誰が叔父様の側室になんてなるもんか!【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
98 / 102

カイルの事情

しおりを挟む

「ねぇ、ルルーシュ。」
「何でしょう、奥様。」

 結婚してから半月程経ったある日。
 未だに避妊具を欠かさないカイルとの閨に悩むアリシアは、妻として先輩のルルーシュに聞きたくて、庭園の手入れをしているルルーシュの手を止めたアリシア。

「相談というか、愚痴というか………。」
「お悩みですか?」
「うん………いい?」
「えぇ、どうぞ?」

 手を止めたルルーシュは、庭園のベンチにアリシアと座り、話を聞き出した。

「奥様のお悩みは何でしょう?」
「…………結婚したら、子供欲しいものじゃないの?」
「欲しい人の方が多いですね…………カイル様は何て?まだ要らない、と?」
「………うん…………まだ要らない、て。」
「…………まぁ……では、あの事があるのかも……。」
「あの事?」
「奥様はウィンストン公爵家のご事情はご存知ですよね?」
?」
「それもありますが、ウィンストン公爵家の男の子は、薬学の勉強をこちらでさせるのです。セシル様とカイル様、お二人は定期的にこちらで勉強されては王都で臣下となるべくお勉強を。」
「ナターシャお姉様は?」
「…………お嬢様はしておりません。こちらに来られたのは、先日が初めてです。」
「…………そうだったんだ……。」

 ルルーシュは、手袋を外し膝に置く。
 長い話になるからだろう。

「恐らく、カイル様はセシル様のお子様が来られるのを待ちたいのだと………。」
「え?」
「セシル様に嫡男がお産まれになれば、薬学の教育係はカイル様。もし、カイル様に嫡男が産まれたらそのお子様とセシル様のお子様を、ウィンストン公爵家の宰相とするか、ウィンストン領主とするか、を決めねばなりません。年齢を合わせたいのでしょう。」
「…………如何して、そんな事をするの?」
「…………執事のセルゲイは、前ウィンストン公爵の弟ですのよ?セルゲイと私には子供が居ません。ですから、でした。セルゲイは宰相になるより、義兄様の助けをする事に誇りを持っております。優秀な男の子を将来の宰相に、薬学に秀でた男の子を領主にする、という事は、歴代ウィンストン公爵家の暗黙の了解なのです。」
「セシルとカイルを争わせるの?」
「………クスクス……いいえ、恐らく一緒に同じペースでお教えしたいから、合わせたいのではないでしょうか。」
「……………女の子だったらどうするのよ。」
「馬鹿らしいですよね………クスクス。カイル様は何方にしても現皇帝の臣下としてご自分のお子様を、とお考えが有りますし、お子様が要らない、という事はありませんからご安心を。でも、奥様と暫く新婚生活を楽しみたい、と言うのは本心だと思いますよ?育児は大変だと、ご存知な筈ですし……ただ、カイル様はセシル様より先にお子様を持ちたくないのですわ。お兄様が大好きな方ですから。」
「…………結論では馬鹿な話だったのね……。」
「そうですね……。」
「だけど、何故子供が出来なかったから、てでなきゃならないの?」
「跡継ぎが出来なかっただけですわ。もし私達夫婦に子供が居たら、領主となりましょう。居なければ公爵本家の嫡男が継ぐ事が、ウィンストン公爵家の中での決まり事なのです。」
「逆だったら?宰相の方に子供が出来ず、領主の方に子供が、居たら?」
「その場合は領主側から養子が出されますわ。そうしてウィンストン公爵家は建国500年、宰相の地位を守ってきたのです。」

 ウィンストン公爵家に入ったアリシアが知らなければならない事を、入った後で知り、アリシアはカイルが話をしなかった事に対し腹を立てる。

「も~~~っ!ムカつくんだけど!何で言わないのよ!!もう隠し事しない、て約束したのに!!カイルの馬鹿っ!」
「…………クスクス……奥様。」
「何?」
「可愛らしい奥様に、私プレゼントをご用意致しますわ。ここで…………いえ、奥の庭園のベンチで待っていて下さい。」
「ルルーシュ?」
「奥様、今の可愛らしいお言葉、カイル様にぶちまけなさいませ。」

 アリシアはルルーシュの言った通りに奥の庭園のベンチで待つ。
 15分程待っていると、カイルがやって来た。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です

氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。 英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

肩越しの青空

蒲公英
恋愛
「結婚しない? 絶対気が合うし、楽しいと思うよ」つきあってもいない男に、そんなこと言われましても。 身長差38センチ、体重はほぼ倍。食えない熊との攻防戦、あたしの明日はどっちだ。

メイウッド家の双子の姉妹

柴咲もも
恋愛
シャノンは双子の姉ヴァイオレットと共にこの春社交界にデビューした。美しい姉と違って地味で目立たないシャノンは結婚するつもりなどなかった。それなのに、ある夜、訪れた夜会で見知らぬ男にキスされてしまって…? ※19世紀英国風の世界が舞台のヒストリカル風ロマンス小説(のつもり)です。

処理中です...