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久々に幼馴染と再会
しおりを挟む「久しぶりだな、カチュア」
「本当にお久しぶりです、バッシュ様、ゴードン様」
コーウェンの住む離宮に、バッシュとゴードン、デューク、グレゴリーが訪ねて来た。
勿論、コーウェンも同席する席に、カチュアがお邪魔したのだが。
婚約したものの、なかなか結婚の日取りを決めないコーウェンに、叱咤するという名目で、訪れたらしい、デューク達。
「コーウェン、結婚しないのか?」
「一緒に住んでいるんだろ?」
デュークとグレゴリーが、コーウェンに聞くが、コーウェンは話を濁す。
「ライナスの動向が気になってねぇ……」
「………確かにな……俺も先月結婚はしたが、本当にいけ好かない奴だ……俺の行動に目を光らせている」
デュークが足を組みふんぞり返る様は、鳥カチュアの記憶に鮮明に残っていた。
房事に満足すると、その残骸の汚されたカチュアを眺めるのが日課だった。
その様は、ライナスと兄弟だな、と思わざる得ない。
窓際で、鳥カチュアは眺めている。
(…………バッシュ様もゴードン様もお元気そう……)
コーウェンから、バッシュも結婚をしたと聞いて、鳥カチュアは屋敷に覗きに行くと、カチュアの記憶にあったように、バッシュは子種が無く、ゴードンと妻を共有した生活をしているらしい。
過去カチュアにしていた様に結婚相手の令嬢は気の毒に思っていたが、デュークやバッシュ、グレゴリーの妻になった令嬢達も守らなければならない、と使命感に駆られて、シャルゼ達に妨害ぐらいは出来ないか、と相談してあった鳥カチュア。
未だに、ライナスからの被害は無い様で、安心していた頃だった。
「カチュア、久しぶりに演奏を聞かせてくれないか?」
「………演奏ですか?」
「あ、僕も聞きたいな」
「……では、ヴァイオリン持ってきますね」
過去カチュアは、応接室を出て行くと、男達は、コーウェンに詰め寄る。
「なぁ、コーウェン………まだカチュア嬢に手を出してないだろ!」
「そう見えるな」
デュークとグレゴリーが興味津々だ。
「今は時期じゃないと思っているからね………でも、カチュアは誰にも渡さないよ、ゴードンにもライナスにもね」
「何でライナスが出てくる?」
「以前も言ったけど、ライナスが悪魔だからだよ………君達も妻達の動向を注視した方がいい。ライナスは強姦してまで、子供を孕ませかねないよ?」
「…………何だと?」
「ライナスに妻を寝取られないようにね」
コーウェンの友人であるデューク達は顔を青褪めた。
「そ、それはお前にも言える事だろ?」
「僕はカチュアを隠してるからね、王宮では苛々した顔して、ライナスから睨まれてるよ」
「それでお前は何て返してる」
「白い結婚を匂わせてる。結婚式も未定、ただ婚約者としてカチュアとの関係を密に築いてる、とね」
「な、何でまた……」
「…………処女を奪えばあいつはやって来る。そして、妻の不貞を訴え、夫の管理不足を追求し、ライナスの子だと証明したら、ライナスの子として育てる。数多くの女を孕ませれば、それだけ王になる確率だって高くなる。男なら認知し、女は養女に出されるか、下賜される………」
「ライナスは去年結婚し、子供が産まれたばかりだぞ!」
「だから、だよ。結婚したから子供を作るのには問題にならない。だが、妻は年に何人も産めない。コルロフ王朝は多妻は持てないからね。既婚した令嬢を孕ませて息子を産ませるのが目的さ」
「はっ!馬鹿げてる!いくらライナスだってそんなバレる様な事するかよ!」
グレゴリーが、コーウェンの話を信じようとしない。
バッシュもゴードンも半信半疑だ。
「コーウェン………どうやって妻達は強姦されてるか知っているなら教えてくれ…………女等、子供を産ませる為の道具だ、その考えは俺は変わる事はない……父上がそうだったし、そう思ってる。だから、妻を残虐なライナスに俺の子供を殺させないように、会わせないようにはしているんだが、自分の妻以外の女を強姦というのはあまりにも安直な考えではないか?」
「そうだ、殺すの間違えじゃないのか!?」
デュークは妻を守る為に、監禁していたのをカチュアは気付いていなかった。
ただ、監禁していつでも抱くつもりなんだとばかり思っていたのだ。
お互いに寄り添える前に、あの行動に起こされ、カチュアは完全に心を閉していたから、デュークの事を考える事もなかったのだ。
(…………しっかり話合えていたら、変わってたのかしら……)
今更、デュークの妻になる事もないが、歪な愛情表現に翻弄されたデュークに同情する。
「証拠は見せられないけど、証明する人は居るよ………既に被害者は出てる……去年結婚した令嬢2人、一昨年に結婚し去年出産した令嬢1人」
「………は?」
「調べるさせるの苦労したよ、なかなか隙をみせない奴だから」
「!!」
「俺達の妻達も狙われると?」
「そう思っているよ………だから、僕はカチュアをまだ抱かないんだ。僕だけが求める訳にはいかないし、カチュアが僕を好きになってないからね」
デュークやグレゴリーはそわそわしている。
結婚した令嬢が好きになっているのかは分からないが、自分の女はという存在を取られていい気はしない。
バッシュもまた然り。
ゴードンは握り拳を膝の上で作っている。
「コーウェン………頼む………カチュアに手を出さないでくれ…………」
「出してないと言っているじゃないか」
「破談して、俺に譲ってくれ………カチュアを王になる可能性のある男に手を出されたくない!コーウェン、お前にもだ!ライナスはお前にも敵視している!結婚したら狙われるだろ!」
「…………カチュアは物かい?ゴードン」
「!!」
「僕が白い結婚に拘るのも、もし結婚して、カチュアがライナスに強姦されたら、証明出来るのもあるから、僕はライナスを排除する迄我慢してるんだ。その間、カチュアとの距離を詰めたいとも思っている。彼女には言ってないけど、僕は彼女を愛しいと思ってるよ」
(…………コ、コーウェン様……)
コーウェンの告白に、デューク達は驚いた。
花嫁探しの夜会の指名迄、結婚する気も無いと断言していたコーウェンが変わったのだ。
窓辺から覗く鳥カチュアはコーウェンの言葉に射抜かれた衝撃が走った。
すると、コーウェンは鳥カチュアが隠れている方へ目線を送ったのである。
カチュアの精霊からの加護があると分かるオーラで、コーウェンにはカチュアが何処に居るかさえ、もう隠せない様だった。
コンコン。
「…………し、失礼します……あ、あの私、今日調子が悪い様で、ヴァイオリンを披露するのはご勘弁願います………申し訳ありません……」
過去カチュアは頭を下げながら、失礼な事だと思うのに、全くヴァイオリンを弾く気分になれず、逃げるように応接室の扉を締めた。
「………聞いてたな」
「あぁ、ばっちり」
「…………ヴァイオリンが聞けなくて残念」
「コーウェン、お前戻ってくるの見計らってわざと聞かせたな?」
「面向かって言うのは照れ臭いじゃないか」
(…………面向かって言ったじゃないの……)
鳥カチュアも過去カチュアもドキドキが止まらない。
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