聖女は鳥になって過去に2度戻り、夫を入れ替える【完結】

Lynx🐈‍⬛

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諸悪の根源からの回避

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「カチュア………大丈夫だ、あんな風にはさせない」
「…………助けてくれるって言うの!?関与しない、てあれ程言ってる張本人が!………わ……私………誰に嫁いでも………同じよ……」

 絶望的な言葉がカチュアから出る。
 シャルゼもジュームも解決策を見つけている訳では無かった為、言葉を詰まらせた。
 だが、ジュームはカチュアに事の流れを伝える。
 それをカチュアがどう思うかでどう動けばいいかを決めようとしたのだろう。

「儂達は、諸悪の根源がデュークだと思っておったのだ………お前とデュークから産まれた子供が、この国を滅ぼしたのだからな………だが、確認も出来ずお前は壊れそのまま大陸は海へ沈み、お前が産んだ子は行方不明になった。我々はお前にその子を産ませない為にお前の意識だけを過去に飛ばしたのだ」
「……………え?あなた誰?」
「こいつは風の精霊ジュームだ」
「………風の精霊………」
「すまぬな、直ぐに姿を現さず、シャルゼに任せっきりで…………まぁ、未だに隠れて事の顛末を見守る事に徹している精霊も居るがな」
「………シャルゼなんかより、よっぽど話が分かりそうな人が居たのね」
「…………おい!」
「はははっ!カチュアにも言われたぞ、シャルゼ!いい気味だ!」

 冗談を言える程少し落ち着いてきたカチュア。

「でも、シャルゼ………起こしてくれてありがとう…………思い出した………デューク殿下に選ばれてあの屈辱に耐えてたのに、もっと酷い事………あの後直ぐに妊娠したの覚えてる……は他の花嫁に選ばれた令嬢達にも同じ事をすると言っていたの……自分が王になる為に、子種を与えた令嬢の産んだ子だけを、自分色に染めて育てて、その子が選ばれたら、妻の不貞を晒し、自分がその子の父親だと公表するのだと……私が息子を産むと、また次の子を欲しがられ、私は何人産んだのかさえ、もう分からなくなってる……」
「…………8人だ……息子5人、娘3人」

 シャルゼが、指で人数を教える。

「………そ、そんなに?」
「とりあえず、お前は如何したい?このままだとデュークの妻になるぞ?そうしたらに狙われやすくなる」
「いやっ!絶対に!あんな思い、過去の私に味あわせろと言うの!?」
「だが、カチュア……誰に選ばれようが、に狙われるのだぞ?デュークであれば対処法は経験から紐解けるではないか?」

 ジュームは過去に乗りながらズラしていこうと考えたようだ。

「だが、カチュアが好きな男は別に居て、そいつは今回の5人の中に入っていない。カチュアが幸せな人生を送らせるのが優先じゃねぇの?要はから、カチュアを逃せばいいんだし」
「…………誰からも選ばれたくない」
「だが、選ばれたら断れないのだろう?」
「ええ……女に拒否権はないの」
「だから、カチュアの力を解放しよう、て言ったじゃねぇか」
「ならん!」
「………力?……何それ?」
「シャルゼ!!お前が力の事をカチュアの前で言うから、説明しなければならなくなったではないか!」

 ジュームは、シャルゼに怒る。
 だが、シャルゼは悪びれた様子もなく、詰め寄るジュームに手を翳して防御する。

「はははははははははっ…………相変わらず寸劇が絶えないねぇ、シャルゼとジュームは」

 ざわざわと森がざわめき立つと、すぅ~っと姿を現した女が木の下に立っていた。
 そして、ふわふわと宙に浮き、カチュア達が留まる木の枝に降りる。

「カルマ………」
「はぁい、カチュア。私、木の精霊のカルマよ」
「よ、宜しく、カルマ」
「カルマ、お前も傍観していたのに、今出てきたのはどういう事だ」
「何も、カチュアの力を解放する迄も無いからよ」

 長い深緑の髪に盲目なのか、目隠しをしている精霊、カルマは軽い口調で言った。

「どうやって?」

 シャルゼが聞く。

「私の十八番使えばいいのよ。言霊をね。デュークとやらに、カチュアを指名させなきゃいい。他の令嬢の名前を言わせるの。いい案じゃない?」
「だからといって、他の男がカチュアを指名したら如何する」
「う~ん………それは考えてないわねぇ………カチュアは一体誰の妻になりたい訳?」
「…………え?言わなきゃ駄目?」
「当然でしょ?私は知らないもの。シャルゼも言わないし、ジュームは……興味無さそうだし」
「個人のプライバシーを大事にしたいんだよ、俺は」
「何故儂が興味無いと分かる!?」

 シャルゼはシャルゼの、ジュームはジュームの性格を理解しているカルマは突っ込まれるが、それを無視してカルマは続けた。

「それで?誰?」
「…………ゴードン様……5人の中に居られるバッシュ様の弟……」
「5人の中の人じゃないのね~……じゃあ、シャルゼの言う通り、今年は逃げちゃえば?全員、言霊使うわよ?どう?」
「…………そうしたら、私はゴードン様に嫁げる訳?」
「分からないわ、だってそんなではなかったのだから」
「そんな無責任な!」
「カルマ……お前ね~、駄目だったら如何すんだ?やり直しもそうそう出来ねぇんだぞ?最悪な事態にならない様に逸らしながら進まなきゃならねぇんだ、逸れすぎると俺達だって力も弱まるんだぞ?」
「カルマの言霊はいい案だが、来年にゴードンが参加するとは限らん、それを確かめる術もない、カチュア………ゴードンは諦めよ」
「カルマだけでなくジュームもそんな事言うのね………女なら好きな男性と結婚したいものよ?」

 カチュアはしょんぼりと頭を下げる。
 鳥の姿であるからそう見えるが、人の姿であれば、肩を落とし落ち込んだ顔をしているだろう。

「我々精霊は、男も女も関係無い。ただ好きな格好をしているだけだ。人間の様に誰かを好きになる事も無い」

 ジュームは淡々と語る。
 それを聞いたカチュアは納得した。
 だから、思いやりが感じない話方をするのか、と。
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