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結婚式迄あと3週間①
しおりを挟む「早く仲直りしてくださいよ。」
「は?」
「『は?』、てナターシャとですが。」
ナターシャが手伝いをしない時間、セシルがリュカに話す。
「喧嘩してるじゃないですか。」
「勝手に怒ってるんだよ、ナターシャが。」
「何で怒ってるんです?」
「ラメイラの好きな相手がトーマスじゃない、タイタスだ、て言い張ってるんだ。」
「は?本当にソレ、トーマス殿下だと思ってたんですか?」
「何だ?お前迄タイタスだ、て言うのか?」
「はい、そうですよ、丸分かりじゃないですか。トーマス殿下も知ってますよ?」
リュカがそれを聞いて、持っていたペンを落とした。
「知らなかったの俺だけ?」
「タイタス殿下も知らないんじゃないです?あの方も鈍いので。」
「…………お前、俺がタイタスと同類、て言いたいのか?」
セシルが何げなく、上司のリュカをディスるのに、リュカはいちいち反応する。
「やですね、殿下。実際にそうなのですから言ったんですけど。」
「…………。」
「コリン殿下はまぁ、そもそも相手されてませんしね。」
「なぁ…………。」
「何です?」
「今日、もう上がっていいか?」
「放棄ですか?仕事……。」
セシルがリュカを睨む。
「謝りに行きたい………。」
「仕方ないですね、いつまでも険悪だと困りますので………明日の朝は遅刻しないでくださいよ。………あ、避妊具足りてます?」
「!!あるよ!!」
バタン、と乱暴にドアを締め、皇太子邸に急ぐリュカ。
「兄上、如何したのです?そんな慌てて。」
「……トーマス、カイル。」
予算案の会議だったのだろう、かなりの書類を抱えている。
「丁度いい所に居たな………。」
(…………お前……閨の為の道具集めるの好きだよな?)
「あ、兄上………まさかナターシャに……。」
カイルが傍にいる為、耳元で話すリュカ。
「他に誰が居る……。」
「カイル……すまないが先に執務室に戻ってくれ、ちょっと部屋に行ってくる。」
ドサッ。
トーマスはカイルに書類の束を、カイルが持つ書類の束に強引に乗せた。
「ちょ!!誰がドア開けるんだよ!!」
その後、カイルが書類をトーマスの執務室前でばら撒いたのは言うまでもない。
皇子宮のトーマスの部屋に来る、リュカとトーマス。
「それで?兄上は何を使いたいんだ?」
眼鏡を上げて、想像しているのかニタニタとするトーマス。
「ノーマル的な物でいい、激しいのは求めてない。」
「じゃあ、アレやアレ………ふふふ。」
「………トーマス、脳内でナターシャを犯すのは止めろ。」
「あ、分かりました?」
皇子宮のトーマスの部屋に入ると、リュカはドアにもたれた。
「兄上、これなんかどうです?」
「トーマス………お前、ナターシャに閨の指南書教えたな?」
「ナターシャが言ったんです?楽しめました?」
「お前が教えたアレ、俺嫌いなんだよ。」
「…………え……で、如何したんですか?」
「咥えてはもらったがな……やっぱり中に挿れたいし?」
「……………ほほぅ……。」
「想像したな?」
「はっ!!」
ドカッ!
「ぐっ!!」
リュカがトーマスの鳩尾に1発殴る。
トーマスがナターシャに指南書を渡したのは大分前。
「指南書無くても、閨をナターシャに教えるのは俺だけでいい。結婚式前にお前の脳内のナターシャを消しに来ただけだ。道具も要らん。」
「あ、兄上………。」
「お前にはお前だけを愛し、お前の性癖を好きな女が必ず居る筈だ。すまないが、ナターシャを忘れてくれ。俺がナターシャじゃなきゃ駄目なんだ。」
トーマスはまだナターシャを吹っ切れてないのは知っている。
だからこそ、二人きりになった時、トーマスに言いたかった事を言ったリュカ。
「吹っ切れてないの知ってましたか………兄上が何故ナターシャじゃなきゃ駄目なのか、宰相に聞いてはいましたが、まだ好きな人では変わりない……結婚式過ぎたら家族ですから、家族として好きでいますよ…………兄上、幸せになってください。」
「あぁ、必ずな。カイルに謝っといてくれ。」
『立てたらな』と言って出て行ったリュカ。
そして、なかなか立てないトーマスだった。
「…………っとに………目一杯殴られたっ!」
暫く立てず、大分経ってからトーマスは執務室に戻るが、鬼の形相でカイルに睨まれた事は言うまでもなかった。
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