聖女は鳥になって過去に2度戻り、夫を入れ替える【完結】

Lynx🐈‍⬛

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覚醒した聖女誕生

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 カチュアは手に乗る鳥を見た。
 体温もなく、ただの屍。
 その瞬間、10年後のがこの鳥に居ないのだと分かる。
 そして、に10歳年上の自分と、18歳の自分の思考があるのだと気付く。
 記憶という10年と、鳥であった時の経験がカチュアを理解させた。
 そして、自分が聖女としてこの大陸を守って来た記憶。
 だが、不思議なもので、引出しのように記憶を管理出来ている。

「…………シャルゼ………ジューム………皆……心配掛けたわ」
「カチュア……大丈夫か?」
「………えぇ……力が湧き出てくるわ……それに、聖女として生きた記憶も甦ってるし、鳥になって見てきた記憶と、デューク殿下の妻だった10年もはっきり覚えてる………」

 カチュアは精霊達の輪から出て、心配そうに見つめるコーウェンに歩み寄った。

「コーウェン様………ご心配お掛けして申し訳ありませんでした。鳥に入っていたは、今居ます」

 鳥を片手に持ち直し、片手を胸にあてたカチュア。
 
「………そっか……一緒になったんだ……」
「鳥のカチュアを気に入ってらっしゃったので、少し残念ではないですか?」
「…………いや?このまま2が居たら、両方手放せないぐらい愛しそうだから、手間が省けたよ」
「…………り、両方って……」

 カチュアは少し照れ臭くなり、顔を赤らめた。
 しかし、コーウェンにとっては、大した事ではないようで、話を変える。

「あ、そうだ、ジュームがここ迄連れて来てしまったが、流石に馬車ないと帰れないの分かってるかい?僕達の帰る方法は?」
「そうですね……何もここで同化させなくても良かったんじゃない?シャルゼ」
「連れて来たから、儂とシャルゼで返す」

 シャルゼが霧を作り、2人の身体を隠し、風で飛ばすという。

「精霊の力は凄いな、そんな事も出来るのか」
「皆………本当に迷惑掛けたわね……まだ油断出来ないだろうけど、もう過去に行く事は無いし、何かあったら呼ぶわね」
「勿論、我等はカルディア様の為の精霊ですから」
「ふふふ……もうちょっと楽にすればいいのに……シャルゼみたいに」
「シャルゼはだらけ過ぎて、見習えん」
「そうそう」
「それもそうね……シャルゼ、ジュームお願い」
「了解」
 
 シャルゼとジュームによって帰れたカチュアとコーウェン。
 先程居た庭に戻って来た。
 
「屋敷に戻ろうか」
「はい」
「ねぇ、何で鳥の身体が光ったのか聞いていいかい?」
「…………それが……」

 別々になっていた時は分からなかったカチュアだが、今は聖女として覚醒してしまったので、理由は分かっている。
 自身で予言していたようなものでもあるからだ。

「………い、言えません……」
「え?分かってない、て事はないよね、シャルゼが鳥のカチュアの身体が光ったら合図だと言ってたし、それを指示したのはだろ?カチュア」
「言いたくないんです!」

 カチュアはコーウェンと離れ、逃げだそうと駆け出す。
 しかし、確認もせず走り出した為、足元に注意していなかった。
 僅かな段差に躓きそうになり、コーウェンによって助けられた。

「危なかった………気を付けなきゃ駄目だろ……」
「あ、ありがとうございます……………あ、あの……もう大丈夫ですから放して頂けますか?」

 カチュアは、しっかりとコーウェンに抱きとめられており、離そうとしない。

「駄目………捕まえたから」
「お、お願いですから………恥ずかしいので……」
「じゃあ、言って?」
「………え?な、何を……」
「身体が光った理由…………と、僕をと」

 聞きたい事が増えている、とカチュアは驚き、コーウェンを見上げる。

「増えてませんか!?」
「………そう?僕はカチュアに聞きたい事が山のようにあるからね、1つや2つぐらい何でもないと思うよ?」
「私の事は大した問題ではないと思い………大した問題ばかり………」

 コーウェンからしたら、不思議な女なのは確かなカチュア。
 聖女という事も、国にとっては重要で、これからどうしていくのか、どんな力があるのか、等カチュアが普通の人間なら不思議な存在なのだから。

「ね、1つや2つや10ぐらいの質問、何でもないよね?答えてくれたら放してあげる」
「…………分かりました………光ったのは、私が自分に嫉妬したからです」
「………嫉妬?カチュアがカチュアに?面白い感情だね………それは何故?」
「…………ウェン……答えましたよ?そろそろ放して下さい」
「ず、ズルい!!今ここで僕の名前呼ぶなんて!」

 恥ずかしさのあまり、早く開放して欲しくて、いつも強請る愛称呼びをさり気なく言ったカチュア。
 ニッコリ微笑み、離れてもらおうと思っていたのだが、コーウェンも悪知恵が働く男、そんな簡単には放さない。

「ウェン?放して下さい」
「…………10個質問させて」
「………何を聞きたいんですか?」
「嫉妬した理由が聞きたい」
「…………言いたくありません……あと7」

 きっかり10問と言うコーウェンに、しっかり答えて逃げようとカチュアはカウントをする。

「……て、手強いねカチュア」
「ありがとうございます」

 微笑みだけは愛くるしくコーウェンに向けるが、返答に困る質問は逃げれるように、表現を読まれないようにしている様子。

「カチュアの力は何が出来る?」
「主に浄化ですね………6」
「カチュアはさ、デュークとバッシュの妻に一時期なっていた、と言ったけど、僕に選んだ理由は?」
「デューク殿下の時はお話しましたけど、その後のバッシュ様の時は3年後だったかしら、自害したんです。グレゴリー様はその……苦手でしたし……あと5」
「消去法は酷いなぁ」
「す、すいません……」

 屋敷に一緒に住むようになると、コーウェンへの態度も変わってきた事は、コーウェンにとっては嬉しい事だったが、夜会の態度とはかなり違う。
 その理由がと言われたのは若干ショックだろう。

「少しは前向きになれた?あ、これ質問ね」
「結婚に、ですか?………それなら……はい……4」
「僕を意識してる?」
「…………は、はい」
「どんな所を意識してる?」
「悪知恵が働く所でしょうか」
「………とりあえず、最後ね……僕の事好き?」
「!!……………ズルい!!」
「さぁ、答えて、カチュア……嫌い、は受付ないよ?嫌われてない事は伝わってるから」

 がっちりと抱き締められたカチュアは逃げれない。
 意識していた悪知恵なのに、カチュアはコーウェンの罠にハマったのだった。
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