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帰郷報告②
しおりを挟む「これ、ボルゾイからの土産だ。」
「アニース、お帰り!」
トーマス邸に双子育児中のラメイラの前にアニースはやって来た。
皇太子邸の後に来たのだが、出来れば3人で会いたかったのだが、ナターシャの第二子アスランがまだ外出は控えているというのと、ラメイラの双子の息子イアンとアロンを見ながらの話は慣れない場所では大変かと思い、アニースは別々に会いに来たのだ。
「あれ、ボルゾイ風の服にはしてないんだな。」
「あぁ、もう私はボルゾイには帰らないし、侍女のトゥーイが私にも似合いそうなドレスを用意してくれたんだ。何でもラメイラの侍女のマーニャと相談しながら、ラメイラ用のドレスも作っている、と聞いたぞ?ほら、好みが似ているだろ?私達。」
「……………そうなんだ……まだ私体型戻らなくてさ……早く見てみたいよ。」
お腹周りや授乳をしやすい様に脱ぎ着しやすいドレスを着ているラメイラ。
仕方ない事なので、ラメイラの着飾った姿はまだ見れない。
「どうだ?双子の育児は。」
「楽しいけど大変………一人泣くとまた一人泣く連鎖が一番面倒……睡眠時間が足りない……。」
「私も育児をする日が来るまで、色々ナターシャやラメイラから聞かないとな……。」
「アニースなら大丈夫だろ………ところで、いい忘れてた……タイタスとの婚約、おめでとう。」
心から祝福するラメイラ。
もう吹っ切れているのは知っているが、アニースは複雑だった。
タイタスが、一時期ラメイラに恋心を向けていた事を知っているからだ。
だが、今のタイタスの対象はアニースただ一人だという事を忘れてはいない。
「ありがとう、ラメイラ。タイタスを幸せにするよ。慌ただしい婚約になってしまったから仕方ないけど、もう少しのんびり関係を育みたかったな、とは思ってる。」
「………これからしていけばいいよ。経緯はトーマスから聞いたけど…………マーニャ、人払いを……あと、イアンとアロン任せていい?」
「はい。」
アニースは来たと思った。
先程もナターシャとの話と同じ流れ。
「人払いしなくてもいいと思うぞ?ラメイラ。今もナターシャと話てはきたが、マーニャは漏らさない。」
「!!……アニース様?」
「アニース?」
「トーマス殿下から媚薬の事を聞いたのだろ?」
「う、うん。」
「それなら大丈夫だ、媚薬入手は絶対に阻止させる、とナターシャと結託してきたから。」
「同じ話をしてきたのか、ナターシャと!」
「絶倫だというのは、私も先日味わったからな…………。」
アニースはラメイラが話す内容はナターシャと同じだろうと、先手を打った。
そして、ラメイラにタイタスが飲まされた媚薬の効果や、ウィンストン領での一夜を暴露する。
「…………あの兄弟……萎える事知らないのかな……。」
「無いだろ……。」
「ナターシャがセリナとライアに指示したのなら安心だ………まさかマーニャも宰相の部下だったとは知らなかったけど。」
「申し訳ありません、ラメイラ様。」
「いや、いいよ。隠してて欲しい事とかは宰相に漏らしてないみたいだし……。」
マーニャがラメイラに黙っていた事を謝罪している。
「だけど、納得したよ………何で宰相はそんなに王宮内外の事が詳しいのか……見てきてんじゃないか、て何度思ったか………。」
「私も………それは何度も思ってた。」
「ナターシャも洞察力が凄いから、ウィンストン公爵家恐ろしいよ。」
「ある意味な………。」
「そう言うと、絶対に『ありがとうございます』て宰相言うと思う。皮肉も通じないんだよなぁ。」
媚薬の事はナターシャが処理した為、安心してお茶を楽しむアニースとラメイラ。
その後、各皇子の落込む姿を夜確認するのだが、それぞれの妃は胸を撫で下ろす姿を侍女達は見るのだった。
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