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甦る
しおりを挟むゴルーグ公爵家の庭に出た過去カチュア。
どうしても応接室には行けず、デューク達が帰る迄、時間を潰す事にした。
鳥カチュアが追い掛けて来て、過去カチュアの肩に止まると、頬に擦り寄り慰めた。
「………優しいね、あなたは……私………ゴードン様に嫁ぎたかったの………でも、コーウェン様はあんな事を思ってらしたなんて………」
「ピピピピピピ」
「カチュア!」
離宮からコーウェンが走ってくる。
「コーウェン様…………デューク殿下方がまだおみえではないのですか?」
「帰ったよ………あの後に」
「…………コーウェン様……」
「なんだい?」
「…………本心なのですか?」
「嘘だと思っててもいいよ………僕が我慢出来なくなりそうだし」
「………聞いてしまった以上…………あ、聞く気など無かったのですが、扉をノックする直前に聞こえてしまったので……申し訳……ありません」
「…………許さないな」
困った顔をするカチュアは見たくないコーウェンは、謝らせるつもりも無い。
しかし、今だに畏まる過去カチュアとの距離が一向に縮まらないもどかしさを込め、「許さない」と言ってみた。
「………え?」
「許してほしいなら、僕をウェンと呼んで」
「!!………む、無理です!!」
「じゃあ、敬語無し」
「もっと無理です!!」
恐れ多い、と言わんばかりで、過去カチュアは両手の手のひらをコーウェンに見せ、お手上げです、と合図する。
「ピピッ、ピピピピピピピピピピピピ」
「………おや、君の方がウェンと呼んでくれるのも嬉しいけど、君も敬語だね」
「ピッ?ピピピピピピピピピッ!」
「じゃあ、いいよ……とりあえず2人共ウェンって呼んでくれたら許す」
「………な、何故そんなに意固地なんですか?」
「………君達が僕にとって憧れる存在だから、手に入れたいだけだよ」
「君達………?」
コーウェンの中で鳥カチュアも過去カチュアも同じという事なのか?
コーウェンは、カチュア達に指を差す。
「この鳥の君は、カチュア。カチュアは君だから、ね」
「?」
「ピピッ!ピピピピピピピピピピピピピピッ!」
「じゃあ、いつ知るんだい?」
「ピピピピ~」
「本当に?」
「ピィ」
鳥カチュアも早く知りたいのだ。
デュークの妻である鳥カチュアだが、既に肉体は消滅している精神のみの鳥カチュアは、いずれ消えて失くなってしまうだろう。
だが、コーウェンに惹かれてきているこの心は、行き場が無い。
同じカチュアでも肉体がある過去のカチュアが、コーウェンに惹かれ始めているのも分かるし、いずれはコーウェンは肉体のあるカチュアを手に入れるだろうと思うと、モヤモヤとした感情が湧き上がる。
それが嫉妬だと知っている。
くすぶり始めた感情を押し殺してまで、鳥でいたくないのだ。
消滅するなら早く消滅したい、とまで思い、肉体のある過去カチュアが幸せになればいいと思っていた。
(……………こんな感情、無くなればいいのよ……嫉妬なんて……)
そう思った瞬間、鳥カチュアの身体が光る。
「!!」
「!!」
「カチュア!!」
「………シャ、シャルゼッ!!何!これっ!」
鳥カチュアの身体が光るのに気が付いたシャルゼが、ジュームと共に姿を現した。
その姿を初めて見た過去カチュアと、鳥カチュアが転移してからは初めて見たコーウェンも急に現れた精霊達に驚く。
「せ、精霊!!」
「コーウェン!カチュア!場所変えるぞ!ジューム頼む!」
「承知した!」
ジュームは風を起こし、コーウェンの所有する祖母の屋敷に移動する。
「カチュア!!覚醒するぞ!」
「え!!生まれ変わるの?私!!」
「生まれ変わると言うより、今回は同化した方が早い!やった事ねぇけど」
「は?何怖い事言ってんのよ!馬鹿シャルゼ!!」
「シャルゼ!カチュア!いい加減に準備するぞ!ほら!そこのカチュアも早く来い!」
何が何だか分からず、鳥カチュアはシャルゼに掴まされて、過去カチュアの手に乗せる。
「カチュア……今から鳥のカチュアは消滅する………その精神を人間のカチュアの記憶として入れてやる………カルディア様はお前が身体を光らせたら、カルディア様の力が甦ると仰った……俺達に任せろ」
「あ、あのこれってどういう事ですか?あなた達は………」
「人間のカチュア……鳥のカチュアをしっかり持ってろよ……出なきゃお前迄消滅しちまうからよ」
「は?イフリート!怖い事言わないでよ!」
「コーウェン邪魔すんなよ」
「カチュアが欲しいならな」
エレギアとシヴァもコーウェンに一言声を掛け、近付かせなかった。
「な、何が始まるんだ!」
「コーウェンもカルディア様の末裔なら、構えて見ていろ……我等はカルディア様が作られた精霊なのだからな」
精霊達は、それぞれの紋を作り鳥カチュアを包む光を過去カチュアにも包ませると、光柱を作らせた。
その光柱は天に消えると、過去カチュアが乗せていた鳥カチュアは屍になり、人間のカチュアだけが残った。
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