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不安に心配
しおりを挟むアリシアも勿論、ナターシャやアニースにはラメイラの気持ちを落ち着かせる術が無かった。
自分の母親のようになるのでは、と不安がるラメイラに、ラメイラと母親は違うと言い切れない事が悔しかった。
トーマスに知らせようにも直ぐには帰れない状況なのは分かっている。
「ラメイラお姉様、落ち着きました?」
「……………。」
「トーマス殿下にお知らせしたいけれど……。」
「ナターシャ妃殿下。」
ヴァン子爵がラメイラを気にして、ナターシャに声を掛けた。
「ヴァン子爵、何でしょう?」
「ラメイラ妃は懐妊をお喜びにはなられていらっしゃない原因は妃殿下はご存知なのでしょうか?」
「……………アリシア様、アニース様、少しラメイラをお願いしますわ………わたくし、ヴァン子爵と少しお話して来ますわ。」
応接室に残されたアニースとアリシア、ラメイラ。
トーマスが居ない不安から情緒不安定なのは仕方ないだろうラメイラの背中を擦るしかなかったアニース。
(…………不安になるな、ラメイラ。あなたらしくないじゃないか。)
言葉にこそ出さなかったが、今のラメイラに何を言っても届かない気がしてならなかったアニース。
「ラメイラお姉様!編みぐるみ、いっぱい作りましょうね!ヴィオちゃんとラメイラお姉様のお子にも!」
「……………う………ん。」
気の無い返事をするラメイラを見たアリシアはアニースにどうしようか、と目線を送った。
「ラメイラ、あなたに私から報告があるのだが、聞いてはくれないか?」
「…………。」
「……………ラメイラ………。」
アニースは懐妊話から話を逸らそうとタイタスとの事を報告しようと思っていたのだが、言える雰囲気ではなかった。
アニースはアリシアの顔を見て、首を横に振る。
暫く、話も出来ず、時間だけが過ぎてしまい、ナターシャも戻って来る。
「ラメイラ………まだ落ち込んでらっしゃるの?ラメイラらしくありませんわ。」
「………ナターシャ………如何したらいい?………私………まだ死にたくない………産むのが怖い……。」
「わたくし死んでませんわ!産むのは怖かったですが、楽しみでしたわ!如何して死の方ばかり考えますの!?お母様が双子を妊娠したから?ラメイラは双子を妊娠したかもまだ分からないのですよ!」
「で………でも怖くて怖くて……。」
「………では、その子を産まないおつもりですか?何の為にトーマス殿下との結婚を決めたのです!子作りしてるのです!おかしいではありませんか!妊娠が怖いなら避妊をすれば良かったのです!トーマス殿下と話し合って、理解してもらえていたら、妊娠しなかったと思いますわ!……………お子がかわいそうです………お母様に望まれないなんて………。」
「…………言えなかったんだ………トーマスに避妊して、て。結婚したら避妊したくないみたいな事を言われてたから………。」
ラメイラは暴露する。
ナターシャはソレにキレた。
「ラメイラ!それはあなたの責任ですわ!事情を話て分からないトーマス殿下ではありません!怖かろうが、その責任は取りなさい!」
「…………うっ………うぅ………。」
「ナターシャお姉様、キツイ……。」
「だが、ナターシャの意見に同意だな。」
そう、4人の中で年上で、人生経験は誰よりもあるアニースが黙っているのはおかしい。
数日経ってもラメイラが変わらないなら、アニースも言う決意をする。
「わたくし達に、ラメイラの子を見せて下さい。ラメイラの不安は取り除けるように、わたくしも協力しますわ。」
「……………。」
ラメイラは頷くしか出来なかった。
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