、誕生日に合わせるようにやっと来れたのに………私ばっかりカイルが好きで……………。」
え?とびっくりした顔をしたカイル。
アリシアの誕生日迄気にはしていなかったのだ。
「あ……………そうか、今日誕生日か………ごめん。それと………あの時は出ていけなかったんだよ………。年齢的な事無視して掻っ攫いそうだったからよ……。」
頭を掻きながら、アリシアから顔を背けた。
「もう、そんな我慢…………要らない………よ?」
「…………お前なぁ………まだ我慢要るだろ!ここ迄2ヶ月ぐらい掛かったろ?俺は、王都とアードラにお前を連れて行く、て言ってんだ、移動の事も考えてあと2ヶ月は俺は手を出さねぇ。」
「……………。」
アリシアはむすっとした表情になっていた。
アリシアが閨をおねだりするには訳がある。
だが、それをカイルにどう伝えていいのか分からないというのもあるようだった。
「何で、怒ってんだよ。当然の事だろ、まだ未婚なんだし。」
「嘘だ………カイルは未婚の女性抱いてたじゃん!」
「!!………過去だろ!そんなもんは!お前好きになってから、女抱いてねぇよ!」
「…………あぁ、そっか……久しぶりだから自信無いんだ、カイル。」
ムカッ!
と聞こえて来そうなカイルの表情。
「…………分かった……じゃあ証明してやるよ、待っててやるから風呂入ってこい。」
「!!」
「俺の気が変わる内に早くしないと、俺は書斎に引っ込むからな。」
「!!」
アリシアは慌ててお風呂に入って行く。
扉越しでアリシアはカイルに言った。
「また逃げたら許さないからね!」
「はいはい………。」
カイルは売り言葉に買い言葉で言ってしまった。
ウィンストン公爵家の仕事で沢山の女を色仕掛けで落とし、情報を得て来た事で、色恋には自信があるカイルのプライドが傷付けられて、大人気なく腹を立ててしまったのだ。
久しぶりにアリシアに会えて有頂天になったのを押し殺し、大人の対応として『結婚迄手を出さない』と決めたのだが、アリシアの方が上手だったらしい。
「……………やっちまった……。」
感想 1
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