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寝顔
しおりを挟む結果的に、瑠珠はそれからもまだ貪られ続け、気を失ってしまった。
「………んっ……」
目を覚した瑠珠は、腕枕をされ月龍の羽織りが全裸で掛られていた。目の前に逞しい月龍の胸。
―――暖かい……ん?寝てる?
微睡んでいる月龍に気付き、初めて寝顔を見れた瑠珠。そっと、月龍の唇に指を触れる。
―――柔らかい……ふふふ……
「こら、悪戯するでない」
「!………起きてたの?」
「触れられたら起きるぞ?其方は疲れると寝てしまい、貪ってもたまに起きぬがな」
「がっつき過ぎなのよ!」
「…………自覚はあるな……身体が辛く無ければ、禊ぎするが?」
「海で?」
「そうなるな」
羽織りを剥ぎ、お互い全裸なのだが、月龍は気にせず瑠珠は抱き上げてあずま屋を出てしまう。
「裸だってば!」
「誰も見ぬ……あぁ、我は見てるな」
「あ!またこんなに付けて!」
うっ血痕がまた増えているのに、愚痴が溢れてしまう。
「仕方あるまい、瑠珠を愛する気持ちが止まらぬのでな」
「!」
本当に自分に正直で、感情を表に出す月龍に、旅の道中、瑠珠の熱が上がりまくりだ。気持ちが追い付けていないのに、返す事も出来ない気がしてしまう。今更、好きと言った所で、月龍の番いになった瑠珠は、月龍の子を産むのは決まっている事で、自覚したとしてもどう言えばいいか分からない瑠珠。
まぐわい中、何度も瑠珠に気持ちをぶつけ、その都度答える様に、瑠珠は反応し求めてしまった。それで分かってくれないだろうか、と思ってしまう。
「瑠珠、下ろすぞ」
「う、うん」
パシャパシャと、身体を清める、瑠珠と月龍。海水だが、月龍に掛かれば聖水になる。
「さて、と……帰るか」
「あ、その前にもう1度、龍の墓に挨拶したい」
「構わぬが、良いのか?怖かったろう?」
「それとこれとは別」
「…………?」
月龍に黒装束の帯紐を引き千切られた為、別の着物を羽織り、再び龍の墓へと着いた瑠珠と月龍。
「月龍は離れてて!」
「は?」
瑠珠は、蒼龍の集まる丘の手前で、屈むと胸前で手を合わせた。
―――当代、蒼龍に嫁ぎました…人間ですが、当代蒼龍、月龍を愛する覚悟を決めました……役目を終えましたら、私も宜しくお願いします
瑠珠は立ち上がり、気合いを入れた。
「よし!」
踵を返し、後ろを振り向くと、離れていて欲しかった月龍が気配を消し立っている。しかも顔を赤らめて。
「聞いたな!」
「き、聞こえたのだ!」
「く、口に出しては私、言わないからね!恥ずかしいもん!」
「口に出して聞きたいのだが……」
瑠珠は月龍の腕に自分の腕を絡め、歩き出す。
「離れてと、言ったのに……」
「其方が、我の聞き取る範囲を理解しておらぬのだ」
「え?あれでも近かったの?」
「………龍の住処に居れば、聞き取れる」
「は?…………じゃあ、今迄の思考全部?」
「うむ……術印は、我と繋がっているのだ……薄いと、繋がりは弱いのだが、今は濃いであろう?」
「………な………早く言ってぇ!」
「聞かれなかったからな………他の者達は、瑠珠の思考は読み取れぬから安心して良い」
「安心しな~い……全部丸裸にされた気分」
「なるべく、聞かぬ様にはしておったがな………まぐわい以外は」
それもそれで恥ずかしくて、瑠珠の顔は真っ赤になっていた。
「次は、役目を終えたら、共に来ようぞ、我が妻よ」
「…………うん……」
また何日も掛けて、屋敷に戻ってきた瑠珠と月龍。
行く前と帰ってきてからの2人の雰囲気が甘くなっていたのを皆が感じ取った。
「月龍様、瑠珠様、ご無事で何よりでございます」
「華龍、せっかく帰ってきたのだが、我と瑠珠は寝所に篭もる」
「………は?仕事は如何なさるおつもりで?」
「子作りに励むのだ……まぁ、数日ではあるだろうが、懐妊するのを確認出来る迄、瑠珠の傍を離れたくないのでな」
「な……なんと……そういう事であれば我々も代行致しましょう」
「ち、ちょっと!恥ずかしい事を惜しげも無く言わないでよ!」
華龍との間に割って入る瑠珠だが、もう遅い。
「瑠珠様!お疲れでしょう?先ずは禊ぎを!美しく瑠珠様を仕上げて参ります、月龍様!暫くお待ち下さいませ!」
「あぁ、頼む……我が直ぐに貪れる様に、美しく仕上げてくれ」
「ちょっと!引っ張らないで~!」
下女達に月龍から引き離され、禊ぎの池に連れて来られた瑠珠は、全身磨かれて寝所へ着くと、既に月龍が待っていた。
当然の様に貪られる覚悟を、しなければならないが、今迄以上になる予感しかない。
「瑠珠、何方が良い?」
「何が?」
「人型で産むか卵で産むか、だ」
「月龍はどっちがいいの?」
「何方も欲しいが?………卵の後、人型で産むか?卵で産み落としても、孵化する迄日は必要だ。その間、人型の子を産んで貰っても良いか?」
―――卵産み落として人型で妊娠しろ、て言った?……ずっと私妊娠してなきゃならない?
「其方に全て子育てさせる気は無いから安心せよ……勿論、瑠珠の意思が1番重要だからな」
そう月龍は言うと、瑠珠の返事を待たず、種も込めて白濁を注ぎ捲ったのは言うまでもなかった。
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