私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛

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結婚式迄あと3週間①

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「早く仲直りしてくださいよ。」
「は?」
「『は?』、てナターシャとですが。」

 ナターシャが手伝いをしない時間、セシルがリュカに話す。

「喧嘩してるじゃないですか。」
「勝手に怒ってるんだよ、ナターシャが。」
「何で怒ってるんです?」
「ラメイラの好きな相手がトーマスじゃない、タイタスだ、て言い張ってるんだ。」
「は?本当にソレ、トーマス殿下だと思ってたんですか?」
「何だ?お前迄タイタスだ、て言うのか?」
「はい、そうですよ、丸分かりじゃないですか。トーマス殿下も知ってますよ?」

 リュカがそれを聞いて、持っていたペンを落とした。

「知らなかったの俺だけ?」
「タイタス殿下も知らないんじゃないです?あの方も鈍いので。」
「…………お前、俺がタイタスと同類、て言いたいのか?」

 セシルが何げなく、上司のリュカをディスるのに、リュカはいちいち反応する。

「やですね、殿下。実際にそうなのですから言ったんですけど。」
「…………。」
「コリン殿下はまぁ、そもそも相手されてませんしね。」
「なぁ…………。」
「何です?」
「今日、もう上がっていいか?」
「放棄ですか?仕事……。」

 セシルがリュカを睨む。

「謝りに行きたい………。」
「仕方ないですね、いつまでも険悪だと困りますので………明日の朝は遅刻しないでくださいよ。………あ、避妊具足りてます?」
「!!あるよ!!」

 バタン、と乱暴にドアを締め、皇太子邸に急ぐリュカ。

「兄上、如何したのです?そんな慌てて。」
「……トーマス、カイル。」

 予算案の会議だったのだろう、かなりの書類を抱えている。

「丁度いい所に居たな………。」
(…………お前……閨の為の道具集めるの好きだよな?)
「あ、兄上………まさかナターシャに……。」

 カイルが傍にいる為、耳元で話すリュカ。

「他に誰が居る……。」
「カイル……すまないが先に執務室に戻ってくれ、ちょっと部屋に行ってくる。」

 ドサッ。
 トーマスはカイルに書類の束を、カイルが持つ書類の束に強引に乗せた。

「ちょ!!誰がドア開けるんだよ!!」

 その後、カイルが書類をトーマスの執務室前でばら撒いたのは言うまでもない。
 皇子宮のトーマスの部屋に来る、リュカとトーマス。

「それで?兄上は何を使いたいんだ?」

 眼鏡を上げて、想像しているのかニタニタとするトーマス。

「ノーマル的な物でいい、激しいのは求めてない。」
「じゃあ、アレやアレ………ふふふ。」
「………トーマス、脳内でナターシャを犯すのは止めろ。」
「あ、分かりました?」

 皇子宮のトーマスの部屋に入ると、リュカはドアにもたれた。

「兄上、これなんかどうです?」
「トーマス………お前、ナターシャに閨の指南書教えたな?」
「ナターシャが言ったんです?楽しめました?」
「お前が教えたアレ、俺嫌いなんだよ。」
「…………え……で、如何したんですか?」
「咥えてはもらったがな……やっぱり中に挿れたいし?」
「……………ほほぅ……。」
「想像したな?」
「はっ!!」

 ドカッ!

「ぐっ!!」

 リュカがトーマスの鳩尾に1発殴る。
 トーマスがナターシャに指南書を渡したのは大分前。

「指南書無くても、閨をナターシャに教えるのは俺だけでいい。結婚式前にお前の脳内のナターシャを消しに来ただけだ。道具も要らん。」
「あ、兄上………。」
「お前にはお前だけを愛し、お前の性癖を好きな女が必ず居る筈だ。すまないが、ナターシャを忘れてくれ。俺がナターシャじゃなきゃ駄目なんだ。」

 トーマスはまだナターシャを吹っ切れてないのは知っている。
 だからこそ、二人きりになった時、トーマスに言いたかった事を言ったリュカ。

「吹っ切れてないの知ってましたか………兄上が何故ナターシャじゃなきゃ駄目なのか、宰相に聞いてはいましたが、まだ好きな人では変わりない……結婚式過ぎたら家族ですから、家族として好きでいますよ…………兄上、幸せになってください。」
「あぁ、必ずな。カイルに謝っといてくれ。」

『立てたらな』と言って出て行ったリュカ。
 そして、なかなか立てないトーマスだった。

「…………っとに………目一杯殴られたっ!」

 暫く立てず、大分経ってからトーマスは執務室に戻るが、鬼の形相でカイルに睨まれた事は言うまでもなかった。
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