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花嫁を探す5人
しおりを挟むコルロフ王朝、王宮の一室。
今回の花嫁探しをする王子達5人が集まっている。
デューク、ロイス、グレゴリー、バッシュ、コーウェン。
20歳から25歳の青年達だ。
「明後日か……」
グレゴリーがワイングラスを片手に、つまみのナッツを手に取り口に含む。
バリバリと音を立て豪快にワインを飲み干した。
「僕は結婚なんてしないから、君達だけで探せばいいよ」
コーウェンはおどおどとした風貌で、根暗そうな男。
彼もまた公爵家の嫡男で、王族の1人だ。
世代交代する為には、王族血脈の男達は、結婚し息子を産ませなければならないのだが、中にはそれさえも興味のない男も居る様で、コーウェンはその1人。
何人も王族血脈の結婚適齢期の男達が居ても、王が退位する迄に、次代の王を決める為、何十年もの間、次代の王を決める世代もあったコルロフ王朝。
王が次代の王を決める為に選択肢が多くなくてはならない。
先代の王は、コーウェンの祖父だったのだが、産まれたコーウェンの性格から、コーウェンの父は王になれず、第一王子になったライナスが秀でていた為、先代王に気に入られ、デュークとロイスの父が王になったのだ。
コルロフ王朝に血縁の情等は皆無と言っていい程、親子だろうと継承は無きに等しい。
現王は第一王子に息子が産まれようと、会いはしなかった。
ライナスの息子以上に優秀な子がこれからも産まれる可能性もある為だ。
しかし、デュークを含め、ロイスやグレゴリー、バッシュは、ライナスを王にしたくない理由がある。
大人達は知らないライナスの性格を知るデュークとロイス。
それはバッシュやグレゴリー、コーウェンも知っている、ライナスの残虐性だった。
「何を言ってる、コーウェン。君だってライナスの子を認めさせたくないだろう?ライナスが王になれば俺達はどうなる。絶対に殺されるぞ?」
「そう、だから結託したんじゃないか!ライナス兄上以外の王族血縁者で息子持ちの男や来年以降に参加する男達と、ライナス兄上をよく知らない奴以外迄巻き込んで頑張ってきたんだよ?」
バッシュもワインを一口飲み、コーウェンを諭す。
ロイスも決意は堅い。
「だからって、好きになるかも分からない令嬢を夜会で決めて花嫁にして子を作れって言われても、僕はあの行為さえ面倒くさい」
「楽しみじゃないか、自分好みの女に出来る。この国は父や夫となる者の言葉は絶対に服従する女ばかりだ。足を開けさせるのが嫌なら、勝手に上に乗せて踊らせればいい」
「グレゴリー、いいなそれ。勃たせておけば、『跨いで上に乗って自分でやれ』と言って、下から眺めるのも悪くない」
コーウェンは房事が面倒くさいと言い、グレゴリーの意見で、デュークも乗り気になる。
「コーウェン、要は子供を作っておけばいいのさ。でなきゃ真っ先に首切られる可能性だってあるんだぞ?王が今誰を次期王にするかまだ誰も知らない。選ばれた王が、未婚の役立たずと言って首を狙ってきたらどうする。俺達の中で選ばれたなら、そんな事はさせないし、しないという結託をしているがライナスが選ばれたら分からないんだぞ?過去にどれだけの王位継承者が殺されたか、お前知っているだろ。ライナスはするぞ?あいつの残虐さはお前だって見ていたじゃないか」
「分かってるよ!僕はライナスに切られた傷がまだ疼くんだから!」
コーウェンは肩を押さえる。
子供の頃から、王族血脈の男達は、王宮で教育を受けていた。
剣術の教育を受けている際、コーウェンはライナスに肩を剣で切られた事がある。
『木剣等つまらない。真剣で切ってみたかったんだ』
と、目を高揚させ言い放ったライナスを、多くの男達は見ている。
残虐性を王にも勿論耳に入るが、子供達の遊びだと、一度だけは大目に見られてしまう。
ライナスは頭も良く、それ以降大人達が居ない所で、剣の切れ味を確かめるが如く、犬猫や、食用肉になる家畜で試し切りをしていた。
料理人達は、王子が手伝ってくれている、と思うだけで、助かる為王には報告等しなかった。
子供ながら、ライナスへ恐怖心を植え付けられた、デュークやロイスは従兄弟でもあるグレゴリーやバッシュ、ゴードン、コーウェンを巻き込み、ライナスを王にしない様に考えたのだ。
表立ってライナスを王になる権利を無くす事が、無難で安全だと思っての事だった。
コーウェンが、ライナスに怯えて生きているのは、デューク達は知っている。
今でこそ内向的だが、以前の子供の頃は、外交的な明るい少年で頭も良く、次期王はコーウェンの父になる予想さえもあったのだ。
だが、怪我を負わされ、ライナスに怯えて暮らすようになったコーウェンの祖父は一言、『コーウェンは王の器ではない』と言われてしまい、祖父さえもコーウェンを排除しようとした程だった。
ライナスに切られた事の恐怖心を拭い切れない弱腰になった者は王にはなれない、との事だろう。
流石に命は取られなかったが、コーウェンは益々内向的になってしまった。
「選ぶ花嫁はバラけようと思うんだが、お前達どう思う?」
デュークはそう提案する。
恋焦がれて、花嫁を探すという目的等一切無い。
それだけ、国にとって最良の妻であるなら、どんな女でもいい、という様子だ。
「俺はカチュアに行くぞ」
「バッシュ………やはりお前の好きな相手はカチュアか」
「いや、カチュアを好きなのはゴードンさ。俺はあいつの為に、カチュアを手に入れたい」
「俺も気に入ってたんだがなぁ、カチュア」
「僕は違う子に行くけど、コーウェンは?」
グレゴリーもカチュアにと考えていたらしい。
「僕は、見学してないから誰か気に入った子にするよ」
「そうだな、夜会は3日続く。初日は演奏会、2日目はソロでの発表会、3日目は立食晩餐と舞踏会………それ迄に決めればいい」
「…………うん、そうだね」
改めて、結託を結ぶ5人はその夜はそれで別れた。
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